レビュー

「摂取」カロリーが自動でわかる シャープのスマートウォッチを2週間使った

世の活動量計は心拍などから消費カロリーを推定してくれますが、「摂取」カロリーの方はほぼノータッチです。人が何を食べたかなんて認識のしようがないので仕方がありません。せいぜいスマホアプリの方で食事を記録して、そこから計算するのが関の山でした。

ところがシャープが新たに発売したスマートウォッチ「からだメイト Watch MH-W01」(以降、からだメイト)は、消費カロリーはもちろんのこと摂取カロリーをも推定するという、思わず「えっ、マジ? どうやってんの?」と聞き返したくなる機能を備えています。

直販価格は59,400円で、スマートウォッチとしては標準的といえそうです。この「からだメイト Watch」、本当に摂取カロリーが分かるのか、それがどう役に立ちそうなのか、2週間ほど試用して確かめてみました。

細胞の動きを検知して体が吸収したカロリーを算出

冒頭に書いた通り、今や消費カロリーはスマートウォッチなどの活動量計が計測してくれるので、ほとんど自動で記録できます。

摂取カロリーについても、算出するための食事記録は必要ですが、アプリによっては撮影した写真からカロリー推定できたりするので、以前よりは多少は楽になってきています。

「からだメイト Watch MH-W01」

それでも、いちいち普段の食事を写真に撮ったりして、アプリから情報登録するのは面倒です(外食の「映える」料理なら撮影する人も多いかもしれませんが)。写真からだけでは正確に判定できない場合もありますし、人力に頼る部分がまだ多いので、よほどのモチベーションがないと習慣化するのは難しいのではないかと思います。

筆者も外食はよく撮影しますが、普段の食事を毎回撮影してカロリー管理する、というのは無理……

しかしそんな面倒も、もしかしたら過去のものになるかもしれません。新しいスマートウォッチのからだメイトであれば、スマホアプリの操作も、写真撮影もなしに、ただ身に付けているだけで摂取カロリーが可視化されるのです。

一体どうやって実現しているのでしょうか。ここではあまり詳しくは解説しませんが、シャープの説明によると、人体は「食事して栄養を体に取り入れるとブドウ糖に→それを細胞が吸収→細胞が水分を排出」という仕組みになっているとのこと。

摂取カロリー自動計測の仕組み(シャープ公式サイトより)

水分の排出によって細胞に変化が生まれるため、それをウォッチ内蔵の「生体電気インピーダンスセンサー」で捉えることで、「エネルギーがどれくらい取り込まれたか」を推測するのだそうな。

本体背面には心拍センサーの他に「生体電気インピーダンスセンサー」も搭載

つまり「何を食べたか」ではなく「体内に取り込んだものがどう身体に影響したか」を察知し、逆算して摂取カロリーを導き出すようです。食べたものの種類や量、取り込んだ栄養素が何か、というのはからだメイトでも分かりませんが、「体に吸収されたエネルギーはこれくらい」というのは明らかにできるというわけです。

アナログ時計のようなシンプル・スリムなデザイン

では、具体的にどんな風に使えるのかを見ていきましょう。まずはセットアップ。スマホアプリと連携して身長・体重などのプロフィールを設定し、現状分析のためのアンケートに答えて、体調維持やダイエットなど目標に向けた「コース」を決めます。

スマホと接続してプロフィール設定へ

コースのうち「コンディションケアコース」と「ダイエットコース」は、フル機能が使える月額600円の「Plusプラン」加入が必要になります。9月30日までは6カ月間無料のキャンペーンを実施しているので、からだメイトで何ができるのかを見極めるうえでも一度試してみると良いでしょう。筆者もひとまず「ダイエットコース」を選んでみました。

有料の「Plusプラン」はキャンペーンで6カ月間無料。「ダイエットコース」で試してみることに

設定がひと通り終わったら、あとはからだメイトを身に付けて普段の生活を送るだけ。食事するとき、運動するとき、睡眠時など、日常生活では24時間できるだけ身に付けておきたいところです。

