いつモノコト

置きっぱなしでもOKなかっこいい脚立。長谷川工業「lucano」

lucano 2ステップモデル ML2.0-2。折りたたみ用のワンタッチバー以外、ネジ穴見えないなどシンプルなデザイン

1Kのワンルームアパートから2LDKのマンションに引っ越した後、それまでほとんど不要だったものがいくつか必要になった。その中で頭を悩ませていたもののひとつが、キッチンなどで必要な小型の脚立だった。

引っ越し先のキッチンは現代的で、それまでとは違って天井近くまでしっかり収納スペースが用意されているのだが、身長が170cm弱の筆者では最上段の棚に手は届くものの、奥はまったく見えないし、整理整頓する際には脚立や踏み台といったものが必要になる。また、引っ越ししたばかりだと、キッチンに限らず高い場所に棚やフックを取り付けるといった作業が発生することも容易に想像できたので、キッチン用の簡易な踏み台ではなく、DIYの観点からもちゃんとした脚立を選ぼうと決めた。

脚立で一般的なのはアルミ製の製品で、そのほとんどは大工道具、作業用品として販売されている。それらでも軽く丈夫で性能は申し分ないのだが、問題は大工道具然としすぎていて、部屋の中では悪い意味で目立ってしまうことだ。筆者宅は、仕事部屋や寝室にはクローゼットがあるものの、残念ながらリビング・ダイニング・キッチンにそうした収納はない。

脚立は、最も利用頻度の高いキッチンの近くに置いておくのが筆者にとって理想なのだが、大工道具感バリバリのアルミ製脚立をそのあたりに置いておくのはどうにも気が進まない。そうした中で、いろいろ探していて見つけたのが、今回購入した長谷川工業の「lucano(ルカーノ)」シリーズだ。筆者は標準的な2ステップモデルを購入した。Amazon.co.jpでの価格は9,662円(税込)だ。

家庭向けの機能に、群を抜くシンプルなデザイン

長谷川工業は、大工道具、作業用品としての脚立を製作しているメーカーで、さまざまな製品をラインナップしている。その中で、使用重量100kgやSGマークの安全基準のクリアといったの性能の高さや信頼性はそのままに、工業デザイナーの村田智明氏のブランド「メタフィス」と共同開発したのが、デザインにこだわった「lucano」シリーズだ。

このシリーズは2009年7月に発売された製品だが、今も現行製品で、2019年には10周年を記念した特別カラーのモデルも発売されている。一方、現在に至るまでデザインは変更されておらず、高い完成度で世に送り出されたことが窺える。

同製品の開発コンセプトは「隠さなくて良い踏み台」。このコンセプトは見事に実現されており、とにかくスッキリとしたシンプルなデザインだ。部屋のどこに置いてあっても、大工道具の脚立のような悪い意味での存在感がなく、かっこいい家具として見えるのが大きな特徴だ。

lucano(ルカーノ) 2ステップモデル ML2.0-2。白のほかに黒、オレンジ、赤がある。キッチンの高い棚を整理する時やDIYで活躍している

冷静に見ていくと、開いた状態と折りたたんだ状態の両方で綺麗に見えるよう、直線、角度、曲面などが細部まで綿密にデザインされているのが分かる。また、内側にあるワンタッチバーのパーツを除いて、主要な部分にはネジ穴がまったく見えないなど、高度(=高コスト)な設計が施されており、これもスッキリとした印象につながっている。

折りたたみ用のワンタッチバー以外、ネジ穴がまったく見えないなどシンプルなデザインが追求されている
折りたたんで無造作に置いても大工道具のような目立ち方をしない

外観デザイン以外のポイントを挙げておくと、ステップは比較的幅が広く、波型の加工もあってすべりにくくなっているので、靴を履いているわけではない家庭内でも使いやすい(すべりやすい靴下を履いているなら注意する必要はある)。

足を開いた際の固定や、折りたたむ動作は、上段ステップの下にあるワンタッチバーを操作するだけと簡単だ。折りたたんだ状態でも自立できるため、立てかける壁が不要というのもユニークだ。

転倒に注意する必要はあるが、折りたたんだ状態でも自立する

あえてマイナスらしいポイントを(価格以外で)挙げるなら、2ステップモデルで重量が3.2kgと、同社のほかのアルミ製脚立や踏み台と比べても倍近く重いこと。家庭内で週に1~2回使う程度なら気にならず、むしろ安定感があると感じるが、毎日頻繁に場所を変えて使うといった用途には向かないだろう。

脚立や踏み台は、使い終わったらどこかに仕舞ったり隠したりしておきたいものが多いが、本製品は、性能の高さはそのままに、置きっぱなしでも問題ないレベルまでデザインを追求しているのが素直に嬉しい。

上段は波型で幅が広くフラット。臨時ならイスの代わりにもなる

急な来客でイスが足りなくなって、この脚立を自分用のイスの代わりにしたこともある。常に部屋に置いておけて、目に入ることで、一時的に小物を置いたり座ったり、オットマンとして使ったりと、ただの脚立を超えた使い道を思いつくのだ。家庭内で使う脚立の購入を検討しているなら、本製品もチェックしてみてはいかがだろうか。

出しっぱなしで気にならないし、邪魔になれば折りたたんで部屋の隅に置いておけばい

太田 亮三