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マクアケの応援購入データを融資に活用 新デジタルバンク「01Bank」

新たなデジタルバンク「01Bank(ゼロワンバンク)」がスタートする。池田泉州ホールディングスが日本初の法人向けデジタルバンク「01Bank」立ち上げに向けた子会社「01Bank設立準備株式会社」を2月1日に設立した。01Bankは、GMOあおぞらネットによるBaaS基盤を活用し、応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」が第1号として参画。Makuakeのプロジェクトデータなどを法人の事業融資の判断などに活用していく。

「01Bank」は、法人向け融資に特化したデジタルバンク。法人向けのデジタルバンクは、地方銀行が展開するものとしては日本初となる。インターネット上で手続きが完結する融資(オンラインレンディング)を主な事業内容とし、中小事業者に対する事業性評価融資のサービスを展開する。当局の許認可取得を前提に、2024年度中にシステム構築を完了し、早期の事業化を目指す。

01Bankは、中小企業などと関わりの深い事業者「プラットフォーマー(PFer)」と連携することで、プラットフォーマーが持つデータを事業性評価融資に活用する点が特徴。第1号としてマクアケと、在庫管理サービスの「Zaico」が参加予定。また、その他10社程度と契約しているという。

参加予定のプラットフォーマー

01Bankは、複数のプラットフォーマーと連携し、オンラインレンディングサービスを提供。従来、多くの融資判断は財務情報や担保の有無を元に行なわれているが、決算書などは“過去”のデータであり、現在の事業環境を正確に反映できていないという課題がある。

そのため01Bankでは、連携する各社のプラットフォームに蓄積された、スタートアップや中小企業に関するデータを活用。このデータを使って、事業者の将来性や成長性を評価して融資を判断する。

例えば、Makuakeのケースでは、プロジェクト実行者が、管理画面から「01Bank」に遷移して融資を申し込むことで、これまでに実施したプロジェクトの実績を評価モデルに当てはめて算出したスコア「01スコア」として確認可能となり、スコアに応じた利率・限度額の融資を受けられる。

また、事業者は各プラットフォームの事業者向け画面から01Bankに遷移し、01Bankへの融資の申し込みから融資の実行までをオンライン完結できるようにする。これにより、中小事業者が求めるスピーディーな融資の実現を目指すという。Makuakeなどプロジェクトの評価やZaicoによる在庫評価など、複数の幅広いデータを組み合わせ、より精度の高い審査を行なえるようにする。

01Bank設立準備株式会社の伊東眞幸社長は、「事業性の評価には“いま”のデータの価値が大きい。また、中小の事業者からは、『いまのデータを見てほしい』という声も多い」と語り、事業の“現状”を示すデータを扱える01Bankの仕組みが、事業性評価融資に必要と強調する。

01Bank設立準備株式会社 伊東眞幸社長

また、既存の事業性評価融資では、一定の基準を満たすと銀行員が訪問し、資料等を確認しながら審査を進めるといった流れで行なわれてきた。対して、01Bankの取り組みでは、デジタルデータが自動で連携するため、行員負荷の削減にも寄与するという。金利は2~3%程度が中心となる見込みだが、ある程度リスクが高い場合は6%以上になる場合もある。

応援購入サービスの「Makuake」は、01Bankのデジタルバンク事業に、プラットフォーマー第1号として参画。Makuakeのプロジェクト関連のデータを「01Bank」に提供することで、01BankはMakuakeのプロジェクト実行者に対し、同データを活用した事業性評価融資を行なえるようになる。

Makuakeプロジェクトからの審査イメージ

Makuakeは、サービス開始初期から池田泉州銀行などの各地の金融機関と連携しており、現在約100社の金融機関と協力関係にある。Makuakeのプロジェクトの実績は、実行者の作る新商品や新サービスが、実際にどれぐらいの人数がどの程度の価格で応援購入したかを示すもので、従来の融資判断基準では判断が難しかった、新商品・新サービス、新規事業のテストマーケティング段階での実績を見られることから、多くの金融機関が融資判断の参考にしていたという。

この仕組みを発展させることで、実行者の事業の成長性や将来性を適切に反映した事業性評価融資を後押しし、新商品や新サービスにチャレンジする実行者の成長を支援する。なお、Makuakeが01Bankに提供するデータは、集まった金額と人数、プロジェクト終了後の活動レポート数、活動レポートごとのコメント数平均、プロジェクト実施中/実施後のコメント数(ポジティブ/ネガティブ)など。

マクアケ 共同創業者/取締役の坊垣佳奈氏は、「Makuakeのプロジェクト実行者からも、Makuakeで成功したら融資が通った、断られていた銀行から連絡があった、融資額が上がったといった声を聞いていた。Makuakeのデータ・実績を使った融資について、仕組み化ができるのではないか? と考えていた。池田泉州銀行に共有したところ、『まさに検討している』と聞いた」と参加の経緯について説明した。なお、プラットフォーマーとしての収益については、「現時点ではデータは無料で提供し、この仕組みがあることでMakuakeを使う人が増える、回数が増えることを期待している」とする。今後の取り組みの中でデータの価値などを評価しながら、将来的にはデータ有料化なども検討するという。

01Bankは関係省庁の許認可等を前提に、2024年度中に事業開始の準備を進める。Makuakeでの機能実装も事業開始と同時期になる予定。