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入手困難 大人気の「ラブブ」とは?
2025年10月10日 08:00
モフモフしたウサギのような耳の着ぐるみ風のスタイルと、ギザギザの歯が特徴的なキャラクター「ラブブ(LABUBU)」が、いま世界中の若者の間で熱狂的な人気となっています。あまりの人気に完売状態が続いており、入手困難な状況です。公式ショップでは入店するための抽選が実施されるほどで、高額な転売や偽造品(コピー商品)も市場に溢れています。
ラブブとは何なのか、なぜラブブは日本の若者たちを熱狂させているのか? その人気の理由を追っていきます。
ラブブが世界中で大人気の理由
ラブブは香港在住のアーティストKasing Lung氏がデザインしたキャラクターで、販売元は中国の玩具メーカー「POP MART」です。POP MARTは日本でも、原宿や渋谷PARCO、ダイバーシティ東京、大阪なんばなどに出店しています。
ラブブ人気に火が付いたのは、2024年頃から。韓国のガールズグループ「BLACKPINK」のメンバーであるLISA(リサ)が、お気に入りのキャラクターとしてSNSで紹介したことが発端とされています。
リサのInstagramには何度もラブブが登場しており、ラブブ風のオリジナル衣装でコンサートのステージに立ったこともあります。
その後、海外のセレブやインフルエンサーが、ハイブランドのバッグにラブブをぶら下げた投稿を発信するようになり、ラブブ自体にもステータスシンボルとしての価値が付加されました。セレブやインフルエンサーに憧れを持つ若者を中心に、ラブブ人気が過熱していきます。
日本では、90年代から女子高生がスクバ(スクールバッグ)に大量のぬいぐるみを付けるカルチャーがあり、今は「Y2K」(2000年前後に流行したファッションやカルチャー)や、「平成ギャル」ファッションとしてリバイバルしています。
街を歩くと、サンリオの「クロミ」や「マイメロディ」、「ちいかわ」、「おぱんちゅうさぎ」、「ミャクミャク」、「モンチッチ」などのぬいぐるみを付けている若者を見かけます。
日本では「ぬい活」がブームになっていることも、ラブブ人気を後押ししています。ぬい活とは「ぬいぐるみ活動」の略語で、小さなぬいぐるみと一緒に旅をしたり、写真を撮影したりする活動のこと。
ぬいぐるみはタレントのグッズやアニメキャラクターなどの「推し」であることが多いのですが、単にお気に入りの動物などの場合もあります。ぬいぐるみが汚れないようなビニールバッグやカバーも販売されるなど、若者には常にぬいぐるみと移動する生活スタイルが浸透しています。
そうしたなか、海外でラブブの流行が巻き起こったため、日本でも今年の春ぐらいから急速にラブブ人気が高まりました。
プリントシール機メーカー・フリューが10~20代の女性に行なった調査によると、ラブブを知るきっかけになったのはTikTokやInstagramからという人が多いとのこと。
ラブブには様々な種類やカラーがあり、コレクションとしても楽しめるようになっているのですが、中身が見えない「ブラインドボックス」として販売されています。どのラブブが入っているかは、開封するまでわかりません。
TikTokやInstagramでは、タレントが写真をアップするだけでなく、一般の人もこうしたブラインドボックスを紹介する「開封動画」を多数投稿しています。
開封動画では、購入者が「水色出てきて!」などと言いながらブラインドボックスをひとつずつ開けていくため、購入者も視聴者も一緒にドキドキ感を味わえます。特に、アソートと呼ばれる6個セットのラブブには、シークレットも封入されている可能性があるため、興奮が高まります。
日本のラブブ人気は、最新ファッションアイテムとしてラブブが欲しい人や、コレクターとしてラブブをコンプリートしたい人によって高められているのです。
ラブブの正規品を購入するには
あまりの人気に、現在も入手困難な状態が続いています。若者の流行り……と思われるかもしれませんが、親世代なら、ある日突然子供に「ラブブが欲しい」と言われる可能性もあります。
入手方法がよくわからずフリマアプリなどで買ったところ、「顔が違う。これは偽物」と子供に言われてしまったということもあるようです。ラブブは付属のQRコードで正規品判定ができるようになっているので、入手したい場合、ハードルは高いですが、正規ルートでの購入に挑戦した方が良いでしょう。
では、どのようにすれば正規品を購入できるのでしょうか。ラブブを正規購入できるのは、POP MARTの実店舗かオンラインショップのみ。オンラインショップでは基本的にラブブは完売しており、再入荷通知をONにしていても数分で売り切れてしまいます。
実店舗は、毎週決まった曜日にラブブが入荷するシステムで、入荷日の店舗は事前に抽選で整理券が当たった人のみが入店できます。整理券が当たった人は、入店時に顔写真付きの身分証明証で本人確認が行なわれ、代理で抽選に申し込めないようになっています。
また、ラブブはいくつかのシリーズがあるため、抽選に当たってもその日にお目当てのラブブの商品が入荷されていない可能性もあります。整理券の入場時間が遅い場合は、売り切れてしまうこともあるようです。
ラブブの購入はレジで欲しい商品を頼む方式で、整理券を照合のうえ1人1会計まで。購入できる点数も制限されています。入荷日に整理券がなくても入店できる店舗はありますが、ラブブは店頭に陳列されていないため購入できません。
偽造品や転売が横行しているので注意
ラブブが入手困難なアイテムになるにつれ、上述の通り偽造品も増えてきています。SNSには、子どものためにフリマアプリなどで購入した後に「このラブブは偽物ですか?」と確認する投稿もあふれています。また、非公式にポップアップストアを開いているショップもあり、高額な価格での転売も増加。偽造品かどうかを鑑定する業者も出てきました。
こうした事態にPOP MARTも公式サイトに警告を出しています。
ラブブを購入できるのは直営店舗、公式オンラインショップのみとされています。また、AI真贋鑑定サービスとは関わりがないと警告しています。偽造品や転売による被害にあわないよう、公式ルートで購入することをおすすめします。
なお、POP MARTではラブブ以外のキャラクターも人気があります。SKULLPANDA(スカルパンダ)やHACIPUPU(ハチププ)、CRYBABY(クライベイビー)などが注目されており、早くにラブブを手に入れた人は、今はもうそちらに夢中になっている人も多いようです。
POP MARTと同じく中国の玩具メーカー「TOP TOY」からも同様の商品が注目されており、「Nommi」や「MayMei」もやはりブラインドボックスによる販売で人気が高まっています。こちらは池袋サンシャインに店舗を構えており、店頭には多くの人が集まっているようです。
流行の移り変わりは早いため、もしかするとラブブの人気もそのうち陰りが出てくるかもしれません。でも、キャラクターによるIPビジネス、ブラインドボックスによるワクワクドキドキの購買体験は今後も熱い展開が期待できそうです。








