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Meta、広告詐欺を6割減 AIで著名人詐欺100%ブロック
2025年9月2日 20:20
Metaは、APEC(アジア太平洋地域)における詐欺対策の取り組みについて発表した。今回の説明会では、顔認証などのAI技術を活用した詐欺検出の成果や、各国政府・IT企業との連携体制などが報告された。
APEC地域、特に東南アジアでは、世界的にも詐欺被害が深刻な地域とされており、年間400億ドル規模の不正収益が確認されている。同社によると、詐欺センターに約30万人が強制労働状態に置かれ、詐欺組織に関与しているという。
対策として、2024年にFacebookやWhatsApp上で約1,200万件の詐欺関連アカウントへの措置を実施。広告詐欺に関しては、独自指標「SRMB(100万件あたりの詐欺広告報告数)」を用いて、継続的に実態を把握している。24年には、SRMBが4.4から1.8へと大きく減少し、約60%の削減を達成したという。
特に、著名人の顔や名前を使ってユーザーを騙す「セレブベイト詐欺」については、AIによる顔認証を活用し、25%の減少に成功。2025年6月から7月にかけては、実質100%のブロック率を記録した。これらの技術は約50万人の著名人を対象に導入されており、引き続き拡大が進められる。
さらに、GoogleやMicrosoftとの間でサイバーセキュリティ分野の情報共有プログラムを展開。外部の悪質なWebサイトや侵害アカウントを早期に特定し、プラットフォームから遮断する体制を強化している。加えて、オーストラリアの金融機関と連携する「FIRE(Fraud Intelligence Reciprocal Exchange)」を通じて、マネーロンダリングに関与したとみられる数千件のグループ・アセットを削除した。
WhatsAppでは、見知らぬ相手のグループ追加を制限する機能など、ユーザーが被害を回避できる仕組みも導入された。教育面でも「Is it legit? (それって本物? )」と題した啓発キャンペーンを実施し、詐欺への警戒を促している。
詐欺行為は年々手口を進化させており、SNSから悪質な外部サイトに誘導するマルチステップ型詐欺も増加している。こうした動きに対応すべく、同社はAIとパートナーシップを活用した監視・排除体制の強化を続ける方針。
