お金の教室

第6回

ボーナスで「資産が増える人」の考え方 投資・浪費・家電

もうすぐボーナスシーズンですね。景気も比較的好調で、昨年よりボーナスが増える方も多いのではないでしょうか。そのボーナスの使い方によっては、あっという間に消えてしまう人もいれば、着実に資産を増やしていく人もいます。今回は、その違いについて詳しく見ていきます。

ボーナスが即消える人の特徴

ボーナスがすぐ消えてしまう人には、共通した行動パターンがあります。

(1)気が大きくなる

普段の給料は節約しながら使っているのに、ボーナスが入ると「臨時収入だから」と大きな買い物をしてしまうケースです。非日常的な金額を目にすることで、普段の金銭感覚が狂いやすくなります。

(2)家計を把握していない

毎月20万円くらい使っているつもりでも、実際には口座残高が26万円減っているというケースがあります。自分では気づいていない6万円分の「見えない支出」があるということです。こうした状態では、ボーナスのような臨時収入も気づかないうちに消えてしまいます。

(3)衝動買い・見栄消費が多い

あまり考えずに買い物をして後悔したり、「人より良く見られたい」という気持ちでお金を使ったりすると、支出はどんどん膨らみます。その結果、ボーナスもあっという間になくなってしまいます。

資産が増える人の特徴

では、資産が増える人にはどのような特徴があるのでしょうか。

(1)支出に優先順位がある

資産が増える人は、支出を「ニーズ(必要なもの)」と「ウォンツ(欲しいもの)」に分けて考えます。必要なものは迷わず買いますが、欲しいものについては優先順位をつけて、本当に価値があるかどうかを確認してからお金を使います。

また、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が上がる家電や生活改善アイテムへの投資を積極的に行ないます。たとえば、冷蔵庫の買い替えは電気代の削減につながり、ドラム式洗濯乾燥機は家事の時間を大幅に短縮します。食洗機は家事時短と水道代節約、自転車は健康増進と交通費削減、寝具は健康維持やストレス軽減につながります。こうした支出は単なる「消費」ではなく、生活の質を高める「投資」といえるでしょう。

(2)投資額を増やす機会と考える

貯金をするというのも一つの選択肢なのですが、現在は毎年2%近いインフレがおきています。貯金をしても預金金利は0.3%程度とインフレ率には及びません。この状況では、貯金しても、2%―0.3%=1.7%ずつ毎年お金の価値が目減りしてしまいます。そのため、インフレからお金の価値を守るためにも投資が必要なのです。

そこでボーナスを、投資額を増やすチャンスと捉えます。NISAを活用してオルカン(全世界株式インデックスファンド)やS&P500連動のファンドに積立投資をしている方であれば、ボーナスの一部を追加投資に回すことで、将来の資産形成を大きく加速できます。

シミュレーションで確認してみましょう。外国株式を年率5.4%で運用できたと仮定します。毎月1万円のみ積み立てた場合、20年後の資産は424万円。一方、最初にボーナスから50万円を投資し、その後毎月1万円積み立てた場合は、20年後に563万円となる計算です。その差は139万円です。最初の50万円が時間をかけて大きく育つことで、このような差が生まれます。ボーナスを早めに投資に回す効果の大きさがよく分かります。

(3)家計を可視化している

資産が増える人は、自分のお金の流れを「見える化」しています。おすすめは家計簿アプリの活用です。たとえば「マネーフォワード ME」の無料版であれば、銀行口座やクレジットカードを連携して自動で家計簿を作成できます(無料版の口座連携可能件数は4件まで・データ閲覧可能期間は過去1年分)。

また、カレンダーに「飲み会3,000円」「コンビニ1,000円」などと毎日の浪費を書き込む習慣も有効です。1年間でどのくらいの金額を使っているかが可視化され、無駄な支出に気づきやすくなります。浪費をゼロにする必要はありません。大切なのは、把握してコントロールすることです。ダイエットで毎日体重を測ることで食べ過ぎに気づくのと同じ原理で、お金も記録することで改善しやすくなります。

ボーナスの使い方比較

ここで、2つのタイプを整理して比較してみましょう。

  • ボーナスがすぐ消える人:気が大きくなって使ってしまう/家計が見えていない/衝動買い・見栄消費が多い
  • 資産が増える人:優先順位を決めて使う/家計を見える化している/投資額を増やすことに意識を向けている

この違いが、数年後・数十年後の資産形成に大きな差を生み出します。ぜひ自分はどちらのタイプかを振り返ってみてください。

ボーナスの使い道3分類

ボーナスの使い道は、大きく3つに分類できます。

  • 消費:旅行・外食など、今を楽しむためのお金
  • 生活改善:健康・スキルアップ・家電買い替えなど、生活の質を高めるためのお金
  • 投資:NISAなどを活用して将来の資産形成に回すお金

大切なのは、この3つのバランスを意識することです。消費だけに使えばボーナスはすぐ消え、投資だけでは生活の楽しみがなく長続きしません。今を楽しみながら、生活を改善し、将来にも備える——このバランスが長期的な資産形成の鍵です。

今日からできるアクション3つ

まとめると、すぐにでも始められる行動は以下の3つになります。

(1)支出の優先順位を考えてからお金を使う
買う前に「ニーズかウォンツか」を一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。それだけで、浪費がだいぶ抑えられるはずです。

(2)家計簿アプリを使って家計を見える化する
マネーフォワード MEなどのアプリを活用して、お金の流れを把握しましょう。まず口座を連携するだけでも、支出の全体像が見えてきます。

(3)「消費・生活改善・投資」の3分類で考えてNISAで投資も行なう
インフレ下では、お金の価値は目減りしてしまいます。ボーナスのうちいくらかをNISAでの投資に振り分けましょう。将来、大きな差につながります。

塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル

この動画は25年7月9日に公開されたものです

近著「私が投資したNISA・iDeCoのお金、このままで大丈夫?」

塚本 俊太郎

外資系運用会社で20年以上勤務したのち、金融庁の金融教育担当として高校家庭科での金融経済教育指導教材や小学生向け『うんこお金ドリル』の作成を担当。現在は金融教育家として、金融リテラシーや資産形成について講演等を行う。著書に、『50代でも間に合う!オトナの“金育”』、『子どもに伝えたいお金の話 金融教育のいまを聞く』、『サクッとわかるビジネス教養 金融学』など。また、NHK Eテレ「趣味どきっ!今日から楽しむ“金育”」(2023年3月と2024年1月計8回)、「明日から使える金育ガイド」(2026年4〜5月)の講師をつとめた。X(塚本俊太郎X金融リテラシー)にて、毎週土曜朝7時より「塚本俊太郎のゼロからのお金の学校」を音声ライブ配信している(Voicy、Podcastにもリプレイを配信)。YouTube「塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル」でも資産形成について発信している。近著に『私が投資したNISA・iDeCoのお金、このままで大丈夫?』など。X : @shuntarotsu/YouTube : @FinancialLiteracyChannel