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信号機を5Gと4KカメラでDX「交通インフラDX推進コンソーシアム」設立

JTOWER、住友電気工業、日本信号、NECの4社は、東京大学 大口敬教授、慶應義塾大学 植原啓介教授の協力のもと、産官学連携による「交通インフラDX推進コンソーシアム」を設立した。

人・モビリティ・インフラが協調した安全安心で持続的な交通社会の実現に向け、交通信号機に5Gや4Kカメラ、各種センサーなどを組み込み、5Gネットワークを軸としたDX基盤やアプリケーションを社会実装できるよう検討・対外活動を推進するコンソーシアム。参加団体は上記4社のほか、ホンダ、オムロン、パナソニックコネクト、三菱総合研究所、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、富士通、楽天モバイル、警察庁、総務省、経産省など29団体。

2019年度から3年間実施され、3月に終了した官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM:プリズム)事業を引き継ぐもの。PRISMでは、交通信号機を5G基地局の設置場所として活用しながら、5Gを用いた交通信号機の集中制御化等を目的とした技術や制度の検討等を進めていた。交通信号柱を交差点における貴重な公共アセットと位置付け、5Gネットワーク機器や各種センサーにより得られた信号情報、センサデータなどにより社会課題解決の可能性も検証した。

本コンソーシアムは、PRISMの成果を社会実装するため、中長期的な観点でニーズの深掘りを進め、技術要件、制度・運用面など実現方法、事業性についてさらに検討を深めるためのもの。

信号機を高度化することで、AIによって車や歩行者など交通状況を分析したり、自動運転車などと連携した注意喚起による交通事故の抑止や渋滞状況の把握と緩和などにもつなげる。交通事故の状況や交差点付近で倒れた人がいる場合も早期に発見して対応できるようにしたり、熊などの害獣の活動も検出し、地域の生活に役立てるなど、交通以外の用途も幅広く模索し、社会実装を進める。

コンソーシアムでは、「普及促進委員会」「技術検討委員会」を立ち上げ活動を行なう。普及促進委員会では、各テーマの事業化や普及促進に向けた検討・提言の取りまとめを行ない、国際動向や関連施策の調査、関係性の定義、関係省庁・自治体との調整も行なう。

技術検討委員会は、スムーズな交通インフラのDX推進に向けた技術的な要件の検討やガイドライン案の取りまとめ、制度面等の課題整理や提言を取りまとめる。具体的には、「柱の高度化」「交通管制・信号情報配信」「データ利活用ニーズへの対応」の3つを軸にして活動していく。

発表会では、PRISMプロジェクトのリーダーを務め、交通インフラDX推進コンソーシアムの特別顧問を務める慶應義塾大学の村井純氏が講演。日本ではちょうどコロナ禍の発生と同時に行政のDXが推進され始めたとし、特に2020年はサイバー空間とリアル空間が完全に合体した「サイバー文明」の始まりだという。

村井純氏

交通インフラのDXを推進するには、官民が透明な形で仕組みを作る必要があり、それには官民を超えて多くの企業・団体が協力する必要があり、コンソーシアムによってそれを推進していく考え。

また、交通事故の半数以上は交差点で起こっているとし、交差点を中心とした道路交通のDXは期待が大きい。交差点をエッジコンピューティングのモデルとして利用できれば重要な意味があるという。