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パナソニック家電標準装備の賃貸住宅。家電を買わずに新生活

noiful base 駒込

パナソニック くらし事業本部 くらしアプライアンスは、賃貸住宅向けサブスクリプションサービス「noiful(ノイフル)」を開始。第1号物件として「noiful base 駒込」を賃貸住宅として展開する。

noifulは、賃貸住宅のオーナーおよび管理会社を対象に提供するサブスクリプションサービス。賃貸市場に向けてパナソニック家電パッケージを提供する「noiful ROOM」と、リノベーションや仲介および物件管理まで行なう「noiful LIFE」を展開する。いずれも、物件の価値向上につなげるためのサービスとして提供する。noifulの名称の由来は「not owning is fulfilling」で、「持たざることは満たされること」を意味している。

noiful ROOMは、顧客となる物件オーナー、管理会社などに対して、家電を月額制で提供するサービス。顧客は所有物件を家電付き物件として入居者に提供する。

物件オーナーの要望や物件の立地、間取りなどに応じて、家電の種類や点数、月額、契約期間などをプランニング。家電の設置や施工、入居者からの家電に関する問い合わせ、修理・交換、退去後の家電クリーニングは、全て無償で対応する。

物件オーナーにとっては、家電付き物件となることによる家賃単価や入居率向上を見込めるとする。入居者にとっては、引越時の家電購入費用が抑えられるほか、設置等の手間なく入居日から家電がそろった状態で新生活をスタートできるというメリットがある。

くらしアプライアンスは、パッケージの例として、最新のIoT家電を取りそろえたパッケージ、調理家電を充実させたパッケージ、美容を中心としたパッケージなどを挙げている。

noiful ROOMは本格展開を前に先行して、東京建物にブリリアイスト浅草橋を皮切りに提供しており、また東急不動産のコンフォリア森下リバーサイドにおけるサービス提供に向けて協議している。

noiful LIFEは、顧客の希望や物件の立地・間取りなどに応じて、運用方法やリノベーションプランなどを策定し、家電が調和する空間デザインの物件へとリノベーションを行なうサービス。さらに、入居者の募集からアフターサポート、物件のメンテナンスまで、くらしアプライアンスがパートナー企業の協力のもと対応する。

顧客にとってはnoiful ROOM同様、物件の価値向上が見込めるほか、パナソニックへ物件のマネジメントを一任することで物件の安定運用につながるとしている。入居者に対しては敷金・礼金ゼロで提供。家電購入費用の抑制とあわせ、初期費用を抑えられる。

第1号物件は物件価値30%アップ

第1号物件の「noiful base 駒込」は、くらしアプライアンスが物件自体を購入したうえでリノベーションを行なっている。実際に賃貸住宅として展開すると同時に、顧客に向けたモデルルームとしても位置付けられている。中でも同物件最上位クラスの家電を設置した部屋は、モデルルームとして展開した後に、賃貸物件として運用する。

noiful base 駒込の構造は鉄筋コンクリート造、地上階数は3階建、築年月は1997年10月、延床面積は390.77m2(118.20坪)。所在地は東京都北区中里二丁目21番15で、アクセスはJR山手線 駒込駅徒歩4分。

最上位クラスの303号室の間取りは1LDK、専有面積は47.34m2、家賃は24万4,000円。

303号室。ソファやイスは物件の設備としては含まれない

この部屋の最も大きな特徴は、業務用IHを埋め込んだダイニングテーブルが設置されている点。カセットコンロ等を用意することなく、テーブルを囲んで鍋や焼き肉などができる。

業務用IHを埋め込んだダイニングテーブル

全室共通で冷蔵庫、オーブンレンジ、食器洗い乾燥機、洗濯乾燥機、ロボット掃除機、スピーカー付きダウンライト照明を完備。収納設備を、家電の設置を前提としたビルトイン家電のような設計としている。また、エアコンを梁に収めるような設計となっているほか、ロボット掃除機が収まるスペースも設けている。そのほか、クローゼットにはナノイー発生機を装備している。

冷蔵庫やオーブンレンジがぴったりと収まる設計(写真は303号室)
洗濯乾燥機と収納スペース(写真は303号室)
収納の下などにロボット掃除機が収まるスペースを設置(写真は303号室)
エアコンとその横に設けられた収納スペース(写真は301号室)
スピーカー付きダウンライト照明(写真は301号室)

303号室ではそのほか、洗面室に美容家電を設置。鏡とあわせて設置されている。なお、303号室とほぼ同じ間取りで、業務用IHが埋め込まれたダイニングテーブルが設置されていない203号室では、303号室の美容家電設置スペースに当たる場所にウォークインクローゼットを設置し、違いを出している。

303号室の美容家電
203号室のウォークインクローゼット

自宅で仕事をするという昨今の働き方にも対応。303号室と203号室では、リビングと寝室にワークスペースを設けている。そのほかこれらの部屋には、レイアウトフリーテレビが設置されている。なお203号室の家賃は23万6,000円。

リビングに設けられたワークスペース(写真は303号室)
寝室に設けられたワークスペース(写真は303号室)。手前のベッドは設備には含まれない

ワークスペースは、1人暮らしを想定したワンルームの部屋でも実装。キッチンスペースにコンロを設置せずに、その分、リモートワークに対応できるスペースを確保している。201号室と301号室が該当し、専有面積は28.35m2、家賃は201号室が13万6,000円、301号室が13万8,000円。

301号室のキッチンスペース

201号室と301号室には、コンロを設置しない代わりにポータブルIHクッキングヒーターを用意している。

引出にちょうど収まるポータブルIHクッキングヒーター

部屋はそのほか、1DK(専有面積31.31m2)の202号室、302号室がある。家賃は202号室が15万1,000円、302号室が15万4,000円。

302号室

共有玄関扉および各住戸の玄関扉にはスマートキーを採用。共通設備として宅配ボックス、トランクルーム、無料インターネットを備えるほか、入居者専用のシェアサイクルも設置されている。

Suicaで解錠する様子
入居者専用のシェアサイクル

なお共有玄関扉は、家をモチーフにしたnoifulのロゴの「n」の形になっている。

ロゴ
共有玄関扉

noifulの物件価値向上という観点においてnoiful base 駒込を例にとると、同地域の築古物件の相場の約12,000円/坪に対し、約16,000円/坪という約30%アップの評価を、野村不動産パートナーズから受けたという。約16,000円/坪は、新築物件の地域相場に当たるとアピールする。

またnoifulでは物件価値向上以外に、ストック住宅・空き家の再価値化や、リユースによる家電廃棄といった問題の解決につなげたい構え。特に家電については、住み替えによる家電廃棄を減らすことができるとしている。

そのほか、noifulのオウンドサイトを公開。noiful ROOM/LIFE全住戸を対象としたオンラインでの360°バーチャル内見や、noiful base 駒込を対象としたオンラインでの入居申込みに対応している。またnoiful base 駒込では、スマートキーを活用したセルフ内見に対応している。

目標展開規模は、noiful ROOM/LIFEを合わせ、2024年に12,000戸、2025に20,000戸、2030年に20万戸。