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神宮「新秩父宮ラグビー場」着工 日本初の屋内全天候型・最大2.5万人収容

外観イメージ

秩父宮ラグビー場株式会社は、神宮外苑地区にて計画している「新秩父宮ラグビー場」を2月3日に着工したと発表した。日本初の屋内全天候型ラグビー場で、収容人数はラグビー開催時が約15,000人、イベント時が約25,000人。2030年の開業を予定している。また、トップパートナーとして三井住友フィナンシャルグループが決定し、副名称は「SMBC Olive SQUARE」となる。

秩父宮ラグビー場株式会社は、鹿島建設を代表企業として、三井不動産、東京建物、東京ドームが参画している。

神宮外苑の施設においては、秩父宮ラグビー場が築78年、神宮球場が築99年を迎え、老朽化が課題となっている。これらの施設を、移設する形で順次建て替えるプロジェクトが進められており、新秩父宮ラグビー場はその第1弾となる。

現在の秩父宮ラグビー場
神宮球場

計画地は神宮球場と国立競技場(MUFGスタジアム)の間に位置し、都立明治公園とも隣接する。新ラグビー場整備完了後に、現在のラグビー場の場所に野球場・野球場併設ホテル棟が建設され、その後、現在の神宮球場の場所は主に広場となる。

位置図
手前の建設現場の先には国立競技場が見える

新ラグビー場の整備は第I期と第II期の2段階で進められ、2030年の開業は第I期、神宮球場移設後に現在の球場がある場所の一部まで拡張する事業が第II期となる。

計画概要を説明する鹿島建設 常務執行役員 営業本部副本部長 吉美宗久氏

新ラグビー場は、引き続きラグビー場として利用されるほか、音楽コンサート、スポーツイベント、企業の展示会などのイベントに対応する。規模は、地上8階・地下1階、高さ46.25m、敷地面積34,437.54m2(第II期整備後:43,476.27m2)、延床面積72,957.17m2

建物の配置は、神宮外苑地区の都市計画を踏まえ、競技施設エリアと接する東側の円周道路を「静かな賑わい軸」、西側のスタジアム通りを「活気ある賑わい軸」ととらえ、神宮外苑地区と調和したネットワークを形成する。屋根の高さは国立競技場や明治神宮聖徳記念絵画館と同程度と、この点でも周辺との調和を意識。また、上部を垂直方向に細かく分節した傾斜屋根とし、圧迫感を感じさせない外観デザインとする。

外観イメージ
屋根の高さは隣接する国立競技場と同程度

ラグビー開催時の収容15,000人は、ラグビーの国際大会等の開催が可能な施設水準。東西スタンドを均等にした「ダブルメインスタンド」と、フィールドコーナー部の観客席「ラグビータワー」、フィールドと同レベルの観客席「フィールドバー」、ラグジュアリーな「VIPラウンジ」等の多彩な観戦体験を提供できる環境を整える。

ラグビー利用時
ラグビータワー
フィールドバー
VIPラウンジ

また、あらゆる場所からフィールドとつながるオープンなコンコース、ユニバーサルデザインに配慮したサイン・座席計画など、あらゆる人が楽しめる施設とする。そのほか、座席は前後左右にゆとりを確保する。

観客席がない南側には、50×12mの大型ビジョンを設置。ラグビーの試合時だけではなく、ライブ・コンサートなどのイベント時の演出にも活用できる。収容25,000人で、平日の来場も容易な都心の立地という特徴を活かし、国内外トップクラスのアーティスト公演によるエンタメの中心地となることを目指す。都内の全天候型会場としては、東京ドームに次ぐ規模になるという。

音楽コンサート利用時
展示会利用時

施設周辺については、南側開口部を開放することによりフィールドから南側広場(II期工事で整備)まで連続した空間を創出するなど、どこからでもアクセス可能とする。また、隣接する国立競技場や明治公園と連携しながら、神宮外苑地区全体のにぎわい創出を目指す。

鳥瞰
北東側外観

敷地内の存置樹木を最大限保存するほか、外苑創建時に植樹された樹種から敷地内に植樹する新植樹を選定し、神宮外苑地区の緑地形成を図る。北側には日本スポーツの歴史や価値を発信する博物館機能を設け、周辺の文化施設と連携した文化交流の拠点とする。

