ニュース

吉野家、玄米を“野菜”として食べる「玄米スプラウト」開発

吉野家ホールディングス、筑波大学、菱熱工業は、7月より新食材「玄米スプラウト」の実用化に向けた共同研究を開始した。筑波大学の研究で野菜としての摂取の有効性が見いだされており、量産体制の確立を目指すとともに、吉野家での商品化も検討を進める。

玄米スプラウトは、玄米を若い葉が出るまで発芽させたもので、玄米を穀物ではなく野菜(スプラウト)として活用する取り組みとなる。近年の健康意識の高まりに対応し、栄養価が高く健康に良い玄米の喫食機会を広げることを目指している。

玄米は健康食として知られているが、風味や手間の面で日常的に取り入れにくいと感じられる傾向もある。そこで、スプラウトという新しいアプローチで、栄養価を最大限に引き出し、より手軽に、より美味しく楽しめる方法を追求する。

玄米スプラウトは、玄米がもつ食物繊維、ビタミン、ミネラルに加えて、発芽させることによってビタミンC、β-カロチン、食物繊維、GABAなどが増加。クセのない味わいで、生食だけではなく、炒め物、和え物など調理の汎用性も高いという。

玄米スプラウトの栄養成分比較

水耕栽培のため環境変化に強く、安定供給を図ることができるサステナブルな食材としての側面も持つとしている。

玄米スプラウトは筑波大学生命環境系の粉川美踏准教授の研究に基づいている。2018年から玄米スプラウトの研究開発に取り組み、栽培・生産方法や技術課題、有効性の研究が行なわれてきた。数日間で新芽が摂食に適した3~5cmまで生育する栽培条件・制御方法、野菜として摂取の有効性が見いだされ、2021年には特許出願済。

一般への普及に向け7月から、吉野家ホールディングスと、水耕栽培プラントの知見を持つ菱熱工業が研究に参画。玄米スプラウトの実用化に向けた共同研究を開始した。

吉野家ホールディングスは、3月から粉川准教授と実験室レベルからスケールアップを見据えた試験を進めている。今後は、量産体制の確立を目指してさらなる実用化と産業化に向けた準備を進め、あわせて吉野家での商品化の検討を進める。