ニュース
LINEヤフー、全社横断でAIエージェント量産体制 カレンダーなど新「Agent i」
2026年8月31日 00:00
LINEヤフーは28日、AIエージェントブランド「Agent i(エージェントアイ)」の新機能とともに、AIエージェントの量産体制構築に向け「Agent i 全社横断タスクフォース」を立ち上げると発表した。新体制で、Agent iを日常のくらしのパートナーとして強化していく。
Agent iは、LINEとYahoo! JAPANのサービスからアクセスできるAIエージェント(Webサービス)で、対話を通じて疑問の解決や提案を行なう。4月20日のサービス開始時には、「お買い物」、観光コースやお出かけ支援「おでかけ」、Yahoo!天気と連動した「天気」などを開始したほか、LINEやYahoo JAPANアプリなどから、Agent iの各機能を呼び出せるようになっている。
今回、新たに「カレンダー」、「トーク/アルバム動画」、「WEB操作ガイド」、「スクショ管理」、「目覚まし」、「ショート動画作成」、「情報自動追跡」、「ペットライフ」のAgent iを披露。これらは2026年度中に順次提供予定としている。
LINEヤフー 上級執行役員 AI Agent統括SBUリードの葭沢 光伸氏は、Agent iの「本質」として、「単に質問に『答えるAI』ではなく『動くAI』にしていきたい」と説明。日常の疑問を相談するだけでなく、AIがユーザーの意図を受け取り、日常のタスクを実行する「暮らしのパートナー」を目指すという。
そのため、複雑なプロンプトは不要で直感的に操作できること、LINEヤフーの豊富なデータ活用、複雑なタスク実行力の3点を軸にAgent iを強化していく。
Agent iは、4月のスタート時には7つだったが、現在は27となり、10月までに40まで拡大予定。将来的には数万の機能・領域エージェントを、LINEやヤフーの各サービスやLINE公式アカウントなどで活用する体制を目指す。
Agent iの現在の日次アクティブユーザー数(DAU)は1,200万。利用が多いのは、LINE上の「Agent i」アイコンからのチャット対話や、Yahoo!検索の画面から入るAgent iとのこと。ユーザーが質問して特定の領域エージェントに入り、そこで会話やタスクを継続していく、という使われ方だ。
この使われ方でも単なる利用回数ではなく、「なんども質問を繰り返したか」を重要指標と位置づけており、「右肩上がりで伸びている」(慎ジュンホCPO)という。
さらなる「Agent i」推進のため、LINEヤフー社内の構造改革を進め、「AIエージェント10倍量産体制」を目指す。
タスクフォースで「Agent i」量産 既存サービスと融合
9月1日には「Agent i 全社横断タスクフォース」を立ち上げ。タスクフォース長はCPO(最高プロダクト責任者)の慎ジュンホ氏で、「AI駆動型」開発体制への移行を進める。
慎氏は、4月以降のAgent iにおいて、エージェントのプロトタイプ開発の期間が「従来の2倍以上のスピードに跳ね上がっている」と強調。予想以上のAI導入効果を実感しているという。
従来、プロトタイプの制作は3カ月~6カ月程度かかっていたが、AI駆動型チームで開発したところ、平均1.5カ月まで短縮。メンバーも、従来の開発では30〜40名規模で、企画チーム、デザインチーム、開発チームなど縦割りの分業体制で、作業をリレーしていくスタイルだった。新しい「AI駆動型チーム」は、AIを中心とし、チームも少数精鋭となり、企画、デザイン、開発のメンバーが同じ1つのチームに集合。AIを使いながらサービスを作り上げていくスタイルとなる。
これにより、試行錯誤のスピードが「何百倍」で、「結果として、『良いプロダクトが、より短期間で完成する』と強く実感している」という。
タスクフォースでは、年末までに、各領域に約20個のワーキンググループ(WG)を設置し、さらなる量産体制を確立する。
これまでの「Agent i」は立ち上げを優先し、「有志」が、自分たちが作りたいものを決めて社内でテスト。その評価を元に構築してきた。例えば、クルマとは全く関係ないチームのメンバーであっても、「クルマが大好きだから、自動車関連のエージェントを作りたい」と自主的にモックアップを作って提案し、それが採用された例もあるという。職種や元々の所属領域に関係なくチームに入り、プロトタイプ作成からテストまで一気通貫で行なう。公募によって集まった熱意のあるメンバーだからこそ、スピードを持ってサービスを形にできたという。
新体制でも「熱意」を重視しながらも、検索・トラベルといった既存のサービス/プロダクトとAgent iの連携を強化し、エージェントとサービスの融合を目指す。「これまでは『熱意』に依存する部分が多かったが、この仕組みが成功すると確認できた。9月以降は既存のライン組織が、公式に責任を持ってこのプロジェクトにコミットする体制へと移行する」(慎CPO)。
