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「スタートアップ」で成功するには? 失敗しないための3つの鉄則

近年、起業という選択肢は身近なものになりました。しかし、勢いだけで飛び込み、志半ばで挫折してしまう挑戦者が後を絶たないのも現実です。実は、スタートアップには特有の「型」があります。現役ベンチャーキャピタリスト(VC)が、数多くの支援現場から導き出した「再現性のある仕組み」とは何か。25年12月刊行の書籍『いちばんやさしいスタートアップの教本』から、成功確率を高める3つのポイントを解説します。

1.「スタートアップ」か「スモールビジネス」か? 性質を理解する

まず、自分が作ろうとしている会社の性質を正しく理解する必要があります。起業には大きく分けて「スタートアップ」と「スモールビジネス」の2つの形態があり、これらを履き違えると、資金調達や成長戦略で矛盾が生じてしまいます。

スモールビジネス
早期の黒字化を目指し、自己資金や銀行融資で着実にかつ「線形」に成長するモデルです。

スタートアップ
VC等からの出資を受け、新しい技術やビジネスモデルに挑戦します。初期は赤字になってでも将来の爆発的な成長を目指し、「Jカーブ」を描くのが特徴です。

スモールビジネスとスタートアップの成長カーブの違い

投資家は、単に「いい事業」かどうかだけでなく、「Why Now(なぜ今、この事業なのか)」という視点を極めて重視します。時代の変化や技術の進歩が味方しているかどうかが、急成長の鍵となります。

2.「いいアイデア」を疑え。顧客の行動を見る「MVP」検証

スタートアップが失敗する最大の理由は、実は「市場ニーズのなさ(顧客が存在しなかったこと)」です。アイデアに惚れ込みすぎて多額の資金を投じる前に、まずは「最小限の機能(MVP:Minimum Viable Product)」で仮説を試さなければなりません。

ここで重要なのは、顧客の「意見」ではなく「行動」を聞き出すことです。

NG
「この機能、便利だと思いませんか?」といった誘導質問。

OK
「最後にその問題で困ったのはいつですか?」「そのとき、どうやって対処しましたか?」という過去の行動の深掘り。

未来の希望ではなく、過去の「実体験」に基づいたズレを発見すること。たった1人の熱狂的なユーザーを見つけることが、成功への最短距離となります。

MVPは「価値が伝わるかを試す」もの。著名なスタートアップの具体例も解説

3.「平等」は最大の毒? 致命傷を避ける「株式設計」

意外と見落とされがちなのが、創業時の株式比率です。友人同士で起業する場合、「みんなで始めたから均等に」と分け合いたくなりますが、これは実務上、極めて高いリスクを伴います。株式は単なる利益の取り分ではなく、「責任と権限の比率」です。

意思決定の停滞
均等割りでは判断が膠着しやすく、スピードが命のスタートアップでは致命傷になります。

代表者の比率
創業時点では、全リスクを一身に背負う代表者が8割〜9割程度の株式を持つことが、迅速な経営と投資家からの信頼維持のために推奨されます。

「平等は必ずしも公平ではない」という視点を持って、創業株主間で事前にルールを文書化しておくことが、長期的な信頼関係を守ることにつながります。

ありがちな判断にもVC視点でアドバイス

荒波を乗り越えるための「地図」を手に入れる

スタートアップの道は厳しく孤独ですが、再現性のある仕組みを理解すれば、不確実性は「乗り越えられる挑戦」へと変わります。

今回紹介した内容は、本書の入り口に過ぎません。『いちばんやさしいスタートアップの教本』(インプレス)では、さらに具体的な資本政策の立て方、VCを味方につけるピッチ術、そしてシリコンバレー流のマインドセットまでを体系的に学ぶことができます。

これから一歩を踏み出すあなたにとって、本書が最も信頼できる「地図」となるでしょう。

いちばんやさしいスタートアップの教本 人気講師が教える実践的な起業ノウハウ

数多くの起業家と伴走してきた現役VCが、現場で培った「成功の型」を公開。「アイデアをどう形にする?」「資金調達は何から始める?」といった悩みに、実務レベルの解像度で答えます。チーム組成からVCとの関係構築まで、「ゆりかごから自立」を完全網羅。さらにシリコンバレー駐在経験に基づく現地のマインドセットも解説します。世界で勝負したい起業家にとって、本書は、想定される失敗を回避して事業を加速させ、成功への最短ルートを指し示す一冊です。

いちばんやさしいスタートアップの教本 人気講師が教える実践的な起業ノウハウ

・価格:2,200円
・発売日:2025年12月23日
・ページ数:208ページ
・サイズ:A5判
・著者:野澤 博 著/山田正美 著/白石健太郎 著
・内容
Chapter 1 スタートアップとは?―VCが投資する企業を知ろう
Chapter 2 課題を見つけて事業アイデアを考えよう
Chapter 3 MVPを作って顧客の声を聞こう
Chapter 4 チームビルディングと株式設計を知ろう
Chapter 5 起業直後のインフラを整えよう
Chapter 6 資金調達をはじめよう
Chapter 7 VCを味方につけよう
Chapter 8 初期のマーケティング・セールス戦略を考えよう
Chapter 9 成長ドライバーとユニットエコノミクスを知ろう
Chapter 10 アメリカで学び、適応し、起業する