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キャッシュレス決済の基本(1)。決済の手段

キャッシュレス決済。

その名の通り現金(キャッシュ)を使わない支払いのことだ。現金を使わない店頭での支払いを全て指すと考えていいが、意外に分かりづらい用語が多いもの。

ここでは、キャッシュレスの用語を解説するとともに、キャッシュレスの歴史や経緯、現状などをまとめてみたい。なお、今回は店で支払いをする客側の観点からキャッシュレス決済を解説する。

キャッシュレスの中心「クレジットカード」

キャッシュレスとは現金を使わない決済手段。では、どんな手段を思い浮かべるだろうか。その代表格として、まずはクレジットカードの仕組みを見ていこう。

クレジットカードは、クレジットカード会社が客の決済を代行して店舗に現金を支払い、後からその分の現金を客から支払ってもらう、という仕組みだ。正確には銀行口座に振り込む形になるが、こうした銀行間への入金はキャッシュレス決済とは言えない。

クレジットカード(三井住友VISAカード)

クレジットカードは、日本では「一時的に金を借りる(借金する)」というイメージが強いが、あくまで支払いを代行するというイメージだ。その場で現金を使わずに支払いが行なえる、ということからキャッシュレス決済の手段の一つだ。

このクレジットカードを使う場合、決済をする方法はいくつかある。ざっくりまとめると「磁気ストライプ」、「ICチップ」、「非接触」の3種類に大別できる。

クレジットカードの裏面には黒い横棒が張り付けられており、これは「磁気ストライプ」と呼ばれている。レジのリーダーにこの磁気ストライプ部分をスワイプさせて支払うというシーンはよく見かけるだろう。これが「磁気(マグ)ストライプ」で、リーダーが磁気ストライプの情報を読み取っている。

磁気ストライプ

最近のクレジットカードには、金色のICチップが内蔵されていることが増えてきた。こうしたクレジットカードの場合、レジのリーダーにこのIC部分を差し込む、という方法もある。これは「接触IC」と呼ばれる。磁気ストライプは偽造が容易なため、使用することは推奨されておらず、今後はこのICを使った支払い方法が主流になる。

ICチップ

クレジットカードによっては、「iD」のような特別なアイコンが搭載されている場合もある。これは「非接触IC」サービス対応の印。この場合、レジのリーダーにタッチするだけで支払いが行なえる。この非接触ICは、ICチップは接触ICと同じものを使い、カード情報をワイヤレスでやりとりするというだけの違いだ。

iD

スマートフォン決済の拡大

対応スマートフォンを持っている人なら、非接触ICと同様に、スマートフォンをリーダーにタッチして支払いを行なうこともできる。技術的に、非接触ICと違いはない。物理的なカードを使うか、スマートフォンを使うかという違いだけだが、スマートフォンを使った独自機能も利用できるため、ここでは別のものとして考えている。

この非接触ICにはいくつか種類があり、日本では一般的にFeliCaチップを使っている(Suicaなど、多くの交通系の電子マネーで使われているのもFeliCaだ)。

これに対して海外ではNFC Type-AとNFC Type-Bがほとんど。

FeliCaとNFC-Type-A/Bに、お互いの互換性はないが、スマートフォンの場合、iPhoneなら両方に対応しているので、どちらでも同じように利用できる。

PayPayやLINE Payなど、今話題の「QRコード決済」もスマートフォンを使った決済手法だ。これはQRコードのような二次元コードをスマートフォン画面に写してレジのリーダーから読み取ってもらう、などの方法で決済を行なう。

ファミリーマートのバーコード決済

こうした決済手段に加えて、クレジットカード以外にも複数のキャッシュレス決済の手段がある。具体的にはデビットカード、プリペイドカード、電子マネーといった種類がある。

次回以降、こうした決済手段と決済方法で区別しながら解説しよう。

【第1回】決済の手段
【第2回】クレジット/デビット/プリペイドカード
【第3回】電子マネーと国内外の非接触決済事情
【第4回】なにかと話題の「QR決済」