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野菜感ゼロ。子供が苦手な野菜をプリンに カゴメとNEC

AI(愛)のプリン

カゴメとNECは、カゴメの調査結果とNECのAIを活用し、子どもの苦手な野菜と相性の良い食材を組み合わせた「AI(愛)のプリン」を開発した。洋菓子店「プルシック」の所浩史オーナーシェフの協力のもと、全6種類を9月1日より順次販売する。価格は各500円。販売数は各2,000個。

ラインナップは「とうもろこしとヨーグルト」「トマトとクリームチーズ」「かぼちゃとレーズン」「にんじんと白ワイン」「ほうれんそうとココナッツ」「じゃがいもととうふ」の6種類。

カゴメが実施した「子どもの野菜に対する意識調査(2019年)」の結果を参考に、NEC独自のリンク予測AI技術が、子供が苦手な野菜と50万の料理データから、相性の良い食材の組み合わせを100通り選定。公式サイトの投票で選ばれた上位25種の中から、所シェフが美味しく作れる組み合わせを6種類採用した。

NEC独自のリンク予測AIは、ものごとの関係性を分析して、隠れた関係性を発見する技術。例えばとうもろこしの場合、AIがまず「たまねぎとよく調理される」と分析。続いて、たまねぎを使ったレシピの「鶏肉のパスタサラダ」ではヨーグルトが使われているから、「とうもろこしとヨーグルトは相性が良い」と予想し、組み合わせを提案する。

NEC独自のリンク予測AI技術が、子供が苦手な野菜と50万の料理データから、相性の良い食材の組み合わせを100通り選定
投票で選ばれた上位25種の中から、所シェフが美味しく作れる組み合わせを6種類採用
NEC独自のリンク予測AIは、ものごとの関係性を分析して、隠れた関係性を発見する
とうもろこしの場合、AIがまず「たまねぎとよく調理される」と分析

商品化した「とうもろこしとヨーグルト」プリンは、隠し味にマヨネーズを加えたプリンの上にとうもろこしを添え、ヨーグルトソースで仕上げている。試食したが、一番上にあるヨーグルトソースは酸味と甘みのバランスが良い。何度かすくううちにとうもろこしの粒が現れ、同時に口に入るようになっているが、野菜を食べている感じは一切ない。

食べ進めるうちにプリンが現れてくるが、隠し味のマヨネーズにより甘すぎず、とうもろこしとの相性が良く違和感なく食べられた。マヨネーズは入っていると聞かされなければわからないほどだが、野菜であるとうもろこしとプリンをつなぐ大事な役目を果たしている。

「トマトとクリームチーズ」プリンも試食したが、上に乗っているフレッシュトマトと塩味のジュレは甘さがある。筆者の子供はトマトの酸味が苦手なのだが、このトマトは酸っぱさが一切なく甘さだけが残っていたので、酸味が苦手な子供でも無理なく食べられそうだ。下部のプリンはクリームチーズ味で、甘さのあるトマトジュレと相性は抜群だった。

「とうもろこしとヨーグルト」「トマトとクリームチーズ」

プリンの販売スケジュールは、第1弾として「とうもろこしとヨーグルト」「トマトとクリームチーズ」を9~10月に、第2弾「かぼちゃとレーズン」「にんじんと白ワイン」を11~12月、第3弾「ほうれんそうとココナッツ」「じゃがいもととうふ」を'23年1~2月に発売する。

販売店舗は、プルシックオンラインストア(9月1日~)と、プルシック岐阜(9月2日~)。プルシック岐阜での販売は、毎週金・土・日のみ。

プリン6種類のレシピは、特設サイト「AI(愛のプリン)」で8月2日より無償で公開。

第2弾「かぼちゃとレーズン」「にんじんと白ワイン」
第3弾「ほうれんそうとココナッツ」「じゃがいもととうふ」

既にある野菜料理をスイーツに寄せる

プルシックの所浩史オーナーシェフは、6種類のレシピについて「考え方としては、野菜をスイーツにするのではなく、既にある野菜の料理をスイーツに寄せる形で考案しました。例えばにんじんプリンの場合、にんじんをオレンジで香りづけしていますが、これはキャロットラペのレシピを応用しています。ラペはオレンジジュースやグレープフルーツジュースを使うので、今回のにんじんプリンはオレンジをアクセントに入れました」と話す。

プルシック 所浩史オーナーシェフ

NEC デジタルテクノロジー開発研究所長 池谷彰彦氏は、企画が生まれた経緯について次のように述べた。

「きっかけは社員同士の他愛ない会話からです。娘が野菜を食べないと話したところ、それを聞いた社員も野菜が嫌いでいまだに食べられないと話し、AIで解決する企画に辿り着きました。NECはこれまでにもAIを使ったコラボ商品をリリースしており、各世代の人生を味わうクラフトビールや、時代のムードを再現したチョコレートなどを販売しました。今回の企画では、野菜嫌いを解決するだけでなく、昨今問題になっている学校給食での食べ残しも解決できるのではないかと考えています」

NEC デジタルテクノロジー開発研究所長 池谷彰彦氏
社員同士の他愛ない会話かきっかけとなった
これまでにもAIを使ったコラボ商品をリリース

カゴメとの協働は、NECからの提案で実現。カゴメの「子どもの野菜に対する意識調査」データを見たNECが、カゴメに声を掛けて始動した、

カゴメ 執行役員 野菜をとろうキャンペーン推進室長 宮地雅典氏は、「カゴメではもともと野菜不足ゼロを推進する『野菜をとろうキャンペーン』に取り組んでいます。1日あたりの野菜摂取目標値は350gですが、実際は平均約290gと約60g不足しており、この数字は10年間ほぼ変わっていません。野菜を食べてもらうために、おいしく上手なとり方を広める活動もしています。今回NECさんから、一緒に子供の野菜嫌いを解決できないかと話をもらい、協力に至りました」とコメントした。

カゴメ 執行役員 野菜をとろうキャンペーン推進室長 宮地雅典氏
1日あたりの野菜摂取目標値は350gだが、実際は平均約290gと約60g不足