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Google Cloud、AI時代のセキュリティ基盤「AI Threat Defense」
2026年8月3日 09:00
Google Cloudは7月30日から31日にかけて、同社の最新ソリューションや活用事例を紹介する年次カンファレンス「Google Cloud Next Tokyo」を東京ビッグサイトで開催した。会場では、AIを活用したセキュリティ基盤「Google AI Threat Defense」に関する報道関係者向け説明会も行なわれた。
Google AI Threat Defenseは、Google Cloudが5月に発表した、AIを活用した常時稼働の自律型セキュリティプラットフォーム。防御のライフサイクルを「準備」「スキャン」「修復」「監視」の4段階で実行し、企業の実環境における重大なリスクを特定し、優先順位付けから修復の加速までをサポートする。
スキャン段階ではクラウドセキュリティ基盤「Wiz」がリスクを把握し、修復段階ではコード脆弱性を自動で修正するAIエージェント「CodeMender」が脆弱性の検証やパッチ作成を担う。
潜在的な攻撃経路を予測し、攻撃者が脆弱性を悪用する前に修正を展開することを目指す。
説明会では、グーグル・クラウド・ジャパン 代表の三上智子氏や、同社 執行役員 カスタマー エンジニアリング統括の渕野大輔氏、Google Cloud Security & Mandiant CTOのスティーブ・レザン氏、IDC Japan リサーチマネージャー Network & Security, Researchの山下頼行氏が登壇。Google Cloudのセキュリティ戦略や、AIを活用した防御基盤の特徴などを説明した。
冒頭に登壇した三上氏は、Googleが月間のべ150億人以上に利用されるサービスを提供する立場として、サイバーセキュリティに継続的に取り組んできたと説明。同社内でもセキュリティ領域でAI活用を進めており、月間数万件にのぼるレポート処理にかかる時間を90%以上削減しているという。
こうした実践で得た知見を顧客に提供する取り組みがGoogle AI Threat Defenseであり、今後パートナー企業とともに日本市場で展開していきたいと述べた。
IDC Japanの山下氏は、日本のサイバーセキュリティの現状と、企業に求められる対応について説明した。同社が3月に実施した調査では、企業が最も懸念する脅威としてランサムウェアが挙げられていた。
その後、フロンティアAIの台頭により、攻撃がさらに高度化・高速化しており、政府も各業界に注意喚起や対応要請を進めている。こうした状況を踏まえ、企業にはAIによる脅威を前提とした対策が求められているとし、日本のサイバーセキュリティを取り巻く脅威認識は転換点にあると同氏は指摘した。
また、26年以降にリリースされたAIモデルでは、脆弱性発見能力が急速に高まっていることにも触れ、「Patch Wave」と呼ばれる主要ソフトウェアのパッチ件数の急増が起きており、脆弱性対応の高速化と自動化が不可欠になっているという。
一方で、セキュリティ運用におけるAI自動化については、約半数の企業が許容できないと回答しているという。山下氏は、AI活用では技術力だけでなく、どこまで信頼して任せられるかが重要になると説明。
信頼されるための要素として、AIが行なった対処の根拠を説明できること、人間とAIの役割分担を適切に設計すること、ベンダーが導入実績や検知精度を具体的に開示することの3つを挙げた。
レザン氏は、AIの進化による脆弱性発見とサイバー攻撃の変化について説明した。近年、AIによって脆弱性を発見する能力が高まる一方、攻撃者もAIを使ってエクスプロイトの開発を高速化している。
同氏によると、20年から26年にかけて脆弱性の発見数は3倍に増加し、脆弱性が特定されてから悪用されるまでの平均時間も1.3年から1.6日に短縮されたという。脆弱性を発見するだけでなく、悪用される前に迅速に修復まで進めることが重要になっているとした。
こうした背景から、Googleは2025年10月にCodeMenderを発表している。レザン氏は、攻撃者のAI活用に対抗するには、防御側も同等の速度と規模で対応を進める必要があると述べた。
渕野氏は、Google AI Threat Defenseの背景として、同社が進めてきたAI防御の取り組みや、運用を通じて得た課題認識について説明した。Google自身が巨大なインフラを運用し、長年にわたり守り抜いてきた実践的な経験の中で、セキュリティ運用に対する生成AIの活用を積極的に進めてきたという。
同社は23年に、AIを用いて脆弱性を発見する「Project Naptime」をスタートさせ、同プロジェクトはGoogle DeepMindとの共同プロジェクトへと発展しており、CodeMenderやGoogle AI Threat Defenseの発表につながっている。
同氏は、実際のAI防御の運用から得られた気づきとして、攻撃者が狙う対象は自社開発プログラムに限らないと説明した。オープンソースやクラウドの設定ミスなど多岐にわたるという。
また、AIによる防御システムでは、AIを安全に動かすためのハーネスが最重要であり、モデルは必ずしもフロンティアモデルを使えばよいわけではないと指摘。用途やコストに応じてモデルを使い分ける必要があるとした。
このほか、脆弱性対応については、AIモデルでただスキャンすれば解決するわけではないとも述べた。AIによるスキャンでは大量の脆弱性が検出されるため、すべてを修正することは現実的ではない。検出された脆弱性について、いつ、どのように、どの順番で修正するかを判断することが、運用上の課題になるという。
渕野氏は、これらの気づきと課題を解決する手段として、Google AI Threat Defenseを提示した。
防御のライフサイクルをマシンスピードに
基調講演では、Google AI Threat Defenseに関して、WizやCodeMenderの機能紹介がデモを交えて行なわれた。
Wizについては、防御ライフサイクルのうち、スキャンと優先順位付けを担う仕組みが紹介された。Wizでは、個々の脆弱性や設定ミスを確認するだけでは、最優先で対応すべきリスクかどうか判断しにくい。そのため、複数のリスクが組み合わさった有害な状態に注目する必要があるという。
その実証に用いるのが「レッドエージェント」で、システムにさまざまな手法で攻撃を仕掛けることで、実際に悪用可能な脆弱性を発見し、優先して対応すべきリスクを特定する。また、修復を支援する「グリーンエージェント」は、コード修正が完了するまでの対応として、ファイアウォールの設定変更などを提案する。
CodeMenderについては、AIエージェントによる脆弱性検出から修復までの流れが示された。CodeMenderはWizとの違いとして、既存の脆弱性を見つけるだけでなく、熟練したセキュリティエンジニアと同じような考え方で未知の脆弱性を発見できる点が特徴だという。
デモでは、AIエージェントがソースコードを読み込み、脆弱性を検出。さらに、サンドボックス環境で実際の攻撃コードを実行し、攻撃が成功するかを検証した。そのうえでAIモデルがパッチを作成し、適用後に副作用が起きないことや、問題が再発しないことを確認するまでのプロセスが紹介された。
同社は、Wizによるリスク特定とCodeMenderによる自律的なコード修復を組み合わせることで、防御のライフサイクルを人間のスピードからマシンスピードへ引き上げることを目指している。
































