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ガーミン、マイクロLEDで4500ニトの高輝度「fēnix 8 Pro MicroLED」を見た

ガーミンジャパンは16日、10月上旬から発売するフラッグシップモデルのマルチスポーツGPSウォッチ「fēnix」シリーズ最新モデル「fēnix 8 Pro」の製品発表会を開催した。

スマートウォッチ史上初となるMicroLEDを搭載した「fēnix 8 Pro MicroLED」とAMOLED搭載の「fēnix 8 Pro」が用意され、価格はfēnix 8 Pro MicroLEDが318,800円、fēnix 8 Proが206,800円。なお、fēnix 8 Proは当初9月18日発売とされていたが、10月上旬発売に変更された。fēnix 8 Pro MicroLEDは10月以降に発売予定。

fēnix 8 Pro MicroLEDのMicroLEDは、40万個以上の微細なLEDチップを高精細に配置することで最大4,500ニトの高輝度を実現。直射日光下でも圧倒的な視認性を誇るとしている。会場では同時発売のAMOLEDモデルと比較することができたが、明るさはもちろん、発色や視野角でも明らかな違いが確認できた。

fēnix 8 Pro MicroLED Ti DLC/Black

反面、MicroLEDは消費電力が高く、fēnix 8 Proがスマートウォッチモードで約27日間の駆動時間を誇るのに対して、fēnix 8 Pro MicroLEDでは約10日間と、近年のfēnixシリーズとしては控えめな駆動時間となる。その代わり、日中の日差しの中でも透過型液晶に匹敵する視認性を実現している。

左がfēnix 8 Pro MicroLED。右はfēnix 8 Pro。MicroLEDは浅い角度からでもほとんど明るさが変わらない

両モデル共に、ガーミンのスマートウォッチとして初めて有料サービス「inReach」機能を搭載。LTE通信機能を備え、スマートフォンが無くてもLTE-M(カテゴリM1)によって、低消費電力かつ広域で通信が可能なのが特徴。スマートフォンを持ち歩かないトレーニング時などでも家族などと現在位置の共有や、テキスト・ボイスメッセージの送受信が可能。

fēnix 8 Pro Ti Carbon Gray DLC/Black
fēnix 8 Pro Ti/Graphite

緊急時にはSOS発信が可能で、Garmin応答センターにSOS発信をすることで、センターが状況を確認して救助組織へ情報を提供する。

なお、グローバルモデルでは「inReach」機能において、衛星通信が利用可能だが、日本国内モデルでは国内法により現時点で利用できない。同社では今後利用可能になるよう調整を進めているが、時期は未定としている。

超回復でパフォーマンスアップ

会場では、睡眠&超回復コーチの角谷(すみや)リョウ氏が、ガーミンfēnixシリーズを使った"超回復"に関するミニセミナーを開催した。角谷氏はダイヤモンド社「エグゼクティブの体作り」などの著作で知られる、睡眠改善を基本とした「超回復力」のエキスパート。超回復とは運動や仕事のストレスで一時的に低下した体力やエネルギーが、適切な休憩や睡眠をとることで元のレベル以上に回復する現象のこと。

睡眠&超回復コーチの角谷リョウ氏

セミナーではまず、「ストレスが高い人と低い人、どちらが長生きか」という質問が会場に投げかけられた。筆者も含め、多くの人が「ストレスが低い方が長生きする」という認識だったが、実はそう単純ではないという。

確かに、ストレスが低い人は長生きをするが、ストレスが高い人は、適切な管理をすることでストレスが低い人よりも長生きし、肉体だけでなくメンタルのパフォーマンスも向上するという。つまり、「超回復」の状態になる。

ストレスをかけながら、適切な休憩を取るというサイクルが重要で、これにガーミンのスマートウォッチによる「ボディバッテリー」の機能を活用するのが適切だとしている。

ボディバッテリーは、身体のエネルギー残量を数値化して表示するガーミン独自の機能。心拍変動(HRV)やストレスレベル、睡眠の質、日中の活動量などの生体データを解析することで0~100の数値で現在のエネルギー残量を表示する仕組み。

同氏によると、睡眠は重要だが、睡眠スコアだけを目標にするのは意味が無いとし、ボディバッテリーを目安とした疲労と体力回復のサイクルを作り出すことで、最適な「超回復」を実現できるという。

例えば、リーマンショック時に高いストレスに晒された金融業の人達を対象として、ハーバード大学とイエール大学が共同研究を行なっている。研究は、ストレスに対して適切に回復を行なったグループと、ストレスは悪い物だとしてなるべくストレスを避けるような対応をしたグループ、何もしなかったグループを対象に実施されたが、適切な回復を行なったグループが最も仕事の量、質、効率、正確性において向上が見られた。

同氏は「トラウマレベルのストレスがあったとしても、リカバリーをすることで回復し、結果としてより能力が向上する」という。

仕事の進め方にしても、日本人に多い、延々と一定のストレスをかけ続ける「マラソン型」に対して、「インターバル型」の働き方を取り入れることで、仕事のパフォーマンスが向上するという。インターバル型とは、短時間に集中して高いストレスをかけ一気に作業をした後、一定時間しっかりと休憩をする働き方で、休憩の目安はボディバッテリーによって目視で確認しながら行なう。

また、「疲労」と「疲労感」の違いも重要。疲労は肉体的・精神的な本当の疲労だが、「疲労感」というのは、嫌な仕事を延々とやる場合でも感じることがある。疲労感だけでは実際にはそれほど疲れていないことがある。疲労は積み重ねられていることで心身に悪影響を与えるため、この区別を適切に付けて対処できるのもボディバッテリーの強みだという。

最近流行している「リカバリーウェア」についても言及。「リカバリーウェア自体が悪いわけでは無い。血行をよくすることは確かに大切で意味はあるが、睡眠時に疲労を取るならば、深い眠りに入る必要がある。しかし、深い眠りに入る際、人間は心拍を下げて血流を下げ、体温を下げる。リカバリーウェアによって体温が高いままになってしまうと深い睡眠がとれず、これで睡眠時に疲労を回復するのは基本的にはありえない」と持論を展開した。

最後に、fēnixシリーズのデザインについても言及。「疲労の可視化には、日常的にスマートウォッチを付けている必要がある。fēnixシリーズは、スポーツ時でもビジネス時でも違和感がないデザインで、ずっと付けたままで居られるという意味は大きい」などと語った。