ニュース

NEC、「スマートマスク」で消防現場DX。濃煙下でも救助活動

NECは、暗闇や濃煙下などの視界不良時やGPSの届かない屋内での救助活動を支援する「現場活動支援ソリューション」を開発した。

赤外線カメラを搭載し暗闇でも要救助者の検索活動を支援するスマートマスクや、GPSが届かない屋内で消防隊員の位置情報をリアルタイムに確認できる屋内位置測位システム、指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって現場の消防隊員間や指令センターなどとの情報共有・指揮伝達を支援する指揮支援システムから構成されるもの。

スマートマスク

火災現場などで消防隊員が着装する空気呼吸器の面体に、ヘッドマウントディスプレイと赤外線カメラ・可視光カメラを搭載。赤外線カメラ映像により暗闇や濃煙下での活動や要救助者の検索活動を支援する。また、現場隊長や指揮本部との無線技術によるネットワーク化により、リアルタイムな情報共有が可能。

消防隊員の視界を妨げないよう透過型のヘッドマウントディスプレイを採用。赤外線カメラ映像、空気ボンベの残圧、現場隊長のタブレット端末から送られる指示情報などが投影できる。面体用に専用設計されたフルカラー表示のヘッドマウントディスプレイを内蔵し、外部と双方向の情報伝達を実現する仕組みは世界初。

エア・ウォーター防災、重松製作所と共同開発したもので、開発は総務省消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」における令和元年度・2年度採択の委託研究として実施された。

屋内位置測位システム

現場到着時にアンカービーコンを設置することで、GPSが届かない屋内でもモバイルビーコンを装着した消防隊員の現在位置がリアルタイムにタブレット端末に表示され、活動状況を把握できる。

NEC北米研究所が開発したUWB(Ultra Wide Band)による屋内位置測位の特許技術「TrackIO」を活用。現在は、NECの子会社で新事業の創出を推進するNEC XとNEC北米研究所が、北米の消防機関で実証実験を進めている。

指揮支援システム

指揮支援機能を搭載したタブレット端末や電子指揮盤によって、現場の消防隊員間や指令センターとの情報共有・指揮伝達を支援するシステム。2017年から複数の消防で導入実績のある指揮支援システムのノウハウを活かし、指揮支援タブレット端末と電子指揮盤との情報連携を実現する新たな指揮支援システムを開発した。

指揮支援タブレット端末は、現場の消防隊員や現場隊長、指揮本部、指令センター間を相互かつリアルタイムに情報共有が可能。電子指揮盤は、これまで紙や無線通信などで行なっていた火災現場や救助等における指揮本部の運用をデジタル化し、防水仕様により雨天でも使用できるようにした。電子指揮盤は、リコーのRICOH eWhiteboard 4200(大型電子ペーパー)を活用している。新たな指揮支援システムは今年度から提供を開始している。

NECは今年度から電子指揮盤と連携した指揮支援システムの提供を開始しており、2023年度までにはスマートマスクと屋内位置測位システムを実用化。各システム間のデータ連携強化を進め、消防活動のより一層の迅速化・効率化に貢献する。