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国産ドローン「蒼天」 海外パーツを極力排除しセキュリティ強化

産業用ドローンを開発するACSLは、小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」を開発、受注を開始した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「安全安心なドローン基盤技術開発」プロジェクトによる研究開発成果をもとにACSLが開発したもの。

SOTEN(蒼天)の名は、空(天)という無限大の可能性を持つ空間を自在に飛行する姿をイメージしたもの。ISO 15408に基づくセキュリティ対策により、データ漏洩や抜き取りを防止、機体乗っ取りへの耐性を実現した。主要部品は国産品、または信頼性の高い海外からの調達品とし、通信・撮影データの暗号化、国内クラウドでの管理など、セキュリティを強化している。

小型空撮ドローンとして初となるカメラのワンタッチ切り替え方式を採用。幅広いカメラの選択肢を提供できる。カメラは標準カメラの他、赤外線カメラ+可視カメラ、マルチスペクトルカメラ、光学ズームカメラ(開発中)との交換が可能。

最大対気速度は15m/s。災害時などの厳しい環境下でも耐える性能を備える。また、日本国内で高精度な位置情報を把握できるSLAS/SBAS(準天頂衛星システムみちびきのサブメータ級測位補強サービス)を搭載し、災害での調査など正確な位置情報を把握する必要がある場面でも安全に離着陸できる。

LTE通信によりインターネットを介したドローンの操縦が可能。山間地やプラント内等の遠隔地等で、自動飛行による補助者なし目視外飛行(Level3)ができる。オフライン地図を活用することでインターネットが使えない環境でも、コントロール側の基地局アプリにオフライン地図を表示し、ドローンを自動飛行させることもできる。機体上部にカメラを取り付けるためのマウントも開発し、インフラ設備の点検画像を下から撮影することも可能

本体サイズはアーム展開時637×560mm、アーム収納時162×363mm。重量は1.7kg(標準カメラ・バッテリー含む)。最大飛行時間は標準バッテリーで22分(標準カメラ搭載時、風速8m/s条件下)。

近年、中国のドローンメーカー「DJI」などが開発するドローンについては、米国を始め各国がセキュリティリスクを理由に、排除や利用制限をする動きが進んでいる。日本政府も2020年9月にドローンの調達はセキュリティが担保されたものに限定し、すでに導入されているドローンについても速やかな置き換えを行なう方針を公表していた。

経産省では、高いセキュリティ性をもったドローンが市場へ投入されることにより、災害時における被災状況の調査や老朽化するインフラの点検などの公共部門や、企業における重要インフラの点検等で、「安全安心なドローン」利活用促進が期待されるとしている。