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東京駅に90秒で熱々ラーメンが食べられる自販機「Yo-Kai Express」

米国のベンチャー企業Yo-Kai Expressは、最短90秒で、本格派ラーメンを提供する自販機型の自動調理ソリューション「Yo-Kai Express」を、羽田空港第2ターミナル、首都高芝浦パーキングエリア、JR東日本 東京駅に導入した。ラーメン専門店「一風堂」もメニューを提供する。

丼に入った状態で冷凍保存されている食品を、独自の解凍技術によって料理に合わせた最適な調理を行なうことで提供。これにより店舗と変わらないレベルの商品を迅速に提供するという。国内ではラーメンから提供が始まるが、米国ではラーメンだけでなく、うどんやトムヤムヌードル、角煮丼などご飯の丼物や、デザートなどを1台の機械で提供しているという。なお、Yo-Kaiとはそのまま日本語の「妖怪」で、24時間働ける妖怪、といった意味を込めているという。

米国でのメニュー

Yo-Kai Expressには最大50食分を保存可能。一般的なドリンクなどの自販機は、種類毎にドリンクが格納されるため、売れる商品は早くなくなり、売れない商品は減らないなどばらつきが発生し、早く売れた分のスペースは無駄になるが、Yo-Kai Expressでは50食分のうち、複数の商品をどれだけ格納するかを自由に選択できる。このため、売れ筋の商品を多く保存することで、保存スペースを無駄なく使うことができる。これまでの経験上、50食中、食事の種類は7~8種類ぐらいにしているという。

また、売れ行き情報などのデータも取得可能で、売上予測や売れ行きに合わせて価格が変動するダイナミックプライシングの提供も可能になっている。

Yo-Kai Expressの創業者兼CEOであるアンディ・リン氏は、Yo-Kai Expressを「自販機ではなく調理をするロボット」と位置づけ、既存の自動販売機とは別のソリューションであることを強調。調理工程を食材に合わせて調整でき、ピンポイントでの加熱なども可能なため、一番美味しい状態で食事を提供できるとした。米国では50カ所以上の工場などに設置しており、20万食を販売している。元々、昭和の時代から日本にあったうどんやそばの自動販売機をネットの動画などで観て着想を得たという。

Yo-Kai Express CEO アンディ・リン氏

製品開発には、福岡発祥のラーメン専門店「一風堂」も協力。2年ほど前から開発に関わってきたが、当初は提供するラーメンの温度が、店舗で提供するラーメンのレベルまで上がらなかったのが課題だった。一風堂を運営する力の源ホールディングス代表取締役社長で、一風堂創業者の河原成美氏は、「提供温度が温いのはラーメンには致命傷だ」としてYo-Kai Expressと協力しながら改良を続け、納得のいく温度で商品を提供できるようになったという。また、技術・運用面ではソフトバンクロボティクスも開発に協力している。

源ホールディングス代表取締役社長 河原成美氏

現在のメニューは下記の6種類。

Yo-Kai オリジナルフレーバー(各790円)

・鶏 Yuzu Shio
・東京 Shoyu
・札幌 Spicy Miso
・九州 Tonkotsu

一風堂提供(近日提供開始予定、価格未定)

・一風堂博多豚骨ラーメン
・IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン

メニュー例。撮影まで時間が経ってしまっていて延びてしまっているので参考まで
会場で試食できた「IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン」。動物性の材料を一切使わずに豚骨風のラーメンを実現している

すでに羽田空港第2ターミナル、首都高芝浦パーキングエリア、JR東日本 東京駅(グランスタ東京地下一階「スクエアゼロ」)の3カ所、それぞれ1台ずつが稼働しており、無人の芝浦パーキングエリアでは、ゴミ箱を冷蔵タイプにすることで臭い対策も行なっている。決済方法はキャッシュレス決済のみで、交通系ICカードやクレジットカード、電子マネー、QR決済が利用可能。なお、東京駅のみ4月12日までの期間限定での販売となる。

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調理中。最短90秒で調理が完了する
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今後は駅やサービスエリアなど交通の要衝や、病院など24時間勤務の人がいるような場所を中心に設置数を拡大していくほか、今年度中には、日本以外に台湾や韓国、欧州などにも展開する予定。