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脱キックボード”のLime 新型電動アシスト自転車「LimeBike」
2026年4月23日 13:00
電動モビリティのシェアサービスを展開するLimeは、新型の電動アシスト自転車「LimeBike(ライムバイク)」の日本導入を開始した。また、新サブスクプラン「LimePrime」を開始するほか、ハローサイクリングを運営するOpenStreetとのモビリティポート共有なども展開する。
Limeは、東京都内や沖縄で電動モビリティのシェアリングサービスを展開している。Limeでは3月に電動キックボードを廃止し、全車両を座って乗れる「Limeラクモ」に一本化していたが、新たなモビリティとして電動アシスト自転車の「LimeBike」を開始し、2種類のモビリティ展開とする。LimeBikeの第1弾は、4月から東京16区において順次配備を進めている。
LimeBikeは、アクセシビリティに配慮して設計された電動アシスト自転車。身長150cmから190cm台まで対応可能で、電動アシストにより登り坂でも使いやすく、車体前方には荷物を運べるかごを備えており、買い物や通学、観光などで利用できる。
タイヤインチは20インチと小径化。タイヤの太さは2.4インチと太めのもので安定感を向上するほか、「自然なサスペンション」として乗り心地を向上した。後部にカゴなどを追加できるスペースにした(通常は特に設置なし)。また、サドルの調整しやすさも特徴としている。
Limeのテリー・サイ代表取締役社長は、車両設計やメンテナンス、利用者教育など同社が一貫してハードウェアからサービスを構築していることを紹介。8年前の海外でのサービス開始時は数週間でモビリティが故障するなどトラブルが多かったが、自社で改良を重ねることで、現在は5年ほど使える機体も増えているという。
単に頑丈なモビリティを作るだけでなく、モデルチェンジ後も継続利用できる部品設計や、部品の交換可用性、メンテナンス性なども自社設計ならではの特徴とする。
また、LimeBikeでは新たに位置精度の向上を目的としたアップデートも導入。国土交通省や関連団体とも連携しながら、例えば歩道走行時にアラートを出すなど、より積極的な安全対策につなげるように設計しているという。
加えて、新たなサブスクリプション型サービス「LimePrime」も開始する。通常の利用料金は都市によって異なるが、東京では最初の15分が90円、以降20円/分など。LimePrimeでは、月額999円のメンバーシップに加入することで、基本料金が無料となるほか、1回20分までは90円で何度でも利用できる。利用料金は5分以内が45円、20分まで90円、20分超過後は1分あたり21円で、短距離・高頻度の移動を手軽にできる料金体系とした。
ハロサイと共同ポート連携 電動キックボードとは「組めない」
また、OpenStreetと提携し、HELLO CYCLING(ハローサイクリング/ハロサイ)とLimeのポート連携を5月のゴールデンウィーク明けから順次開始する。第1弾として、一部ポートでHELLO CYCLINGとLimeのポートを連携し、それぞれのアプリから車両を予約・利用し、連携対象ポートで乗車・返却できるようにする。
当初の対象エリアは、池袋・浅草・下北沢・二子玉川・恵比寿など。
5月の段階では、LimeとHELLO CYCLINGで共通のポートが使えるというシンプルな連携のみ。利用者はそれぞれのアプリから自社車両を予約・利用し、連携対象ポートに返却できる。この連携ポートは今後数千ポートまで拡大予定としている。
さらに、段階的にアプリ連携を拡大していき、HELLO CYCLINGからLimeBikeを利用可能にするほか、LimeのアプリからHELLO CYCLINGを借りるといったことも可能となる予定。こうした連携は26年秋以降を予定している。
OpenStreetでは、13,700カ所のステーションと、58,000台の自転車を展開しており、全国各地に展開している。特に首都圏の郊外や自治体連携に強みを持ち、自治体と連携した取り組みは同社とドコモ・バイクシェアの2社が日本における主要プレーヤーとなっている。
また、HELLO CYCLINGとドコモ・バイクシェアは横浜で共同ポート展開などを進めるなど連携しており、こうした流れの中でLimeとの連携を進めた。Limeとしても、ポートの開拓についてHELLO CYCLINGのポートを活用することで利用者利便性を高めていく方針だ。
特にHELLO CYCLINGでは自治体連携により、駅前など好立地のポートが多い。共同ポートはこうした公共性の高い場所を中心に展開していき、各エリアでのより細かなポート展開は各社が競争しながら広げていく方針だという。
OpenStreetの工藤智彰社長は、シェアサイクル市場の拡大にあわせて、「エリアとサービスの分断」「用地とコストの高騰」などの課題がでており、地域ごとのサービスの囲い込みで利用者の利便性を損なっている側面があると指摘。事業者ごとにサイロ化したユーザー体験でなく、ポートを「共有財産」として広げていく必要があると説明した。
こうした方針のもとLimeとHELLO CYCLINGの連携を進める。工藤社長によれば、シェアモビリティのサービス連携については、共通規格の策定を国交省や関連団体で進めており、将来的には事業者をまたいだサービス連携を見込んでいるという。
なお、OpenStreetは電動キックボードを展開しておらず、Limeも3月をもってキックボードを終了している。OpenStreet/HELLO CYCLINGは、日本においては電動キックボードは安全性や道路事情の問題などで導入しない方針を決めており、Limeとの共同ポート展開においても、「電動キックボードを含んだ連携は難しい」と伝えていたという。
Limeのテリー・サイ代表取締役社長は、Limeの電動キックボード終了はそれだけが理由ではなく、利用状況を総合的に判断した結果とするが、「日本の大先輩の意見は参考にした」と語った。
なお、今回のLimeBikeの共同ポート展開についても、当初開発したLimeBikeはいまより全長が長く、重量も重いものだったという。そのためポート展開や回収・再配置業務などの影響が懸念され、OpenStreetの工藤社長はその旨をLimeに伝えていた。結果として、より日本の環境に沿ったLimeBikeとして今回のサービス展開に至ったという。
駐車場を「目的地」に 三井のリパークの狙い
またLimeは、三井不動産リアルティが展開するシェアモビリティ拠点「マルチモビリティポート」に参画。この施策は「三井のリパーク」駐車場や駐輪場の一部のスペースを複数のシェアモビリティで共同利用する取り組みで、三井不動産リアルティではこのマルチモビリティポートを2026年度中に500カ所まで増やす方針。
Limeは、三井のリパークの「南千住駅前第2駐車場」にLimeラクモのポートを設置し、5月以降LimeBikeも配備予定。
三井不動産リアルティでは、「三井のリパーク」を単なる駐車場ではなく、「目的地」になるよう機能強化する「リパークのまちえき化」を進めている。レンタルスペースやマルチ充電スポット、宅配ボックスなどを組み合わせた他サービス+駐車場とすることで“人が集う場所”としての付加価値を高める狙いだ。
その中にマルチモビリティポートも展開し、複数のモビリティ事業者と連携してポートを整備する。Limeだけでなく、多くの事業者の参画を目指していく。



