装着している間は活動データを自動取得し、分析結果が随時ウォッチ画面やスマホアプリに反映されます。

ここでウォッチのハードウェアとしての特徴を紹介すると、ケースサイズは直径42mm、最厚部11.9mm、重量実測約34g(付属バンド装着時は同57g)で、スリムかつ軽量なつくり。カラーは今回お借りしたゴールドと、もう1つシルバーがあり、どちらもユニセックスな雰囲気です。バンドは付属品以外に20mm幅の一般的な腕時計用のものが使えます。

柔らかな雰囲気のカラーリングで、スリムなデザイン
バンド込みの重量は約57g
ケースのみだと約34g
一般的な時計の20mm幅のバンドが使える

ディスプレイは1.32型のOLED(有機EL、466×466ドット)で、グラフや文字をきめ細かく、くっきり映し出す精細なもの。高輝度で視認性が高く、晴天時の屋外のような明るい場所でも見にくくなることはありません。

直射日光下でもくっきり

操作は右側面にある竜頭とボタンの2つ、それと画面のタッチで行ないます。ボタンで機能メニューやアクティビティメニューを呼び出せるほか、画面を上下左右にスワイプすることで、ホーム画面となる時計表示から各種ヘルスステータス、通知一覧、デバイス設定などの画面に切り替え可能です。

操作は物理ボタン2つと画面タッチで
機能メニュー
通知一覧
天気も
ウォッチフェイスは機能性重視のデジタル表示なども選択可

食事・水分補給の影響をグラフと数値で可視化

というわけで、いよいよ食事。食べてすぐには変化は表れませんが、しばらくするとウォッチやアプリの「カロリーバランス」画面で摂取カロリーの数値が増え始めます。カロリーの推移はグラフでも確認でき、概ね1時間後から数時間後にかけて「吸収」されるようです。

実食!

このカロリーバランス画面では、食事による摂取カロリーと、日常生活や運動などによる消費カロリーを同じ画面で比較して、その収支をチェックできるようにもなっています。

ウォッチでのカロリーバランスの表示。食事してから概ね1時間後以降に吸収されているようです

食べ過ぎれば摂取カロリーが消費カロリーを上回ることも当然あり、体重の増加につながるだろうことが容易に分かります。反対ならダイエット成功に一歩ずつ近づいているように思えます。

ガッツリ食べたときは摂取カロリーのグラフは大きく伸び、反対にヘルシーな食事後は概ね低い値で推移している様子。誤差はあると思われるので、収支がマイナスだからと言って油断して爆食いするようなことは控えた方が良さそうですが……。

アプリ側での表示。一定期間の統計も見ることができます

そして、摂取カロリーとともにもう1つ自動記録されるのが「水分バランス」(体内水分量)です。こちらも原理としては摂取カロリーと似たような形で実現しているようで、ただ水を飲んだだけでは変化としては表れず、体に吸収されたときにグラフ上で増加します。

筆者自身、かなり頻繁に水を飲むので普段は「適度」な状態を保てていますが、炎天下を移動したときや運動しているときには大きく低下し、水分補給して回復する、というような動きが見て取れます。

水分バランスのグラフ
現在の状態もひと目で分かります

熱中症予防の観点では、画面上で変化が見えてから補給するのだと遅い可能性がありますが、後から振り返って水分不足気味になるタイミングを知ることで、今後の対策に役立てられるでしょう。

水分量バランスのアプリ画面

目玉は以上の2点ですが、からだメイトは他にも一般的なヘルスステータスを多数取得し、分析データとして蓄積していくことができます。24時間の心拍計測が可能で、皮膚温、歩数と上昇階数、ストレスレベルも表示します。

また、手動操作では血中酸素レベルのチェック、食事や水分補給量、体重の記録もOK。ランニングやウォーキング、サイクリング、スイミングなどのアクティビティも詳細に記録・分析できます。

ダッシュボードとアクティビティの画面

以上のデータなどから総合的な「スコア」と「評価」を生成してアドバイスをもらうこともでき、あらゆる観点から日々の生活に寄り添ってくれる健康管理デバイス、という印象を受けます。

