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日本の広告費2022、過去最高の7.1兆円 テレビ見逃し配信が拡大

電通は24日、「2022年 日本の広告費」を発表した。2022年1~12月の日本の総広告費は、新型コロナの感染再拡大、ウクライナ情勢、物価高騰などの影響を受けつつも「インターネット広告費」の成長により過去最高の7兆1,021億円(前年比104.4%)となった。

上半期は、コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和や、北京五輪などで好調。下半期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の変化、新型コロナの再拡大などで影響を受けたが、社会・経済活動の緩やかな回復に伴い「外食・各種サービス」「交通・レジャー」を中心に広告需要が高まった。特に、インターネット広告費によって広告市場全体が成長した。

インターネット広告費は、3兆912億円(前年比114.3%)で、2兆円を超えた2019年からわずか3年で約1兆円増加。インストリーム広告を中心とした動画広告需要が好調で、デジタルプロモーションも市場の成長に寄与した。

また、テレビ番組の見逃し配信やリアルタイム配信サービスなど、インターネット動画配信の広告費を推定範囲とする「テレビメディア関連動画広告費」は、350億円(前年比140.6%)と高い伸びを示した。ネットに接続されたテレビ(コネクテッドTV)の利用拡大、大型スポーツ中継、話題性のあるドラマなどを背景に、広告需要が高まった。

テレビの見逃し配信が急拡大

日本の広告費は、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア)、インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費)、プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、DM・メール、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像)に大きく3分類されている。

マスコミ四媒体広告費は前年比97.7%の2兆3,985億円。「ラジオ広告費」は増加したが、「新聞広告費」「雑誌広告費」「テレビメディア広告費」は減少した。

地上波テレビは前年比97.6%の1兆6,768億円。番組広告費は、大型スポーツ大会や各種イベントが放送されたが、東京五輪やワールドカップカタール2022のアジア最終予選などによる反動減を打ち消す需要増には至らなかった。

インターネット広告費は前年比114.3%の3兆912億円。総広告費におけるインターネット広告費の構成比は43.5%となり、3兆円規模の市場となった。

「インターネット広告媒体費」は2兆4,801億円(前年比115%)。うち、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は1,211億円で、新聞デジタルが221億円(同103.8%)、雑誌デジタルが610億円(同105.2%)、ラジオデジタルが22億円(同157.1%)、テレビメディアデジタルが358億円(同140.9%)。

特にコネクテッドTVの利用拡大を受けテレビメディアデジタルの「テレビメディア関連動画広告費」が350億円(同140.6%)と大きく増加。TVerは再生数・ユーザー数ともに順調に伸長し、ABEMAも、ワールドカップ2期間中に過去最高となるWAU(週間アクティブユーザー)を記録し規模を拡大した。

「インターネット広告制作費」は、動画広告市場の拡大や運用型広告における広告制作数の増加などにより、4,203億円(同109.2%)と増加した。

「物販系ECプラットフォーム広告費」も引き続きの在宅需要の高まりとともに、1,908億円(同117%)と増加した。

プロモーションメディア広告費は前年比98.3%の1兆6,124億円。行動制限の緩和や国や自治体による全国旅行支援施策の実施など、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開したが、通年では減少となった。一方、人流が戻ったため、「屋外広告」「交通広告」「折込広告」など前年を上回る媒体もあった。