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南海電鉄、タッチ決済乗車の安定性を向上 新リーダや通信ルート導入

南海電気鉄道とQUADRACは、7月から南海電鉄の一部の駅において、南海電鉄の社内ネットワークを利用した「社内内回り方式」によるタッチ決済を導入した。これにより、通信品質の向上やセキュリティの強化を実現するとともに、駅遠隔制御システムとの連携を目指す。「社内内回り方式」を活用したタッチ決済の採用は国内初の取組みとしている。

南海電鉄では、クレジットカード1枚で移動から買い物までできることを活かした、「タッチ決済の交通利用」を推進している。大阪・関西万博が開催される2025年までに「社内内回り方式」のタッチ決済が利用できる駅を順次拡大し、安定性やセキュリティの強化を図る方針だ。

従来のモバイル通信(閉域網)方式(旧ルート)では、公衆キャリアの回線を利用している。クレジットカード情報を伝送するネットワークはQUADRACによる閉域網を採用しているが、キャリアの回線を利用することから外部の通信環境に左右され、決済エラーの発生等の課題があった。今回の「社内内回り方式」(新ルート)では、南海電鉄の社内ネットワークを利用することで、より安定した通信品質が見込まれるという。

また、セキュリティの強化策とも位置づけており、社内内回り方式の導入に伴い、一部の駅の読取リーダを、クレジットカードのセキュリティ基準「PCI-P2PE」に対応した新リーダに置き換える。これにより、不正アクセスなどのリスクを最小限に抑えられるとする。

既存の社内ネットワークの活用により、端末ごとの回線利用料が不要になるため、コスト面でのメリットも大きいとする。また、社内ネットワークのため、駅遠隔制御システムとの連携にも対応。今後、タッチ決済時の入出場エラー処理を駅遠隔制御システムで行なうことも目指すという。

7月に南海本線泉佐野駅の改札機に「PCI-P2PE」に対応した読取リーダを設置し、社内内回り方式に切り替えた。2023年度中に、現在タッチ決済が利用できる改札機すべてを、同方式に切り替える。また、大阪・関西万博開催の2025年に向け、同方式を用いて順次利用可能駅を拡大していく。