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首都直下地震想定の情報発信「災害ダッシュボード3.0」。三菱地所

災害ダッシュボード3.0の概要

三菱地所は22日、丸の内エリアでの防災対策を検証する実証実験「災害ダッシュボード3.0」を行なった。千代田区・災害対策本部と丸の内エリアに想定した「次世代防災拠点(災害対策拠点)」で、帰宅困難者対応を連携して行ない、その有効性を検証するもの。

「災害ダッシュボード」は、大規模災害発生時に、帰宅困難者に向けて情報発信をする仕組み。

帰宅困難者には、TVニュースなどで報じられる広域情報だけでなく、帰宅困難者受け入れ施設の場所や混雑状況など、身近なローカル情報が必要であり、SNSなどでは正確な情報も得られにくい。

これらを解決するには、TV放送による「広域情報」と、エリア内の「ローカル情報」の両方を提供することが必要であるとし、Webや街中のサイネージなどにより正確な情報を発信するのが目的。

災害ダッシュボードは今回で3回目の実験。今回は、Web版とデジタルサイネージ版を配信。Web版は一般用と、災害対策機関用の2種が用意される。

Web版の一般用配信では、NHK-Worldのニュース情報、千代田区等からのテキストメッセージ、駅周辺や、鉄道、ビル施設などのライブ映像を常時配信。帰宅困難者受入施設の開設情報、満空情報も配信する。テキストは自動翻訳により日英中韓4カ国語で配信される。

災害ダッシュボード3.0の画面構成

災害対策機関用では、一般用に加えて災害対策機関向けライブカメラの映像が追加される。

デジタルサイネージ版は、同エリア内に100台設置されている「丸の内ビジョン」を活用。Web版一般用情報に加えて、Web版の受け入れ施設情報を確認できるQRコードが表示される。

受入施設の情報については、災害時に位置が分からず、Webを検索しても開設情報を見つけることが難しい。今回の取り組みでは、スマホを使って施設の場所と混雑状況が一目で分かるようようになった。

スマホ地図アプリ上の画面イメージ

実験に参加したのは、丸の内エリアに関連する、千代田区、三菱地所、東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道、東京地下鉄、東京都交通局、日の丸自動車興業、サンケイビル、森トラスト、読売新聞東京本社、聖路加国際病院・聖路加メディローカス、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会など。

三菱地所は、丸の内エリア内15棟の建物で、千代田区と帰宅困難者受入施設の協定を締結しており、今後はエリア内の次世代防災拠点機能実現や、首都直下地震等に対してICTを活用した情報連携のしくみを構築し、災害対策を強靱化。丸の内周辺エリアへの波及効果までを視野に入れて検討を進めていくという。