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Space Compass、防衛省の光通信衛星実証を受注 宇宙の状況をリアルタイム伝送

Space Compassは、防衛省と「静止軌道間光通信技術実証」事業について契約を締結した。静止軌道における宇宙領域把握(SDA:Space Domain Awareness)能力の向上に重要な、大容量データを伝送可能な衛星の光通信能力を獲得することを目的とするもの。実証では、Space CompassのGEO光データ中継衛星経由で光通信によるデータ伝送を行なう。

GEO光データ中継衛星は、低軌道(LEO)を周回する観測衛星が集めたデータを、静止軌道上(GEO)の光データ中継衛星によって地上にリアルタイム伝送するもの。低軌道による観測衛星は、常に地球の周りを移動しながら観測するため、日本の上空からデータを地上局に送信可能な時間は限られ、災害時など即座に情報が必要な場合でも画像の取得に時間がかかる。

低軌道衛星から日本上空の静止衛星へデータを伝送することで、地上局よりも長時間通信が可能となり、さらに光通信の活用により高速な伝送を実現する。これによりリアルタイムでの災害状況などを把握できるようになる。

今回の事業は、このGEO光データ中継衛星を使うことで、宇宙の状況を捉えた観測データを高速伝送し、宇宙領域の把握に活用可能かどうかを検証する。

宇宙領域把握とは、スペースデブリの増加や他国のキラー衛星などの脅威に対応するため、宇宙領域の監視能力を強化する取り組み。宇宙での物体の位置や軌道を把握することに加え、宇宙機の運用・利用状況やその意図を把握することが目的となる。国内や米国の民間事業者とも情報共有を行なう。

防衛省では、2020年から宇宙領域把握を目的とした専門部隊の強化を続けており、2027年には航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改名して本格的な部隊編成を行なう方針。