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コクヨ、築28年のビルを購入・リノベしたシェアオフィス「モヴ クラマエ」

コクヨは、25年3月に取得した築28年の一棟空きビルを自社で全面リノベーションし、シェア型オフィス「MOV KURAMAE(モヴ クラマエ)」として4月にオープンする。メディア向け内覧会が実施され、その内部を見ることができた。所在地は東京都台東区蔵前1-4-1。オフィス区画の申込受付を開始している。

コクヨが取り組む新規事業「不動産再生事業」の第1号案件。8階建てのオフィスビルをシェア型オフィスにリノベーションした。同事業ではコクヨが不動産の取得から企画、リノベーション、運営までを自社で一貫して行ない、不動産のバリューアップを目指している。

ビル外観
フロア構成

立地はJR浅草橋駅から徒歩6分、都営浅草線浅草橋駅から徒歩4分、蔵前駅から徒歩5分。蔵前エリアには、新しいものづくり系のショップや飲食店の出店も続いていることから、モヴ クラマエを通じて蔵前エリアに働く場としての価値もつくり、街の魅力を高めるとしている。

モヴ クラマエでは、1~10数名まで選べるオフィス区画を設置。ドリンク・スナック・Wi-Fi・水道光熱費などは利用料金に含まれている。

シーンに応じて利用できる共用空間を複数フロアに設置。1階にはカフェ、2階には専用ラウンジを備えるほか、プレゼンテーションや取引先との懇親会などでも利用できる4~10名の会議室を複数設置した。また、急な来客やカジュアルな打ち合わせでの利用を想定したラウンジ「SOFA」や、1名用のWebミーティングルーム(12室)もある。

2階の会議室
5階の「SOFA」
3階のWebミーティングルーム

ロゴは、「MOV」での活動が蔵前の地の上で広がっていくことをイメージしたほか、「MOV」の一文字一文字を人や活動そのものとして捉え、様々な動きの集合体が影響し合いながら豊かな場を形成していくことを表現している。キービジュアルは、ひらがなの「く」の文字の上に、「M」「O」「V」の文字が可動性のある形で配置されている。ロゴデザインはコクヨ ヨハクデザインスタジオ。

ロゴ(左)とキービジュアル(右)

エントランスには、モーションロゴが物理的に動くモニュメントを設置。コクヨ ヨハクデザインスタジオ チーフディレクター 鹿野喜司氏によれば、「『M』『O』『V』の文字がそれぞれランダムに動き、ぶつかる寸前で離れたりする様子に、モヴ クラマエでの活動が重なり合い、新しい活動として広がっていくという思いが込められている」という。モニュメントの設計・制作は、台東区エリアに拠点を構えるエンジニアリングスタジオ「nomena」が担当した。

エントランス
モニュメント
コクヨ ヨハクデザインスタジオ 鹿野喜司氏

空間デザインは、住まうように働く場を目指している。1階は街とつながる開かれた場、2階は人を迎える客間のような場とし、そこから上階の私的領域へと空間が連なるよう計画した。

また、あらゆる場所に滞在性をもたせ、機能や貸し区画にとらわれず、利用者が建物全体を自らの居場所の集積として感じられる構成を目指した。階段の角部分は長方形だったが、Rをとって柔らかい印象にするなど、細かい部分のリノベーションも施し、移動も含めてここが気持ちいいと思える場所を連続的に構成している。空間デザインはロゴ同様、ヨハクデザインスタジオ。

壁面に「角」がない階段

1階のカフェは、浅草橋で2020年に自家焙煎スペシャルティコーヒーショップ「WESTSIDE COFFEE」をオープンさせたLOBBEEが、新業態「REFRESH STAND」を出店。サンドイッチ、焼き菓子、コーヒーなどを提供する。

REFRESH STAND

リフレッシュスタンドという名称には、食事だけではなく、空間やここでの体験が人のエネルギーになるというイメージで命名している。店内はU字型のカウンターが空間的なシンボルとなっている。

U字型のカウンターが特徴

サービスは飲食のほか、立ち読みしたくなるセレクトの本棚や、レコードによるBGMなどのこだわりにより居心地の良さを演出。入居者以外も利用可能で、観光客や地域住民も含めてリフレッシュの時間を提供するとともに、多様な人々が行き交い、小さな発見を通して新たな関係性に出会える街の寄り合い所のような存在を目指す。

2階のラウンジ「MOV LOUNGE」は、コクヨとしても「本物件の最大の魅力」と位置づけるエリア。入居企業が自由に使える広いラウンジで、1人での作業やランチ、来客対応などで利用できる。水回り付きのカウンターや炭酸水サーバーなどの設備も用意している。

MOV LOUNGE
フリーデスク
手前が炭酸水サーバー

8階には特徴を持たせた会議室として「KURA-MA(クラマ)」「TATAMI(タタミ)」を設置。クラマはシンク付きカウンター・バルコニー・テレビ付きの会議室で、食事をしながらの取引先との打ち合わせから、チームでのスポーツ観戦まで、様々な用途で使用できる。

クラマ

タタミは4畳半の和室会議室で、雰囲気を変えた打ち合わせやゲストのおもてなしに最適としている。机が収納可能でフラットになるため、4畳半の広さの範囲内でのイベントも開催できる。

タタミ

専有部となるオフィス区画は、4席~13席のデスク・チェア付き完全個室を用意。最上階はテラス付きとなっている。1名~2名の少人数で利用できるオフィス区画も設置している。賃料は、1席が33,000円~、5席が190,000円~、10席が338,000円~など。

8階のテラス付き個室。コクヨの最高峰チェア「ingCloud」が設置されているが、施設内ではこの1脚だけ
6階の個室
5階セミオープンタイプのハイブースエリア
3階の1名用ブースエリア
ブースエリアのデザインで特徴となるパイプ。この中にケーブルなどを設置している
3階のデスクエリア

延床面積は2,222.51m2(公簿面積)、建物の竣工は1998年5月、改修完了は2026年3月。

バリューアップから不動産売却まで見据える

内覧会では、コクヨ アセットプランニンググループ グループリーダー 齋藤丈寛氏が、モヴ クラマエとなったビルの歴史を説明。最初はカバン屋の本社ビルだったが、その後何度か売買され、直近のオーナーは賃貸ビルとして使用していた。それをコクヨが取得して小割の区画と共用空間を設けたシェア型オフィスとしてリノベーションした。

コクヨ アセットプランニンググループ 齋藤丈寛氏

モヴ クラマエを含むコクヨの不動産再生事業については、2025年から既存建物を活用して収益化を図る事業として本格始動した。今後は請負型、マスターリース型、自社取得型のいずれかで、年1棟ペースで着手していく予定。物件の取得からプロパティマネジメントを含む運営までを一貫して手がけることで、不動産のバリューアップを図る。さらに、バリューアップした不動産の売却までを含めた事業スキームとして展開する。齋藤丈寛氏によれば、モヴ クラマエの将来的な売却についても、可能性の1つとして事業を検討していくという。

またコクヨは2012年に、メンバー制ワークラウンジ「Creative Lounge MOV」を渋谷ヒカリエに開業し、運営している。シェアオフィスといった業態は現在ほどは多くなく、渋谷自体もオフィスエリアではなかった時代に「MOV」を開始しており、モヴ クラマエもその延長線上の事業となる。