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三井不動産と博報堂、精神障がい者雇用支援の新会社「SUPERYARD」

三井不動産と博報堂は、精神障がい者の雇用拡大とキャリアアップを支援する新会社「SUPERYARD」を2月に設立し、4月より業務を開始した。

SUPERYARDは、精神障がい者への合理的配慮のある環境整備として、三井不動産の働き方・オフィス活用の知見を生かし、感覚過敏などにも対応しながら業務に従事できるシェアオフィスを用意。産業医や専門家とともに開発した、障がい者への業務の切り出し手法で業務を特定する。

合理的配慮とは、採用時における障がい者と障がい者でない人との均等な機会を確保するための措置、および雇用後における障がい者と障がい者でない人の均等な待遇の確保、または障がい者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための企業による措置を指す。

2024年4月の障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)の一部法改正施行により、民間事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務へと変わる。

また、博報堂が広告業務で培ってきた「良い部分を見極めて周囲に知ってもらう」ノウハウで、個々で特性の異なる障がい者に合った業務を依頼し、雇用する企業の不安を解消するサービスを提供する。

サービス内容について、以下の5つを兼ねそろえている点で、従来の障がい者雇用と比べて新しい手法となっているという。

  • 人材募集は就労移行支援事業所など働きたい障がい者が準備を進める福祉組織と連携する
  • 採用は障がいの特性と業務の適性の確認のために実習を通じて、マッチングする
  • 担当業務は一人ひとりの障がいの特性にあった内容を独自のスキームで企業の本業から切り出す
  • 業務環境は一人ひとりの障がいの特性に対応したオフィスを用意する
  • 雇用後も常駐スタッフが産業医や就労移行支援事業所と連携しながら障がい者をサポート

採用する際には、どのような業務を設定するべきか専門家とともにコンサルティングを行ない、適切な人材紹介を行なう。雇用後は精神障がい者が働きやすい設備・常駐スタッフを整えたシェアオフィスで業務に従事できるように支援する。

障がい者雇用に関して、厚生労働省が2026年には法定雇用率を2.7%まで段階的に引き上げることを決めているものの、現在でも法定雇用率未達成の企業が多いなど、精神障がい者の就労機会は十分ではないとする。この要因として、企業は適切な業務設定や業務依頼、環境整備の経験不足により活躍できる状況を十分に提供できていないこと、雇用実績の成功事例がまだ少ないことを挙げる。

企業の適切な業務依頼が障がい者の継続的な業務従事につながり、結果として雇用企業内での信頼関係が作り出され、障がい者自身の能力開発と業務拡大を通じたキャリアアップを目指すことを可能にするとしている。

SUPERYARDは、就労に不安を抱える精神障がい者と雇用に不安を持つ企業、それぞれの課題を解決するサービスを提供し、より多くの精神障がい者の企業での活躍、キャリアを積んでいける社会の実現を目指す。