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イオン、数万枚のマニュアルを学習した従業員向けAI端末
2025年5月15日 16:21
イオンリテールは、AIを活用した従業員向けの新端末「オールインワンデバイス」を5月29日から導入する。あわせて、生成AIを活用した従業員マニュアル「AIアシスタント」を6月より実装する。展開店舗は、関東・北陸信越・東海・近畿・中四国のイオン、イオンスタイルなど約390店舗。
オールインワンデバイスは、これまで複数の端末を使用していたシステムを、1つの端末で操作できるほか、高性能スキャン機能も備えている。内包するシステムは「AIカカク」「AIオーダー」「AIワーク」「MaIボード」「商品位置検索システム」「AIアシスタント」など。
いずれも6月に実証運用を開始する「従業員アプリ」の搭載により実現。アプリに1回ログインすることで複数システムを横断的に利用できるようになる。同アプリはオールインワンデバイスでの利用を想定しているが、端末は各店舗に順次導入されるため、既存の従業員端末にインストールすることも可能。
AIアシスタントは6月に実装される新機能で、生成AIを活用した従業員向けのチャットボット。これまで数千~数万ページにわたって文書化されていた業務マニュアルや法律を学習したAIが、従業員の質問に対して回答を提示する。顧客対応での困りごとを、新人や若手をはじめとした多くの従業員がスムーズに解決できるようになる。
初期実装では、店舗で顧客から問い合わせが多い事項に対応。イオンラウンジの利用方法や場所の案内、免税対応の仕方や免税対象となる商品、落とし物の対応。公共料金の支払い、株主優待制度の説明などで、質問に対して数秒~十数秒でAIが回答を出力する。
スキャン機能は、「文字スキャン(OCRスキャン)」「一括スキャン」「長距離スキャン」を搭載。
文字スキャンは、商品の賞味期限を読み込んで登録できる機能。登録後は最も賞味期限に近い商品の販売期限が近づくと、担当部署のアカウントでログインした際に端末に通知が表示される。何度も同じ商品をチェックする手間が省けるうえ、正確に販売期限の近づいた商品を確認できる。
一括スキャンは、カメラに映る複数のバーコードを一括で読み取ってリスト化。チラシ掲載商品の在庫数量の確認や価格を切り替える商品のリストアップなど、これまで1つひとつスキャンしていた作業を一括で行なえるようになり、作業時間が10分の1以下に削減できるとする。
長距離スキャンは、従来の光反射を利用したスキャン機では届かない位置にあるバーコードを読み取り可能。高所や平台の奥にある価格表示に記載されているバーコードを、手を伸ばさずにスキャンできる。
デバイスのケースデザインは複数色を用意。従業員が愛着を持って利用できるよう、ベーシックな色合いだけでなく、かわいくポップな色合いも用意するとしている。