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ソフトバンク、国産LLM開発で新会社

ソフトバンクは、日本語に特化した国産の大規模言語モデル(LLM)の研究開発と生成AIサービスの開発、販売、提供を目的とする新会社が本格稼働したと発表した。同社は'23年3月27日に準備会社として設立され、8月1日に社名を「SB Intuitions株式会社」(エスビーインテュイッションズ)へ変更した。

ソフトバンクでは、AIの利活用を積極的に推進しており、生成AIについても強化している。同社では、「国内最大規模の計算基盤」「豊富な技術者」「圧倒的な顧客接点」という優位性を生かし、日本語のデータセットによる国産生成AIを自社で開発する予定で、2023年度中に生成AIの開発に活用できる、高いデータ処理能力を有する計算基盤を構築。大学や研究機関、企業などを対象に早期にサービスを提供する予定。

SB Intuitionsは、この計算基盤上で、大規模言語モデルの学習に必要なデータセットやツール、追加強化学習モデルなどの開発を行なう。日本語に特化したLLMを開発することで、日本の商習慣や文化にあった日本の顧客特有のニーズに合った生成AIサービスを開発。幅広い業種に向けて提供していく。

また、取り扱うデータは国内のデータセンターのみで管理し、安全性が高い環境で開発を行なうという。新会社の資本金は1.5億円。

200億円を投じて国内最大規模の計算基盤を構築

国産生成AIについて、ソフトバンクの宮川潤一CEOは4日の決算説明会で言及。200億円を投じてAIデータセンターを構築。NVIDIAのSuperPODによるもので、経産省からの認定と、53億円の助成を受ける予定で、国内最大規模の計算基盤となる。すでに製品は入荷しており、9月末頃の稼働開始を予定している。

新会社のSB Intuitionsではグループ内の生成AIに関する経験ある技術者を集約した100%子会社となり、同社において国産LLMの研究開発を担っていく。

ソフトバンクの強みとしては、ソフトバンク、LINE、ヤフー、PayPayなど様々なグループサービス群により、「全国民のほとんどにリーチできる」とし、開発した生成AIを多くのユーザーに展開できると説明した。また、生成AIビジネス利用についてはマイクロソフトとのパートナーシップなどにより推進。同社ではMicrosoft Copilotのアーリーアクセスプログラムにも参加し、先行してノウハウを蓄積。法人ビジネスに活かしていく方針。

また、特に法人向けでは自社開発のAIだけでなく、OpenAIやMicrosoft、Googleなどから顧客に最適なものを選択して提供する「マルチ生成AI体制」で推進。「生成AIを活用して、日本の企業の生産性を高めることに全社を挙げて取り組んでいく」とした。