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推しのデジタルデータが“私のもの”に。大手が仕掛けるファン特化NFT「FanTop」

メディアドゥは、マンガ・アーティスト関連グッズや本の付録など、さまざまなファン向けアイテムをデジタル化して提供するプラットフォーム「FanTop」(ファントップ)の提供を開始した。

FanTopはメディアドゥが一般ユーザー向けに提供する、デジタル化されたファンアイテムの購入・流通プラットフォーム。メディアドゥは電子書籍の取次大手で、書店流通の取次大手トーハンとも連携した取り組みになる。

NFTにより唯一性が証明されたアイテムを購入できる。ファンアイテムへのシリアル番号の付与や唯一性の証明、今後は円で売買できる二次流通にも対応する。二次流通の売買でも権利者に収益が還元される仕組みも用意する。

FanTopはファン向けであることを重視し、アイテム購入のハードルを下げる試みとして、決済は暗号通貨ではなく、クレジットカードで日本円を利用する。

FanTop上で販売・提供されるデジタルアイテムに対しては、展示や鑑賞が行なえるスマートフォンアプリが年末に提供される予定。3D/AR/VR表示などに対応する見込みで、デジタルアイテムを3Dで眺めたり、多数のコレクションを収集・陳列するといったことが行なえる。

またギフトコードに対応しており、書店の店頭で買う出版物や、付録などで入手できるコードを入力することで、NFTアイテムをすぐに入手できる。これはトーハンとの連携で実現しており、FanTopでNFTアイテムを受け取れるコードが付属した週刊誌の販売が開始されている。

NFTの管理にはパブリックチェーンの「Flow」を採用しており、ユーザーは追加の費用負担なしに購入したアイテムのNFTを受け取れる。パブリックチェーンを採用することで保有者の権利を最大限に保護できるようにしたほか、少額・多数でも環境負荷が低くトランザクション費用も低額なFlowが採用された。

グローバル流通も行なう予定。メディアドゥグループで、月間アクティブユーザーが1,800万人以上という世界最大級の日本アニメ・マンガコミュニティ&データベース「MyAnimeList」と連携し、FanTopのアイテムを海外のユーザーにも提供する。すでにMyAnimeListのユーザーコミュニティと連携しており、マンガやアニメの記憶に残る名シーンをNFTデジタルファンアイテムとして販売する「Manga Fragments」の企画が始動している。

第1弾ラインナップ

FanTopにおいて、NFTのデジタルファンアイテムとして販売が開始されているラインナップの第1弾は、「銀牙伝説」NFTアートシリーズ(2,200円)、したら領ファンクラブ会員証(非売品、加入者に限定配布)、JAM Project Jacket Art Collection(2,200円)、チート薬師のスローライフ デジタルアートボードシリーズ(550円)、「北斗の拳」漢の死に様シリーズ 南斗六聖拳ボックス(4,910円)の5種類。

ほかにも、書店など店頭では「NFTデジタル特典付き出版物」が販売され、同梱のコードを入力することで、NFTアイテムをFanTopにて受け取れる。現在明らかになっているラインナップは、10月12日発売の「週刊SPA! 10/19・26合併号 特装版」、10月14日発売の「岡崎紗絵1st写真集『すがお。』特装版」、11月21日発売の「北川綾巴1st写真集『君の太陽』NFT特装版 デジタルムービー・未公開写真集特典付き」となっている。

メディアドゥではこのほか、FanTopのプラットフォームを“ホワイトレーベル”としてOEM提供することも可能としており、パートナー企業を募集していく。

デジタルデータが“私のもの”に。ファン活動をNFTで支援

メディアドゥは10月12日に発表会を開催し、今回の取り組みについて説明している。その中では、あくまでマンガやアーティストなどのファンに向けた「ファンアイテムをデジタル化する取り組み」であることが強調された。

具体的には、投機目的を抑制し、誰でも購入しやすくするという観点で、決済方法をクレジットカード・日本円のみに絞っている。またアプリによる3D表示やAR表示、コレクションとしての表示など、さまざまな楽しみ方を提供することも特徴。

例えばアクリルスタンドやフィギュアを模して3D化されたキャラクターを隅々まで眺めたり、ARやVR表示で大きなキャラクターを原寸大で見るといったことも可能。一方、物理的には難しい無数のグッズ・コレクションを並べるといったこともデジタルデータでは可能になる。

FanTopでは友人のコレクションを見られる機能も用意されており、これは物理的なグッズを身につけて見せたり、ファン同士で見せ合ってつながりを感じたりするのと同様であるとし、小さく完結してしまう従来のデジタルアイテムでは実現できない、見て楽しんだり人に見せて楽しめたりする機能を提供することで、従来と同じようなファンアイテムに昇華させることができるとしている。

こうした取り組みの中心になるNFTは、「デジタルアイテムと私を結びつける」技術と位置づけており、「無償・有償を問わず、あらゆるファンアイテムをNFT化していく」と意気込みを語っている。