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丸の内エリアの風を可視化 三菱電機と三菱地所

風を可視化するイメージ

三菱電機と三菱地所は共同で、丸の内エリア(大手町、丸の内、有楽町、常盤橋)の風況(風速・風向)を計測・可視化する実証実験を8月1日に開始した。

風況データは、歩行者、建設作業やビル外窓清掃などの高所作業従事者の安全確保、街中でのイベント時の快適性確保のほか、ドローンや空飛ぶクルマなどの新技術においても注目されているという。一方で、高層ビルが立ち並ぶ都市部では、気候変動の影響もあり、風の影響が予想しにくくなっているという課題がある。

風況データソリューションの活用が期待される課題の事例

実証実験では、常盤橋タワーおよび隣接のTOKYO TORCH Parkに、ドップラーライダーを設置。ドップラーライダーは、レーザー光を空間に発射し、大気中に浮遊している塵やエアロゾルの動きを捉えた散乱光を受信することで、遠方の風況を計測する。

常盤橋タワーでは地上約212mの屋上に半径1.5kmの風況を計測できるスキャニング型ドップラーライダーを設置し、常盤橋・大丸有エリアを含む広範囲の風況を計測する。TOKYO TORCH Parkでは地上付近に鉛直型ドップラーライダーと超音波風速計を設置し、常盤橋エリアを中心に上空の風況を高精度に計測する。

計測のイメージ
常盤橋タワー
TOKYO TORCH Park
スキャニング型ドップラーライダー(左)と鉛直照射型ドップラーライダー(右)

これらにより、地上風(高さ2m付近)と上空風(5~250m)の風況データ(水平・上下方向の風速、風向)を計測・可視化し、分析・活用。高所での建設作業やゴンドラなどを使用した窓清掃作業の強風対策、エリア内でのイベントの安全な開催、ドローンなどの安全な運航、空飛ぶクルマの安全で効率的な離着陸場運営など、課題解決に繋がるデータソリューションを開発する。

両社は3月に御殿場プレミアム・アウトレットにおいて、風況データソリューション関連の共同実証実験を実施し、将来的なeVTOL(空飛ぶクルマ)の離着陸場の整備・運用に向け、ヘリコプタークルージングサービスの離着陸場周辺の風況観測の有効性の実証などを行なっている。

御殿場プレミアム・アウトレットで観測した風況データの例(スキャニングライダー)

両社は同エリアのエリアマネジメントの高度化や、安全・安心で快適なまちづくりの実現を目指すほか、三菱電機は今回の実証実験等をもとに開発したソリューションサービスについて、2023年度以降の提供を目指す。