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自転車でオープンイヤーイヤフォンはOK? 実は条件アリ【Watch+】
2025年9月13日 09:00
警察庁は、26年4月から自転車の取締に導入する「青切符」について、そのガイドラインとなる「自転車ルールブック」を公開しました。弊誌でもニュース記事を掲載しましたが、その中で特に注目度が高かったのが「イヤフォン」に関する記述です。イヤフォンを片耳だけ付けている場合や、オープンイヤー型イヤフォンなど耳を塞がないイヤフォンについては、条件付きで取締の対象とならないことが明記されているからです。
実は、警察庁は従来からこの方針を掲げていて、今回特に新しく追加されたルールではありません。ただ、青切符の導入に伴い取り締まりの運用が変わるのと、一般の人も読みやすいルールブックとしてしっかりと記述されることで、より周知が進むと思われます。
自転車でイヤフォンをすることの問題点は、周囲の音が聞こえない、自動車の接近や歩行者の存在などの動きに気づきにくいなど、重大事故に繋がる恐れがあることが挙げられます。
筆者自身も自転車によく乗りますが、「外部の音」は安全を保つためにはとても大事な要素だと思っています。実際、後ろから近づいてくるクルマや、見通しの悪い路地で近づいてくるクルマなどは音で気がつく場合が多いでしょう。当たり前の事なのですが、これが聞こえるのと聞こえないのとでは安全性が大きく変わると思います。
オープンイヤー型イヤフォンは耳を塞がないため、外部の音を聞き取るという条件をクリアしやすいことから取り締まりの対象とならない、ということになります。
ここで注意する点は「条件をクリアしやすい」というところです。肝心なのは外部の音が聞こえるかどうかなので、決してオープンイヤー型イヤフォンなら何でもOKということではありません。
つまり、オープンイヤー型イヤフォンを付けていても「周囲の音が聞こえない大音量」で使用していた場合は、取締の対象となります。警察庁は、「警察官が声を掛けたときに即座に反応できること」などを条件としており、警察官の声が聞こえなければオープンイヤー型イヤフォンを付けていてもダメなのです。
逆に、耳の穴を塞ぐタイプのイヤフォンでも「周囲の音が聞こえる」くらいの小さな音量で聞いていて、声掛けに対応できる場合は、取締の対象にはなりません。イヤフォンの形状ではなく、あくまで周囲の音が聞こえているかどうかで判断されます。通常のイヤフォンでも片耳だけに装着すれば、同様の理由で取り締まりの対象にはなりにくいということです。
ただ、カナル型のイヤフォンなどはそもそも耳栓のような形状で、外部の音がなるべく入ってこないような構造ですから、音を小さくしてもかなり不利ではないかと思います。外部の音を取り込む機能を備えたものもありますが、過信は禁物です。個人的にはお勧めしません。
なお、イヤフォンをしながら周りの音が聞こえない状態での自転車の運転については、各都道府県の道路交通規則に基づき、全都道府県で禁止されていますが、現状では反則金などは科されません。青切符の導入後は、反則金5,000円を徴収されるようになります。
青切符で取り締まりが増える?
冒頭にも書きましたが、実はこうしたルール自体は、従来から大きく変わっていません。違いは、青切符が導入されることで、警察がより検挙をしやすくなるということです。
例えば、従来は自転車での「スマホのながら運転」については、違反した場合、赤切符による刑事罰が科されていました。しかし、有罪とするためには犯人を検挙したあと、証拠集めの捜査や検察官による起訴・不起訴の判断が必要です。起訴して裁判で有罪となれば罰金を命じられ、前科もつきます。
刑事罰ですので、1件1件に多くの法的な手続が必須になるわけです。とてもではないですが多くの取り締まりができるような状況ではないことは容易に推察できます。
青切符が導入されると検挙後の手続が大幅に軽減されます。事故を起こしたわけではないスマホのながら運転では、刑事罰にはならず、捜査や起訴も行なわれませんので、警察はその場で青切符を発行して渡すだけです。青切符を受け取った人は、その後反則金「12,000円」を納めることになります。
青切符により警察の負担は軽減されるため、導入後は現在よりも本格的に取り締まりが強化されるのではないかと思われます。
2024年11月の改正により、自転車のスマホながら運転に関する罰則が整理・明確化され、刑事罰の適用対象がより明確になったことで周知も進んだはずですが、筆者個人の肌感としては、特にスマホながら運転をしている人が減っているようにはみえません。筆者も見通しの悪い路地で出会い頭に「逆走スマホ運転」の自転車にぶつけられそうになったことがあります。幸いこちらは速度を出していませんでしたので衝突には至りませんでしたが、青切符の導入によって少しでもこうした違反が減ることを期待しています。








