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新型コロナ国内感染は「持ちこたえている」が長期戦を覚悟。専門家会議
2020年3月20日 13:05
政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、3月19日時点での状況分と提言を公表した。日本国内の感染状況は「引き続き持ちこたえている」としながらも、「オーバーシュート(爆発的患者急増)」の危険性にも言及し、大規模イベント等の抑制やクラスター(集団)の早期発見・早期対応などを強調している。
対策の基本方針は、3月9日に発表した「1.クラスター(集団)の早期発見・早期対応」、「2.患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保」、「3.市民の行動変容」の3本柱に変更はない。必要に応じて、維持、強化を行なう。
また、感染拡大が発生する恐れの高い3つの条件が同時に揃う場面を予測し、避ける行動をとるよう呼びかけている。
- 換気の悪い密閉空間
- 多くの人が密集していた
- 近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声
2月28日に知事による緊急事態宣言が出された北海道においては、「その後急激な感染拡大を示す状況は認められていない」とし、実効再生産数(1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値)は、緊急事態の発生前と発生後の同一期間で比べると0.9から0.7へと減少。「クラスターを十分に把握できたことで、この感染症の爆発的な増加を避けることができた」と分析し、緊急事態宣言を契機にした事業者の対応や週末の外出自粛要請などは「一定の効果があった」と判断している。
北海道以外の新規感染者数は、都市部を中心に漸増しているが、日本全国の実効再生産数は3月上旬以降では、連続して1を下回り続けており、「持ちこたえている」と評価。ただし、感染源(リンク)が分からない感染者が増えている地域が散発的に発生しており、爆発的な感染拡大(オーバーシュート)を起こしかねないと指摘。地域における人工呼吸器の数を超えてしまう等が想定されるため、クラスター対策が重要とする。なお、オーバーシュートの可能性は、「人が密集し、都市としての人の出入りが多い大都市圏の方がより高いと考えられる」としている。
大規模イベント開催自粛や全国一斉休校の成果については、「内訳までは分からないものの、一連の国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少するとともに、効果があった」と説明。引き続き、感染拡大の恐れの高い3つの条件が同時に重ならないよう行動抑制を求めている。
イベントについては、「安全な規模や地域による基準を設けられるような科学的な根拠はなく、これまでの事例から判断するしかない」と説明。国内外の現在の感染状況を考えれば、「短期的収束は考えにくく長期戦を覚悟する必要がある」としている。
一方、地域ごとに対応状況は濃淡が必要とし、感染状況が拡大傾向にある地域では、一律自粛などを検討。感染状況が収束に向かい始めている地域では、3つの条件が同時に重ならないよう、感染拡大のリスクの低い活動から徐々に解除することを検討し、その場合でも、拡大の兆しが見えたら活動停止する必要があるとする。
一斉臨時休校は「定量的な効果を測定することは困難」としながらも、感染状況が拡大傾向にある地域では、一定期間、学校を休校にすることも一つの選択肢としている。
今後の感染拡大に向けては、「クラスター対策の抜本的な強化」を強調。地域でクラスター対策を指揮する専門家を支援する人材の確保や予算投入を求めている。また、重症者を優先する医療体制の構築にも言及し、高齢者や基礎疾患のあるひとの早めの受診を促すとともに、入院治療が必要ない軽症者や無症状の陽性者は、自宅療養とすることなどを提言している。