いつモノコト

ナビアプリは「NAVITIME」を今こそ推したい。信頼・安心・高機能

NAVITIME

3月中旬のGoogle マップのリニューアルで、ひと騒動あった。従来のゼンリンのデータが使われず、Googleが自社で作成した地図データは、「存在しない道が表示される」、「本来通れないルートが通れることになっている」といった間違いや、「航空写真で山の影となっている部分が地図上で湖になっていた」……など、数々の不正確なデータが指摘され、SNSやニュースを賑わせた。

自他共に認める道に弱い筆者としては、地図情報が不正確になる事態は非常に困ったこと。しかし、今回のGoogle マップリニューアルについてはほとんど気にすることも無く「そうなのか」という程度の認識だった。というのも普段からルート検索にGoogle マップをほぼ使っておらず、有料の「NAVITIME」を使い続けているからだ。

無料で使えるGoogle マップではなくわざわざ有料のサービスを使い始めた理由は住所の精度だ。以前にGoogleマップで正しい住所を入力しているにも関わらず、遠くはなれた関係ない場所が表示される……という体験を何度か経験してから、道に弱い筆者はGoogle マップが怖くて使えなくなった。

NAVITIMEはフィーチャーフォンの頃から10年以上にわたって使い続けている。建物は合っているが入り口が違う、程度の違いはあるものの、住所そのものが明らかに間違っている、という体験は今のところ一度もない。大事な打ち合わせにもかかわらずナビが間違っていて遅れてしまう、という悲劇を避けるためであれば、月額300円、1日10円程度の出費は安いものだ、と考えている。NAVITIME歴10年以上の筆者が、普段の利用シーンを踏まえて使い方や魅力を紹介したい。

PCとスマホで検索履歴を共有。出口や乗車位置もアシスト

NAVITIMEの魅力は、検索履歴がPCとスマートフォンで共有される点だ。どちらでルートを検索しても、両方で同じ検索ルートが確認できる。筆者の場合、目的地までのルートをPCで検索して、最初に向かうべき目的地や大まかなルートだけを把握しておき、実際に移動する時にはスマホの検索履歴からルートを表示する、という使い方をしている。

他のアプリでも、検索結果をPCからスマホへ送っておけばいいのだが、その一手間が省けるのは地味ながら便利。ルートを調べたのにスマホに送るのを忘れた! という事態も、履歴そのものが共有されているNAVITIMEなら無用の心配ということになる。

ルート情報も使いやすい。ありがたいのは、目的地付近の駅名だけでなく「どの出口から出るか」まで表示してくれるところ。同じ駅でも出口が違えばルートもまったく違ってしまうもので、正しい道順のための出口情報まで教えてくれるのは、道に弱い筆者に必要不可欠な情報だ。

また、乗り換えが発生する場合には「ホームのどのあたりにいればいいか」という情報も教えてくれる。さほど急いでいない時であればいいのだが、時間がなくて急いでいる時などは、乗り換え口に近い車両に乗ることで移動時間をできるだけ短くできる。

目的地の出口や乗車位置を表示してくれる

移動手段も多彩で、電車はもちろん車や徒歩、自転車、バスを使ったルートも同時に検索可能。道がわからない場所で電車とタクシーのどちらが早いか、をまとめて確認できる。タクシーの場合は予想運賃だけでなく乗車人数で割った場合の料金まで表示してくれるといういたれりつくせりぶりだ。最近ではシェアサイクルも加わり、近距離の移動手段としてさらに選択肢が広がった。

移動手段はバスやタクシー、シェアサイクルと多彩

ナビアプリとしてだけでなく地図アプリとしてもNAVITIMEは優秀。ゼンリンの正確な地図データを活用できるだけでなく、周囲のコンビニや銀行、レストランといった情報も検索できる。個人的には起動画面をナビではなく地図にするだけで、Google マップ的な使い方もできるのではないかと感じるほどだ。

NAVITIMEの地図表示。安心のゼンリン地図に加えてコンビニやファーストフード、銀行などもアイコン表示されてわかりやすい

NAVITIMEのナビゲーションに従って実際に移動

ここからは普段筆者がどのような流れでNAVITIMEを使ってルート検索しているのかを紹介しよう。例として文京区にある自宅を出発、神田明神で15時に待ち合わせ、という設定でルートを検索してみることにする。

まずは自宅のPCから出発地と目的地を設定する。NAVITIMEは「自宅」「会社・学校」という設定が用意されており、いつも設定することが多い自宅や会社などを設定しておくとルート検索が簡単になる。今回はすでに設定済みの「自宅」を選び、目的地は「神田明神」を検索、待ち合わせに間にあうよう5分早めに「14時55分」と指定する。

PCで出発地と目的地を設定

通常はこれでルートを検索するが、今回は「雨が降っているのでできるだけ屋根の多いところを移動したい」という設定で、詳細条件から「屋根が多い」という条件を追加。検索結果を眺めて「だいたいどのくらいの時間に家を出ればいいか」「どの駅に向かえばいいか」を確認したら、自宅での準備はこれで終わりだ。

