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囲碁AI「AlphaGo」が世界最強を破り10年 グーグルが描くAIの未来

Google DeepMindは、AIシステム「AlphaGo」が囲碁の世界チャンピオンを破ってから10年を迎え、その後の技術展開と研究成果、今後のAI開発の方向性を紹介した。

AlphaGoは、深層ニューラルネットワークに探索アルゴリズムと強化学習を組み合わせた囲碁プログラム。2016年に行なわれた、囲碁世界チャンピオンの李世ドル氏との対局では、第2局の37手目が象徴的な一手となった。同社はこの一手について、AIが人間を模倣するだけでなく、新しい戦略を見出す先見性と能力を示した瞬間だったと説明している。

AlphaGoはその後、完全にランダムな対局から囲碁を学習する「AlphaGo Zero」や、囲碁、チェス、将棋などの二人零和有限確定完全情報ゲームをゼロから習得できる「AlphaZero」に発展。AlphaZeroは、ルール以外の事前知識を持たない状態から、わずか数時間で当時最強のチェスプログラム「Stockfish」を上回ったという。

Google DeepMindは、この手法を科学分野にも応用している。20年には「AlphaFold 2」により、タンパク質の3D構造を予測する「タンパク質折りたたみ問題」を解決し、既知の2億個のタンパク質構造をオープンソースのデータベースとして無償公開した。

数学分野では、「AlphaProof」と「AlphaGeometry 2」が国際数学オリンピック(IMO)で銀メダル相当の成績を収めた初のシステムとなった。この技術はGeminiにも引き継がれており、GeminiのDeep Thinkでは、AlphaGoに着想を得た手法を用いて、25年のIMOで金メダル相当の性能を達成している。

また、アルゴリズム探索を行なう「AlphaEvolve」や、複数のエージェントが仮説を検討する「AI co-scientist」にも、探索と推論の仕組みが活用されている。

Google DeepMindは、今後のAI開発では、分野を横断して構造を捉え、新たな仮説を生み出せる汎用的なAIが、大きな科学的ブレークスルーに不可欠だと説明。その実現には、物理世界を理解する世界モデルのほか、AlphaGoから培った探索と計画能力や、AlphaFoldのような特化型AIツールを組み合わせることが重要だとする。

将来的には、AlphaGoが囲碁の戦略を考案したように新たな手法を見つけるだけでなく、AIが研究する価値のある「ゲームそのもの」を生み出すことも見据えている。