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人を増やすか、トークンを買うか 「トークンマネジメント」という新課題
2026年6月18日 13:44
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Anthropicから“ミュトス級”モデルこと、「Claude Fable 5(フェイブル)」が6月9日に登場しました。この2カ月の間、政府を含めて大騒ぎしていたミュトス(Claude Mythos)がサイバーセキュリティ能力等を引き下げながら登場ということで、その性能の高さに大いに注目が集まり、「次の時代」を感じさせるものでした……。がその3日後、米国政府命令により公開を停止してしまいました。
そのため噂されていた新モデルラッシュも若干スローダウンしているような印象もあります(オープンモデルはそうでもない)が、もう一つ、大きなテーマになっているのが、AIトークンの「価格」についてです。
Fable 5だけではないですが、近頃はモデルの「費用の高さ」にも注目が集まってきました。Fable 5/Mythos 5の料金は、入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルとかなり高くなっています。
加えて、Opusなど従来のモデルはClaude Pro(20ドル)やMax(100ドル~)などのサブスクプランでも使えていましたが、Fable 5は、基本的にAPIで従量制となっています。
サブスクから従量制に移りはじめたAIサービス
上場を控えたAnthropicやOpenAIなどのAI企業は、これまでのユーザー拡大フェーズから、収益化に舵を切ったようにも見えます。そのため、「Codex」や「GitHub Copilot」など、多くのサービスがIDの数で課金するサブスク(シート型)ではなく、従量課金に移行しつつあり、「使えば使うほど費用がかかる」状況になってきました。特に企業向けの料金プランの多くは、一定利用を超えると、API利用量で課金する従量制に積極的に移行しています。
大きな変化としては、開発・コーディングだけでなく、企業における業務を、AIエージェントが担うようになったため、AI利用が爆発的に増加しています。そのため、1IDあたりの利用量が読みにくいサブスクはサービス提供者側から嫌われ、従量制へ移ってきたという背景もあるようです。
コーディングエージェントだけでなく業務ツールにおいてもその流れは進んでいます。「Microsoft Copilot」はIDベースのシート制で、チャットやDeepResearchの調査などはサブスク内で利用可能ですが、「Copilot Cowork」のようにAIを業務の核に据えたサービスは従量制となっています。
企業におけるAI利用は、「お金のある企業」が優位になっていく可能性もあります。そしていま、一層注目が集まっているのが、AIの「トークン費用」と「人件費」を比較する議論です。
人件費と(AI)トークン費が比較の対象に
米国のテック企業においては、この半年ほど、エンジニアをAIに置き換えるなどでの人員削減が伝えられていました。こちらは主に開発が中心でしたが、より一般的な業務においても、人とトークンを比較するという動きが増えているようです。
日本においても、メルカリが、最高人事責任者と最高AI責任者を兼任する体制を発表して話題になりました。AI戦略と人事戦略の責任者を一体化することで、働き方、意思決定・承認プロセス、組織構造、リソース配分など、組織の運営基盤をAI前提で再設計するとしています。
会計ソフトなどのクラウドサービスを展開するfreeeでも、こうした「人」と「トークン」を重視した取り組みを進めているそうです。freee 共同創業者 取締役の横路隆CAIOは、トークンの取り扱いについて、アウトカム(成果)を見極めた利用が重要と述べています。
freeeでも、ソフトウェア開発においてはAIを大規模に導入しているそうですが、この領域におけるトークンのマネジメントの体制は整ってきたといいます。
「モデルが成熟し、全てのモデルがFableやOpusである必要はなくなってきている。必要に応じてコストの安いモデルに切り替えて回せる基盤ができており、一部は自社でホストした(安価な)モデルを動かしている」(横路CAIO)とのこと。システムのアーキテクチャを考えるなどの「戦略用途」ではFableのような最新のフロンティアモデルが必要ながら、「実行」フェーズではより安価なモデルを使うなど、ハイブリッドな利用形態になってきているそうです。
加えて、会社の運営体制としても「トークンマネジメント」は大きなテーマになっているそうです。
freeeでは、どの部署のだれが、何の目的でトークンを使ったかのログが残るようになっており、「部門別にトークン量を割り当て、アウトカム(成果)に対し、人件費とトークン費用を足して、ROI(費用対効果)があう状態を保てているのかを確認している。より成果を上げるには、人が必要なのか、トークン費が必要なのかといった、経営の根幹の部分にトークンマネジメントが入ってきている」とのこと。「AIエージェントを日々使うようになると、コストが大きく跳ね上がる。人件費と比較するというより、期待するアウトカムが人間との比較になる。例えば現場では人間をさらに採用するか、それともAIトークン予算を選ぶか、それをエンジニアのリーダーが判断するようなイメージ」と説明しました。
また、これまでは主にエンジニアにおける課題でしたが、「これからはバックオフィスでもそういう考え方になっていくと思っている」とのこと。
トークンをいかに有効に使うか—— 人件費と同様に、何のために、何を目指すかを問うマネジメントの問題になっているようです。多くの企業で「トークンマネジメント」が、これからの経営課題として浮上してきそうです。
先日、Microsoftのサティア・ナデラCEOも、「トークン資本」と「人的資本」についての声明を発表。ナデラ氏は、企業において、人間のドメイン知識(業務知識)、判断力を、使うごとに改善するAIシステムとし、「相乗効果を生む学習ループ」に転換する必要があると強調していました。
AIの進化が続く中、人とAI(トークン量)の関係はこれからも変わっていくでしょうが、トークン利用をいかに事業成長につなげていくか、という本質が企業に問われていくことになりそうです。