徒歩設定で「屋根が多い」を選択。他にもエレベーター優先や定期券優先などさまざまな設定が用意されている
表示された候補からおおよその時間とルートを把握。なお、出発地となっている自宅は記事のための仮設定で、実際には公園になっている

出発時間が近づいたら出かける準備をして、駅に向かうまでの間にスマホで検索済みのルートを確認する。自宅の最寄り駅なので地図を見る必要はなく、いつも通り駅に向かえばいい。

「履歴/メモ」を選択→PCの検索履歴が表示される→ルート候補→今回は千石駅から電車に乗り、大手町で乗り換えて新御茶ノ水に向かうルートを選択

予定していた出発時間から多少ずれていた場合も、「前の3本」「次の3本」という前後のルートを候補表示してくれるので、自分が出た時間に近いルートを選べる。

ルートの下部に「前の3本」「次の3本」が用意されている→「次の3本」から現状に近い候補を選択し直せる

最寄り駅の改札を抜けてホームに到着、電車が来るまでにまだ余裕がある場合は、NAVITIMEで乗車位置を確認して乗り換え口に近い位置へ移動しておく。出口がホームの端にあるような駅の場合、反対側の車両に乗っているとホームの移動だけで時間をロスしてしまい、想定している乗り換え時間に間に合わない、ということもあるためだ。

千石駅での乗車位置を確認。この「6両目」表記はわかりにくいので、ホームを見渡してた上で大まかな位置を自分で推測した上で移動する

乗換駅で降りたら次の電車のホームを目指すが、このときはNAVITIMEをあまり使わず駅構内の掲示を見ることが多い。NAVITIMEでも駅構内の乗り換えルートを地図で表示してくれるが、屋内の場合は位置情報が正しく取得できないので、リアルタイムでナビゲーションしてくれるわけではない。加えて、駅構内は乗り換え方向が丁寧に掲示されているため、それに従った方がスマホをこまめに見るよりも楽だからだ。

電車を降りたら駅構内の案内を見ながら進む
千代田線に乗り換え

乗り換え駅のホームに着いたら、先ほどと同様に出口と近い車両位置へ移動しつつ、目的地の駅で「何番出口から出るのか」を確認しておく。駅についたら目的の出口へ進みつつ、出口から外に出る直前くらいでアプリのルート検索を表示する。地下鉄などでは正しい位置情報が取得できず、結果としてルート検索までの時間がかかってしまうためだ。

大手町駅での乗車位置と新御茶ノ水駅での出口を確認。「前から1両目」となっているが、都営三田線から乗り換えるとホームの一番後ろ側に出るため、電車の端から端まで同じ距離を歩くことになる
駅に着いたら案内を見ながら出口へ向かう

駅を出たらまずは「どちらに向かうのか」を地図でしっかり確認。電子コンパスが搭載されているスマホなら正しい方向を指すはず、だが、実際には逆の方向を表示していたり、正しい方向に道が複数あってどれを選んでいいかわからない、ということも多い。そのため筆者は地図の大通りやコンビニ、銀行の位置などを見て正しいルートを必ず目視で確認するようにしている。

地図を見て向かう方向を確認
実際の景色と見比べる。今回は線路を越えるルートのため、線路のある方向へ向かう

向かうべき方向が決まってしまえば、その後表示されるルートはほぼ正確なので安心。曲がるための目印をある程度覚えておき、信号で止まるたびにスマホを取り出して確認する、程度で十分。また、Wear OSやApple Watchなどのスマートウォッチと連携していれば、どこで曲がればいいのかなどをスマホを取り出さずに確認できるので便利だ。

リアルタイムに表示されるルート

後は目的地に到着するだけ、なのだが、最後に1つ確認しておきたいのが目的地の形状だ。前述したとおり、NAVITIMEは建物の位置は正しいのだが入り口が違って案内される、というケースもまれに存在する。正面入り口ではなく裏口に案内されてしまい、結局正面に回り込む、という場合に備えて、地図だけでなく目視でも「どこが正しい入り口なのか」は併せて確認するのがお勧めだ。

目的地に到着

道に弱い人にとって無くてはならない存在

本稿で何度も述べた通り、筆者は非常に道に弱いという自覚があるが、NAVITIMEのおかげでスマートフォンさえあれば知らない土地でも怖がらず出かけられるようになった。利用時間こそSNSやメールのようなアプリほどではないが、無くてはならない存在という意味ではNAVITIMEが一番かもしれない。

ナビアプリは無料有料含めていろいろあるのだが、PCとの検索履歴連動、出口や乗車位置の表示、多彩な移動手段や検索条件などが魅力なことが、今も使い続けている理由だ

もちろんNAVITIMEも完璧なサービスではなく、特にUI周りは長年使っているといろいろと課題を感じるところも多い。しかしNAVITIMEのナビゲーションは、そうした課題を上回るメリットと信頼を感じている。Google マップのリニューアルで新しい地図アプリを探しているユーザーも少なくないと思われるが、その候補の1つとして有料ならではのメリットを提供してくれるNAVITIMEもぜひ体験して欲しい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