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レーザーで「宇宙ゴミ」を除去する人工衛星。スカパーJSAT

スカパーJSATは、スペースデブリ(不要衛星等の宇宙ごみ)を、レーザー照射により除去する人工衛星の設計・開発を開始した。世界初の試みで、2026年のサービス提供を目指す。

不要となった衛星などにレーザーを照射することで「レーザーアブレーション」を発生させ、軌道を変更して大気圏へ突入させ、処分する。レーザーアブレーションは、物質にレーザー光を照射した際、照射された物質がプラズマ化や気化することで、物質表面から放出される現象。これにより物質に推進力を発生させ、軌道を変える。

接触しないため安全性が高いことや、スペースデブリ自身が燃料となるため、経済性が高いという。

スカパーJSATが、理化学研究所、JAXA、名古屋大学、九州大学らと連携するプロジェクト。スカパーJSATは、レーザーの基礎開発に実績のある理化学研究所とレーザーアブレーションによる推力発生実験を行ない、技術の実現性を確認している。

衛星の主要なミッション機器である「レーザーアブレーションサブシステム」の開発は、4月から理化学研究所内に融合的連携研究制度チームとして、「衛星姿勢軌道制御用レーザー開発研究チーム」を設置。名古屋大学、九州大学とも連携して設計開発を進める。

なお、衛星と地上システムはJAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)の枠組みを通じた検討を実施する。

1957年のスプートニク打ち上げ以来、人工衛星の数は増え続け、不要となった人工衛星や、打ち上げに用いられたロケットの部品、衝突した様々な人工物の破片など、1mm以上の大きさのスペースデブリの数は現在、1億個以上と推定されるという。スペースデブリは、秒速約7.5kmという高速で飛び交っており、活動中の人工衛星などと衝突すれば、重大な被害を及ぼす可能性がある。このため、スペースデブリの排除方法は各国で盛んに研究されている。

(C)九州大学 (C)スカパーJSAT