新秩父宮ラグビー場の開業に向け、新しいシンボル「Scrum Arch スクラムアーチ」を作成した。

シンボルマーク
ロゴ

デザインの基調は、新たな秩父宮ラグビー場入り口のファサードが描く曲線。並び立つ柱により、スクラムを組む選手たちを想起させるデザインとした。柱の間に浮かび上がる5つの空間は、ラグビーボールをイメージするともに、夢の舞台へのゲートでもあるとしている。ラグビーの5つのコアバリュー、品位・情熱・結束・規律・尊重が宿っているとし、並び立つアーチは感動と夢が波紋のように広がる様子を描いている。誰かの夢が叶い、また新しい夢がはじまる「WHERE DREAMS PLAY」の舞台であることを宣言するシンボルとしている。

三井不動産 代表取締役社長 植田俊氏は、「新秩父宮ラグビー場は、賑わいがあふれる緑豊かなスポーツの拠点を作る神宮外苑地区まちづくりの最初の1歩」と位置づける。また、「中央広場をはじめとしたオープンスペースを拡充し、誰もが訪れることができる開かれた空間を作り出せることとなった。災害時には約7,000人が一時的に滞在できる広域避難場所としての機能も備える」と説明した。

三井不動産 代表取締役社長 植田俊氏

神宮外苑の緑をはじめとした景観については「樹木本数を現在の1,904本から2,304本へ、植樹面積を現在の25%から35%へ拡大する。イチョウ並木の保全については再開発の最重要課題として十分に配慮し、万全を期して保全する」と述べた。

現在のイチョウ並木
イチョウが色づくシーズンには多くの人で賑わう(21年12月撮影)

鹿島建設 代表取締役会長 兼 社長 押味至一氏は「今回のプロジェクトは、世界に誇れるラグビーの舞台を建設するとともに、音楽などの多様なカルチャーを迎え入れる総合エンターテインメントのステージを作り上げるもの。ユニバーサルデザインや利用者の快適性、機能性を追求し、観客の皆様に最高の体験を提供するとともに、選手やアーティストの夢を実現する空間とすべく、当社の総力を結集して取り組む」と語った。

鹿島建設 代表取締役会長 兼 社長 押味至一氏

東京建物 代表取締役社長執行役員 小澤克人氏は、「ラグビーの開催日だけではなく、常日頃からたくさんの人が集い、交流を深めることで、この地が進化、発展することを実現していきたい」と説明。

東京建物は隣接する明治公園の施設整備・運営にも携わっているが、来園者は年間約300万人に達し、また、施設の1つとして同社のグループ会社が運営する都市型サウナ「TOTOPA」はラグビー関係者の利用もあるという。「当社は新秩父宮ラグビー場と明治公園を有機的につなぎ、地域の回遊性を高めることで、地域の皆様や関係企業の皆様のコミュニティを発展させるとともに、ワクワク感を創出するような取り組みを進めていきたい」と抱負を語った。

東京建物 代表取締役社長執行役員 小澤克人氏

新秩父宮ラグビー場の副名称は「SMBC Olive SQUARE」

トップパートナーとして三井住友フィナンシャルグループが決定し、副名称は「SMBC Olive SQUARE」となる。SMBCが“挑戦”と位置付ける総合金融サービスの「Olive」と、多くの人が集い、スポーツ・エンターテインメント等の新しい体験に出会える「広場(SQUARE)」にしたいという想いが込められている。副名称は、施設の利活用の場面に応じて使用される。なお、隣接する国立競技場は三菱UFJフィナンシャル・グループが命名権を持ち「MUFGスタジアム」となっている。

三井住友FG 取締役 執行役社長 グループCEO 中島達氏は、「Oliveをはじめとした当社の取り組みを多くの方々に知っていただきたいと考えていたところに今回のお話をいただいた」と、トップパートナー就任の経緯を説明。SMBCグループとラグビーの関係について「1989年に、住友銀行で働く傍ら代表監督を務めていた宿沢広朗さんが率いる日本代表がスコットランド代表から歴史的勝利を収めた舞台で、SMBCグループにとっても特別な場所」と述懐した。

三井住友FG 取締役 執行役社長 グループCEO 中島達氏

また、自身も大学時代にラグビーに打ち込み、秩父宮ラグビー場でもプレーした経験があることを紹介しつつ、SMBCグループについては「2014年から男子日本代表、2024年から女子日本代表を支援しつつ、小学生から大学生まで各世代のラグビー大会にも協賛している」など、社を上げてラグビーを応援していることを説明。「ラグビーが尊重してきた精神はビジネスにおいても非常に重要な要素であると考えている」と、その理由を述べた。

左から、三井不動産 代表取締役社長 植田俊氏、鹿島建設 代表取締役会長 兼 社長 押味至一氏、三井住友FG 取締役 執行役社長 グループCEO 中島達氏、東京建物 代表取締役社長執行役員 小澤克人氏

イメージ画像はすべて秩父宮ラグビー場株式会社提供。計画段階のため変更の可能性がある。