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PayPayとVisa戦略提携 カード/コード決済融合、PayPayは米国に「チャレンジ」

PayPay中山社長とVisa 最高製品・戦略責任者 ジャック・フォレステル氏

PayPayとVisaは12日、決済事業を中心とした戦略的パートナーシップ契約を締結した。PayPayの米国事業を共同で推進するほか、日本国内の連携強化の実現に向けた検討を開始する。日本では、PayPay残高とカード、デビットカードを一体化した新たなサービスを26年に開始するほか、インバウンド対応の強化に取り組む。

PayPay米国進出をVisaが支援 コード決済+NFCで「米国挑戦」

PayPayは日本トップシェアのコード決済サービスとして確固たる地位を築いたが、今後米国などグローバル展開を強化していく。そのパートナーとしてVisaが協力し、VisaのグローバルネットワークとPayPayのエコシステムを連携させる。

米国展開においてはPayPayが主導する新会社で新たな決済体験を創出。米国ではNFC(タッチ決済)とコード決済の双方に対応したデジタルウォレット展開を検討する。Visaは各種プログラムを通じたコンサルティングサービスや専門知見の提供などの支援を行なう予定。

米国の個人消費は日本の約9倍の2,600兆円だが、現金市場が300兆円残るなどのポテンシャルがあり、これは日本の総個人消費に相当する。新たな波としてデジタルウォレットが注目され、2030年には40%まで普及拡大すると見込む。「事業を検討するには十分な市場であり、PayPayとして米国市場に挑戦したい」(PayPay中山社長)とした。

また、米国でのPayPay展開は、スマートフォンのNFCとQRコードの「デュアルモード」を想定し、検討を進めるという。この施策は日本のユーザー向けではなく、米国の現地在住者向けにPayPayの拡大を図るもので、新会社についてはPayPayが株式の過半数以上を取得予定。

米国展開の初期ステップとして、PayPayではカリフォルニア州などの一部地域を視野に入れ、コード決済加盟店のネットワーク構築や拡大を検討。時期については、米国では州ごとにライセンスが必要なほか、規制も異なる場合があるため、「未定。今は検討を開始した段階」としている。

カードとコード決済を融合した新体験

日本国内でも連携を強化。カード決済とコード決済を横断した新たな体験を目指す。

具体的にはVisaの技術により、「PayPay残高」「PayPayカード」「PayPay銀行」の3つの機能を1つのVisaクレデンシャルに集約して利用できるサービスを提供。ユーザーは利用シーンやニーズに応じて、アプリ上で複数の支払手段を選択できる。三井住友のOliveのような体験を実現するものと見られ、26年中の開始を想定する。

また、PayPay加盟店へのVisa決済受け入れを拡大。コード決済で普及しているPayPay加盟店においても、Visaのカード決済を可能とすることで決済の選択肢を拡充する。特に中小規模の加盟店におけるPayCAS展開などを加速し、PayPay加盟店での付加価値向上などを図っていく。

クロスボーダー決済においても、両社の日本と海外でのネットワークを活用し、決済体験を向上。日本国内では訪日外国人が使い慣れた手段でPayPay加盟店でスムーズに支払いを行なえる環境を整備する。海外においても、PayPayユーザーが渡航先で安心して決済できるよう、店舗や支払い手段の拡充などの取り組みを双方で行なう予定。

PayPay「グローバル」のチケット

PayPayの中山一郎社長は、「PayPayの登録ユーザー数が7,200万人を超えた。引き続き順調に伸びており、決済に関する『国民的アプリ』という目標をユーザーともに叶えつつある」とこれまでの歩みに言及。そのうえで、24年の日本のキャッシュレスにおいて、5回に1回(75億回)、金額では8%(12兆円)をPayPayが占めると強調した。つまり、実際に幅広く使われる決済手段として、PayPayが定着したという。

PayPay中山一郎社長

PayPayの利用世代も幅広く、肌身離さず使うスマートフォンの「モバイルペイメント進化系」として、今後もPayPayを強化していく。そのPayPayを「グローバル化」するのが今回の提携のひとつの狙いと説明。Visaのネットワークを活用することで、世界展開の準備を進めていく。

Visa米国本社の最高製品・戦略責任者 ジャック・フォレステル氏は、物理的なカードだけでなく「ネットワークが重要」と強調し、あらゆる場所で、あらゆるフォームファクタで決済可能にすることで、消費者と加盟店の支払い/受け取りをシームレスにつなげることがVisaの目標と説明。日本で高いシェアを持つPayPayとネットワークが連携することで、PayPayの利用者も1億7,500万の世界の加盟店で決済体験を利用可能となる。

これにより、日本のユーザーは、オンラインショッピングや海外旅行など、多くの場面でPayPayのまま活用でき、どこでも行動を変えず、新たな仕組みを用意せずに決済できるようになる。

また、訪日客は、Visa Payをアプリに組み込むことで、日本においてもシームレスにPayPay加盟店で決済できるようになる(時期は未定)。加えて、PayPayのコード決済ネットワークでVisaの決済の利用を拡大するほか、多くのPayPay加盟店において、POS端末等のカード決済受け入れを拡大していく。

なお、国をまたいだ個人間送金については、「できればいいと思っているが、許認可もあるので慎重に対応したい」(PayPay中山社長)と言及。米国ではコード決済は浸透していないが、「我々は(NFCやQRといった)フォームファクターではなく体験を重視している。安全でシームレス、即時といった特徴を持ち、消費者と加盟店にシンプルで使いやすい決済手段が用意できれば、手段は問わない。重要なのは加盟店と消費者がハッピーであること」(Visaジャック・フォレステル氏)とした。

PayPay中山社長は、今回の提携について、「グローバルアクセスのチケットを手に入れるもの。日本にとどまらず世界に挑戦するのに意義がある。PayPayはこれまで自前主義でやってきたが、強いパートナー、先進的なパートナーとは一緒にやっていく。その文脈では最強のパートナー。ユーザーに新しい体験をもたらすものになる」と語った。

PayPay中山社長とVisa 最高製品・戦略責任者 ジャック・フォレステル氏