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AWS IoTを搭載した「たまごっちユニ」 たまごっちのメタバース

バンダイが7月15日に発売する「Tamagotchi Uni(たまごっちユニ)」に、AmazonのAWS IoTが採用された。Tamagotchi Uniは、新たにWi-Fiを搭載し、たまごっち単体で直接インターネットに接続ができる。価格は8,250 円。

Tamagotchi Uniでは、Wi-Fiを使って、たまごっちたちのメタバース「Tamaverse(たまバース)」へでかけ、世界中のユーザーが育てたたまごっちに出会うことができる。また、直接クラウドに繋がることで、常に新しいイベントやアイテムの配信コンテンツをダウンロードすることができ、世界中のたまごっちと競ったり、協力したりするイベントを世界同時に開催することが可能になった。

こうした機能を実現するため、バンダイはAWS IoTを採用。AWSと共に構成の検討やプロトタイピングに取り組み、最終的にAWS IoTをフル活用したサーバーレス構成にすることで、サービスの迅速な立ち上げを実現した。特に、たまごっちのファームウェア配信のために採用した「AWS IoT Jobs」では、ユーザーを待たせることなくアップデートを完了する必要があったが、動的グループを活用し、そのクエリを工夫することで、高速かつ効率良くジョブを配信できるようにした。

IoT化にあたり、注力したのは以下の3点。

  • Tamagotchi Uniのセキュアな接続を保証できること
  • 全世界で、かつ100万台以上の接続のためのリソースのスケーリングや負荷分散ができること
  • 運用コストを最適化できること

これらの目標を達成するため、AWS IoTをフル活用したサーバーレス構成を構築。複数のAWSサービスを組み合わせることで、Tamagotchi Uniの開発、運用、管理における信頼性とコスト効率を向上させた。

Tamagotchi Uniはリリース後も定期的な本体のファームウェア更新により、新しい遊びやコンテンツの追加を予定。それらのファームウェアの配信にAWS IoT Jobsが使用される。

AWS IoT Jobsは、AWS IoTに接続された機器に対し、クラウドからファームウェアの更新や再起動などの作業を配信し監視できる機能。個々の機器や機器群全体も配信管理が可能になる。配信の速度を制御(例えば1秒毎に10の機器に配信)し、さらに各機器に配信されたジョブの状態をリアルタイムに確認できる。

しかし、簡単にセキュアなアップデート配信が出来るメリットがある反面、時間あたりに配信できるジョブ実行最大数のデフォルト値(1,000台/分)では、大規模台数になるTamagotchi Uni全台への配信開始から完了までに長時間を要することが判明。このままでは、「他のユーザーはアップデートが完了しているのに自分の本体を配信されていない」という不公平な状況が生まれる可能性があった。また1分あたりに配信できるジョブ実行の最大数は調整可能だったが、無制限ではなかった。そのため全員に同時に配信開始することは不可能であることがわかったという。

このため、一度に全台を更新する方針を見直し、更新はユーザーが任意のタイミングで実行させるように変更。ユーザーのプレイ環境や時差によってある程度サーバー問い合わせのタイミングに時間差が生まれることを前提とし、一度に同時に配信する必要はないと判断したという。