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ドコモとハロサイのポート共同化、ついにスタート 初日に使って叱られる
2025年6月11日 08:00
ドコモ・バイクシェアとOpenStreet(HELLO CYCLING)は、6月2日に横浜市でシェアサイクルの一部ポートを共同で運用する取り組みを開始しました。
国内のシェアサイクルは、これまで原則として特定の事業者のポートには特定の事業者の車両しか返却できませんでしたが、今回の横浜市での取り組みはポート自体をドコモ・バイクシェアとHELLO CYCLINGで共有するもので、ユーザーからみると特別な手続きなしに自転車をレンタル・返却できるポートが拡大した形です。
おおざっぱに説明すれば、今回の提携によって市内中心部をメインに展開しているドコモ・バイクシェアの「baybike」は、HELLO CYCLINGが展開する郊外エリアにポートを広げ、HELLO CYCLINGから見ると都心部の公用地などに乗り入れできる形です。
両社の交渉の詳細については明かされていませんが、鉄道駅の近くなど大きな需要が見込まれる場所や市役所なども共同ポートとしている点を見ると、両社の提携は表面だけのお付き合いではなく、お互いにとって中身のある協業となっているようです。
共同化初日に使ってみた
さて、筆者は横浜市での共同ポートが運用開始された初日にさっそく、横浜市内の共同ポートを主に磯子区から鶴見区までの区間で多数巡ってみました。
筆者はこれまで、シェアサイクルを借りようと思っても、車両そのものがなかったり、車両はあってもバッテリー残量がなかったりして使えない、一方ですぐ近くにある別の会社のシェアサイクルには車両もバッテリーもあるけれど、そっちは目的地の近所にポートがない……。という経験が多々ありました。
こうした個人的な経験からも、24年夏に発表されたドコモ・バイクシェアとOpenStreetのポート共同利用を含めた業務提携には大いに期待していました。
事業者側の視点では、ポートを無秩序に拡大してしまうと自転車の再配置などの問題でオペレーションが非効率になるなど、運営コストが上がってしまう懸念もありますが、両社の提携にはいちユーザーとしてワクワクしていました。
しかしながら、実際に横浜市の共同ポートを使っているとちょっとしたトラブルに遭遇しました。具体的には、これまでドコモ・バイクシェアのポートだった場所にHELLO CYCLINGの自転車を返却しようとすると、ポート近くにいた警備員に「そこは、ドコモの自転車だけだから! ダメだよ!!」と、すぐに注意されてしまいました。
そこで、「今日から共同ポートになって、この自転車も返却できるようになったんですよ」と口頭で説明した上で、ポートを確認するために紙で備えておいた横浜市のプレスリリースを見せて納得してもらうつもりでしたが、筆者の説明は全く受け入れてもらえず「とにかく、ドコモの赤い自転車じゃないとダメだから!!」の一点張りで、取り付く島がありませんでした。
短いやりとりでしたが、警備員さんの「一歩も譲らん」という姿勢には、ドコモ・バイクシェア専用ポートとして運用されている駐輪場に、全く無関係の自転車が駐輪されることがこれまで多々あって、たいへん苦労されたんだろうな……ということが推察されました。
自転車自体はそのポートに返却しなくても次の予定に差し支えはなかったので、結局別の共同ポート(元はHELLO CYCLINGのポート)に返却しました。
これまで横浜市においては、基本的に単一の車両タイプで運用してきたドコモ・バイクシェアと、シティサイクルだけでなくスポーツタイプの「KUROAD Lite」も導入しているHELLO CYCLING陣営の自転車がポートに停められていると、「特定の2社のサービスに限って使えるポート」とは受け止められず、一般の自転車が多数駐輪されてしまう問題を招きかねません。
実際に、共同ポートの運営開始前から、公営の駐輪場の一部をシェアサイクル用に割当している場所で一般の自転車が駐輪されているケースを目撃したことは多数ありますし、6月2日から共同ポートとなった場所にも「ドコモ・バイクシェア専用」という説明書きが残っています。
こうした説明を見ると、前掲の警備員さんの「一歩も譲らない」という姿勢に至った理由も、理解できるように思います。
予想していなかったトラブルに遭遇してしまいましたが、スタートしたばかりのドコモ・バイクシェアとOpenStreetの業務提携、今後も同市におけるシェアサイクルがユーザーにとって便利で、事業者にとって無理なく成長できる取り組みとして継続することを楽しみにしています。