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イーロンマスクのxAIが新AIモデル「Grok」 「反抗的でリアルタイムな知識」

イーロン・マスク氏が率いるAI開発企業「xAI」は5日(米国時間)、新たなAIモデル「Grok」を発表した。対話型のAIチャットサービスとして、まずは米国内の限定したユーザー向けに近日公開する。ウェイトリストでユーザーを募っている。

なおマスク氏は、初期ベータの「すぐ後」に、X(旧Twitter)の有料サービス「X Premium+(Xプレミアムプラス)」購読者向けに初期ベータを提供すると投稿している。X Premium+の日本における月額料金は1,960円。

Grokは、ダグラス・アダムスによるSF小説「銀河ヒッチハイク・ガイド(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy)」をモデルに開発したというAIチャットサービス。

多くのAIモデルにおいて、不適切な質問には答えないような対策がなされているが、Grokは「ほとんどのAIシステムで拒否されるような、刺激的(Spicy)な質問にも答える」という。また、「少しウィットに富んだ質問に答えるように設計され、反抗的な一面もあるので、ユーモアが嫌いな人は使わないでほしい」としている。

もうひとつの特徴が、Xのプラットフォームと連携するため「リアルタイムな知識」を持つこと。マスク氏は、Xへの投稿で、「ジョー・ローガンが最後にイーロン・マスクにインタビューしたのはいつ?」と尋ねると、Grokは2023年10月31日のインタビューの内容が回答されるのに対し、他のサービスでは回答できないことを紹介している。

なお、現在のGrokは初期バージョンであり、「2カ月のトレーニングでベストを尽くした」としている。

GPT-3.5を超えるGrok-1

xAIは、「宇宙の真の姿を理解すること」を目標とし、イーロン・マスク氏を中心に設立。xAIチームは、DeepMind、OpenAI、Google Research、Microsoft Research、テスラ、トロント大学などでキャリアを重ねた研究者が参加している。

Grokの核となるのは「Grok-1」と呼ぶ大規模言語モデル(LLM)。330億のパラメータを持つプロトタイプLLM(Grok-0)をトレーニングし。標準的なLMベンチマークでMetaの「LLaMA 2(70B)」の能力に近づいているが、トレーニングリソースの半分しか使っていないとする。2カ月で、推論とコーディングの能力を大幅に向上させ、より強力なGrok-1に至ったという。

Grok-1は、GPT-3.5やInflection-1など、同クラスのモデルを超える結果を示しており、GPT-4など、より大量の学習データと計算リソースで学習されたモデルのみがGrok-1の結果を超えているとする。現時点のGrokは、画像(Vison)や音声(Audio)など、テキスト以外の「マルチモーダル」対応はできていないが、これらも対応していく予定。

Grok-1とGPT-3.5など他のLLMとの比較