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プルーム・テックのカプセル製造工程をJT東海工場で見学

たばこの歴史は長いものの、加熱式たばこの誕生から大きな変革期を迎えている。今回、加熱式たばこの1つである「プルーム・テック(Ploom TECH)」のカプセルを製造している、JTの東海工場を見学。どのような工程で作られているかをレポートする。

JT東海工場

東海工場の広さは東京ドーム5個分

JT(日本たばこ産業)東海工場の所在地は静岡県磐田市。操業開始は1979年。敷地面積223,176m2で、東京ドーム約5個分の広さとなる。JTの主力工場である東海工場、北関東工場、関西工場、九州工場の4工場の中でも最大の工場だという。

JT東海工場 概要

東海工場の主要製造銘柄は、プルーム・テック、プルーム・テック・プラスのカプセル(リフィル)のほか、紙巻きたばこの「メビウス・ライト」、「ピース」、「ホープ」や、スモークレスたばこの「ゼロスタイル・スティックス」など。

JT東海工場 主要製造銘柄

なお、プルーム・エスは九州工場、加熱式たばこのデバイスやカートリッジ(リキッド)は中国での製造だという。

プルーム・テックのたばこの葉は顆粒状

さて、たばこ葉といえば、葉っぱを乾燥させて刻んだような物を思い浮かべるのではないだろうか。たばこを全く吸わない人にもわかるように言えば、紅茶の葉っぱのイメージだ。紙巻きたばこでは現在もそうであるし、紙巻に近い仕組みのプルーム・エスも同様である。

紙巻きたばこの葉

これに対し、プルーム・テックは顆粒状。見た感じも、触った感じも茶色い「ほんだし」といった印象だった。

プルーム・テックの葉

原料が葉ではないというわけではなく、プルーム・テック用顆粒製造工程において、まずは原料となる葉たばこを粉砕。造粒、乾燥、加香を行なうことで、プルーム・テックのたばこ葉に当たる、顆粒状のものができる。このとき、単純に細かくするだけではなく、味や香りが出やすいようにしているという。

プルーム・テック 製造工程

ここからが、工場で見学できた工程。カプセル充填組み立てから、カートン詰めまでだ。その前に、プルーム・テックのカプセルとは何なのかを説明しておこう。

プルーム・テックは、デバイスとカートリッジ、そしてカプセルを装着して吸う加熱式たばこだ。このうち、吸い口側にあるのがカプセル。

カプセル
左側が吸い口。手前から、プルーム・テック、プラス、サイズ比較用の一般的なボールペン

カプセルの中には、顆粒状のたばこ葉のほか、フィルターが入っている。フィルターの最も大きな役割は、たばこ葉が口の中に入らないようにすること。紙巻たばこでも吸い口部分にフィルターがある。

カプセルの中身。手前左がフィルター

7つの機械で包装まで完結

プルーム・テックの製造に使われているのは、材料品供給装置(カプセル・エンドピース)、同(フィルター)、カプセル組立機、カプセルトレイ搬送装置、ブリスター包装機、小箱包装機、カートン包装機の7つ。

主な材料。右から4番目のGP原料は、たばこ葉

製造用機械は、2016年の導入開始から、毎年高速化を実現。2018年の第3世代では、初代に比べて約40倍の製造能力を持つという。

材料供給装置から供給された材料を、カプセル組立機にて、たばこ葉、フィルター、エンドピースの順にカプセルに詰め、組立を行なう。

カプセル組立機(JT提供)
カプセル組立機(JT提供)

カプセルトレイ搬送装置に送られ、カプセルがトレイに詰められる。

カプセルトレイ搬送装置
ずらりと並んだカプセルたち
カプセルトレイ搬送装置

その後、ブリスター包装機に送られ、パック詰めされていく。この容器もこの工場内で製造。フィルターを温めて成形しやすくした上でポケットを作る。カプセルがポケットに入れられた後、アルミ箔が供給され、熱溶着によって包装される。

カプセルは、商品ではこのように包装されている。写真は2商品
平面のフィルターが手前から奥に送られる
カプセルが入るポケットが作られる
カプセルがポケットに入れられていく
ポケットに収められたカプセルが流れる
アルミ箔で包装

小箱包装機に送られ、ここで成形された空箱にカプセルなどが挿入され、小箱詰品を成形。

小箱包装機(JT提供)

カートン包装機に送られ、6箱がセットになった製品になる。

カートン包装機
完成

紙巻たばこは、なが~い1本のたばこをカットして成形

工場見学では、紙巻たばこの製造工程も見学したのだが、残念ながら機械の撮影はできなかった。ということで、個人的ハイライトのみお届けする。

紙巻たばこの製造工程

紙巻たばこの製造工程の中で、一旦なが~い1本のたばこを作り、そこからカットしてフィルターを取り付け、製品になるそうだ。

ぐるりと巻かれているのが、なが~い1本のたばこ

紙巻たばこといえば曲がることはなく、曲げると折れるものと思っていた。それだけに、実際はたばこにはこれほどまでの柔軟性があることに驚いた。

長いたばこを1本のサイズにカットし、カットした2本を並べて真ん中にフィルターを装着し、再び2本が対になった1本が出来上がる。最後にフィルターをカットしてフィルター付きの紙巻たばこが出来上がる。

たばこ製造の工程。画像右側の左側から順に、2本がフィルターでつなげられ、フィルター部分がカットされる

工場内はプルーム・テック優遇分煙

最後に、工場内の分煙はどのようになっているのかをお届けしよう。

いくらたばこ工場だからといって、どこでも喫煙可能ということはない。ただし、確実にプルーム・テックが優遇されている。

今回説明が行なわれた会議室には、「NO SMOKING Ploom TECH ONLY」と書かれた箱が置かれていた。会議室内では低温加熱型のプルーム・テック、およびプラスであれば、吸ってもOKなのだ。

会議室に置かれた箱。使用済みカプセルなどを捨てる

紙巻たばこ、および高温加熱型のプルーム・エスは、所定の喫煙所でしか吸うことは許されない。これは、低温加熱型は、煙はもちろん、匂いもほとんど発生しないためだ。

プルーム・テックの製造は、東海工場に加えて関西工場での製造も開始されたという。また今後も、機械の性能向上を図るなど、生産性向上に取り組んでいくとしている。