分析データをもとに具体的なアドバイスももらえる

バッテリーもち、アクティビティ記録には不満点も

しかしながら弱点というか、惜しいと思える部分もいくつかあります。1つはバッテリーもちの短さ。スペックシートでは「初期設定状態で2日」もつとしているものの、筆者の使い方だともって24時間。毎日必ず充電が必要になります。

1日に1時間程度のランニング、またはインドアサイクリングを記録していること、待機時はモノクロ時計表示を常時オン(デフォルトはオフ)にしていること、スマホ連携してプッシュ通知がウォッチに届くようにしていること、といった点も影響しているでしょう。

しかし、先ほど説明したように摂取カロリーが記録されるタイミングが食事後の数時間となっており、充電しなければならないタイミングが多いと、そこに被る可能性がかなり高くなってしまいます。

充電は専用のクレードルを用います。マグネットでくっつくので手間は最小限ですが……

残量1桁%から100%まで充電するのにかかるのは1時間弱。その間、一番知りたい大事な記録が残らない可能性がある、というのは残念です。あえて食事中に充電するのも手かもしれませんが、細胞の変化を検知する仕組みを考えると、変化前の状態も記録できるようにしておく必要があるものと思われ、いつウォッチを外せばいいのか迷います。

こういった活動量計は、できるだけ長く、せめて数日単位で電池がもつ(または装着しながらでも充電できる手段を設ける)ようになっていることを、個人的にはどうしても期待してしまいます。

それともう1つ、カロリー周りの健康管理に重点を置いているためか、アクティビティの記録・分析については補助的なものと捉えておくのが良さそうに思いました。

たとえばランニングについては、GPSによるルートのトラッキング、心拍ゾーン、ペース、ピッチ、トレーニング効果といったかなり詳しいデータや指標も出してくれます。が、筆者が試した範囲では距離の誤差が大きく、参考にしにくいケースが多々ありました。

ランニングデータ。詳細な分析ができますが、GPSの精度によるものか距離計測の誤差が大きいようです

開始時にユーザーの意思とは無関係に強制カウントダウンして記録が始まってしまうこと、画面タッチ操作が主体になっていること(汗で誤反応してボタンを押せないことがある)、といった点もUI/UX上の課題のように感じます。

インドアサイクリング中の画面表示
終了するときは画面スワイプからのタップが必要で、汗にまみれていると反応しないことが多々

その意味では、もし他にアクティビティ用のスマートウォッチなどを使用しているなら、同じシリーズのスマートリング「からだメイトRing」と組み合わせて使うのもいいかもしれません(からだメイトRingは摂取カロリーや水分量の検知には非対応です)。

カロリーや体重の管理が最重要な人は必携レベルのデバイス

摂取カロリーが分かり、水分量も検知できるユニークなからだメイト。心拍、消費カロリー、アクティビティや睡眠のトラッキング、血中酸素レベルから皮膚温にいたるまで、健康に関わる多くの指標をまとめて把握できる、ヘルスケア用途には決定版的な活動量計と言えます。

ただし、健康管理に意識的に取り組みたいユーザーにとっては、特にバッテリーもちの短さを許容できるか、という点がネックに感じられそうです。これ1つでスポーツウォッチとしての役割もカバーしたいというユーザーに対しては、(筆者個人の感覚ではありますが)アクティビティ記録におけるUXがどう映るか、といった部分も気になるところ。

とはいえ、健康上の理由からカロリー制限が必要な人、本気で減量していきたい人のサポートツールとして有用なデバイスであることは間違いありません。公式直販サイトでの価格は59,400円で、これまでにない機能も備えていることを考えれば割安。シンプルな親しみやすいデザインで、最初のスマートウォッチとしても取っつきやすい製品ではないでしょうか。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスに。オーディオ・ビジュアル、PC、モバイル、ガジェット、ソフトウェア、モビリティ、フード、トラベルなど、いろいろな分野に首を突っ込む「なんでもやる系」ライターとして活動中。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。