この新体制により、開発スピードや生産性を10倍以上に高め、それ以上の価値を持ったエージェントを開発していく。慎CPOは、AI駆動開発による人員削減は否定し、「やりたかったことを実現するための体制づくり」と強調。既存組織が長年培ってきた専門知識やノウハウをエージェントに加えることで、より本格的にプロダクトに統合していく。
8つの新「Agent i」プロダクト
あわせて、8種類のAIエージェントのプロトタイプを公開。カレンダーやトーク/アルバム連携など、既存サービスとの連携を強化したものも多い。
カレンダー
カレンダーは、今秋に提供予定の「LINEカレンダー」アプリとの連携を想定した機能。スマートフォン内の写真やスクリーンショットから、日程が記載されたポスターや予約画面などの画像をAIが自動解析し、未登録の予定を検出。登録を提案する。
カレンダーへの登録は利用者が確認する必要があるが、「スクショ・写真を撮るだけ」でカレンダーの入力画面が完了しているイメージ。例えばライブチケットの抽選結果のスクショと支払い期限や学校で配られた紙のスケジュールなどを撮影しておけば、あとはカレンダーで入力データを確認するだけで、登録が完了できる、といった使い方を目指す。
手入力の手間を減らし、予定管理をスマートに実行するもので、LINEでの日程調整のやり取りなどもカレンダー登録しやすくする。なお、Agent iのカレンダー機能は、LINEカレンダーアプリの公開直後には搭載されない見込みで、26年度の導入を見込む。
トーク/アルバム動画
LINEのトークやアルバムから、縦型の動画を作成してくれる機能。「誰と何を話したか」「どんなことを相談してきたか」などの文脈を読み取り、当事者間の思い出を振り返れるショート動画を簡単に作成する。
トークの画像も活用するほか、京都旅行などのアルバムを皆で共有し、そのデータを使ったショート動画作成も可能。YouTubeやSpotifyなどのサービスでは「1年のまとめ」などの振り返りができる機能があるが、そうした体験をLINEのコミュニケーションを起点に実現する。
WEB操作ガイド
ユーザーがやりたいことを一言入力するだけで、ブラウザーで開いている画面上で次にタップすべき場所を順番に示し、操作完了まで案内する機能。Chrome拡張として提供し、実際の操作はユーザー自身が行なうかたちだ。一般ユーザー向けよりは、SaaSサービスのオンボーディング(導入支援)などビジネス向けの展開を想定したエージェントという。
スクショ管理
保存したスクリーンショットを、AIが自動で整理して関連する情報を提供する。選択したスクショについて、「髪型」「スニーカー」「口紅」など自動分類し、スクショを分かりやすく分類。また、スニーカーについてはブランドやYahoo!ショッピングへのリンクなども表示し、直接購入できるほか、Agent iに詳細を質問することもできる。
ショート動画作成
好みの写真や動画を選択して一言入力するだけで、AIが内容に応じた台本を作成。テロップ・BGM・ナレーション付きのショート動画を短時間で簡単に作成する。まず3パターンの動画を作成し、そこから細かな調整が行なえる。基本的にLINE上で友人と共有することを想定している。
情報自動追跡
気になる出来事やテーマを登録しておくと、AIが過去の経緯から現在までを時系列で自動整理し、新情報が入ると通知する。例えば「大谷翔平」のキーワードでは、大谷選手のこれまでの歩みを年表で表示できるほか、今日の成績などを自動通知してくれる。「情報トラッカー」としての活用を目指すという。
ペットライフ
愛犬や愛猫の健康状態や日常の記録をもとに、AIが健康相談やおでかけ、買い物を提案する。ペットの写真を使ったLINEスタンプの作成機能や思い出アルバム機能も提供予定。
多くのプロダクトは2026年度内の提供開始を予定。有料/無料などを含めて提供形態は未定としている。
今後Agent iが増えていくことで、既存のLINEやヤフーのサービスと競合していく可能性もあるが、現時点では既存サービスと連携させるかたちを重視しているという。
「ユーザーは今のサービスに慣れているので、それらをベースにAI機能を組み込んで進化させていくアプローチをとっている。一方で、全く新しい体験を提供する手段として、10月にはAgent iの単独アプリを開発し、切り出して提供する。単独アプリでは、LINEの枠を超えて外部のサードパーティも交えながら、新しいエージェントとしての体験を提供していく方針」(慎CPO)。































