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高速道路の外でもETCを使える「ETCX」。駐車場やドライブスルー

ETCソリューションズは、ETCを使って高速道路以外での料金決済を可能にする会員制サービス「ETCX」を4月29日より開始する。ETCを高速道路以外の場所でのキャッシュレス決済手段として活用する取り組み。導入コストが安いことから駐車場やガソリンスタンド、高速道路以外の有料道路などでの導入を目指す。

第1弾として、新名神高速道路の鈴鹿パーキングエリア(上り線)のピットストップSUZUKAのドライブスルーで、乗車したまま料金支払いが可能になる。

通常のETCサービスとは別のサービスのため、利用には手持ちのETCカードと、決済用のクレジットカードを使い、ETCXへの会員登録が必要。会員登録は28日から開始している。

利用可能なカード。一部は後日対応予定

利用方法は通常のETCと同じく、登録したETCカードを車載機に挿入し、乗車したまま決済が可能になる。車載機はETC及びETC2.0に対応。ただし、決済時には車を一旦停止する必要があるのがETCとの違い。

ETCXは、ETCよりも安価なシステムであることが特徴。ETCでは、高速道路の各ゲート毎に、ETCの認証に必要な全データとシステムを持つため、その場で瞬時に認証を行なえる。また、走行しながら認証を行なえるよう、高性能なアンテナを装備していることから、導入コストが高いという課題があった。そのため、利用者の少ない地方などの有料道路ではETCの導入が難しかった。

ETCXは、認証処理などをすべてクラウド上で行なう「ネットワーク型ETC」として展開するため、必要なシステムは最小限となる。認証に多少の時間はかかるものの、導入コストを抑えられる。また、通信用のアンテナも一時停止を前提とすることで安価なものを開発した。

ただし、導入を想定しているのは、駐車場やガソリンスタンド、EV向け充電スタンド、ドライブスルー、などのため、一時停止は障害になりにくい。地方の有料道路などでも、現金での支払いより省力化される。

駐車場
ガソリンスタンド
ドライブスルー

同社では2017年から2020年にかけて試行運用を実施。駐車場として2017年に新静岡セノバ駐車場(静岡市葵区)や、名鉄協商パーキング藤が丘effe(名古屋市名東区)。2019年にカーフェリーとして川崎近海フェリー 八戸埠頭(青森県八戸市)、2020年にドライブスルーとしてケンタッキーフライドチキン相模原中央店(相模原市中央区)で運用した実績がある。特にカーフェリーでは、ETCに記録されている車両長などの車検情報を活用することで、乗船手続を簡素化した。

第1弾の鈴鹿パーキングエリアに続き、7月1日からは第2弾として静岡県の伊豆中央道と修善寺道路の各料金所に導入。有料道路としては日本初の導入となる。また、各道路の利用回数に応じた新しい割引制度も導入予定。

その他、将来的にはマンションや工場などへの入退管理や、一般道の混雑緩和を目的として、混雑する道路で通行量を徴収する道路課金なども可能としている。

今後は、3年以内を目処に100カ所、10万人の会員獲得を目指す。将来的にはETC会員4,000万人のうち、1/4の1,000万人の獲得を目指し、10,000カ所での利用を目指す。

ETCXは、ソニーペイメントサービス、メイテツコム、沖電気の他、中日本高速道路、三菱プレシジョン、オリエントコーポレーションが「ETCX運営協議会」を組成し、今後も各社が協力してサービスを提供していく。また、ETCソリューションズは、ソニーペイメントサービス、メイテツコム、沖電気工業の3社が共同で2020年10月に設立した、ETC多目的利用サービス事業を展開する会社で、ソニーペイメントサービスの子会社。