ニュース

ドコモ通信障害でユーザーに大きな影響。音声通話は前週比15%減少

NTTドコモは、10月14日に発生した通信障害について、現時点で分かっている経緯や今後の対応策について報告した。15日午後の時点でも3Gの一部に規制が残っているものの、大部分は15日の早朝に復旧している。再発防止策は遅くとも10月下旬には完了するとしている。

今回の通信障害は10月14日17時頃から発生、約3時間後の19時57分頃に順次回復(一部が復旧)とアナウンスされ、翌15日5時5分に、5Gと4Gが障害から回復している。3Gは15日16時の時点でも規制が残り、一部で利用しづらい状況としている。

コアネットワーク内の設備で輻輳(ふくそう)が発生し、一部の端末はドコモ網に接続できなくなった。通信モジュールといったIoT端末(タクシーの電子決済や自動販売機等)をはじめ、携帯電話・スマートフォンでも、音声通話・データ通信ともに利用しづらい状況が発生した。また輻輳に伴う通信規制が行なわれた結果、さらに多くの端末・ユーザーが影響を受けた。

「位置登録」に失敗しネットワークに接続できないという、直接の影響を受けたのは、IoT端末を含め全国で約200万ユーザーとしている。位置登録ができても、ネットワークが混み合っていた結果、利用しづらくなったユーザーはいたため、200万ユーザーは影響を受けた全体の規模ではないとしている。ドコモでは、障害発生から15日未明までで、音声通話は前週比で15%減少、データ通信は4%減少したとしており、多くのユーザーが影響を受けたとみられる。

左から、NTTドコモ 常務執行役員 ネットワーク本部長の小林宏氏、代表取締役副社長の田村穂積氏、サービス運営部長の引馬章裕氏

根本的な原因は、IoT関連のサーバー(加入者/位置情報サーバー)の新設備において不具合が発見されたこと。海外からのローミング端末の処理に不具合が発見されたとのことで、14日に行なわれていた切り替え工事を中止し、IoT端末が接続するサーバーを旧設備に戻す工事が行なわれた。

直接的な原因は、この切り戻し工事に伴って、通常のIoT端末の運用にはない、旧設備への「位置登録を促す措置」を実施したこと。これにより、旧設備にはIoT端末から約20万件の位置登録信号が短期間に流れ込み、輻輳が発生。ドコモ網のほかの信号交換機、音声交換機といった設備も連動して輻輳を起こすに至った。

またこの旧設備(2カ所)は、全国のIoT端末を管理しており、不具合の影響も全国に広がることになった。ドコモはネットワークの仮想化などに取り組んでいるが、今回問題が起きた旧設備は、仮想化されていない設備だったという。新設備では処理能力も向上、仮に今回のような規模の信号であっても処理できるとしている。新設備への切り替えは改めて行なわれる。

発生した事象について
再発防止策について

一般のドコモユーザーの携帯電話・スマートフォンにおいては、信号交換機に輻輳が発生したことにより、一部ユーザーはバックグラウンドでやり取りされる基本的な制御信号のひとつである「位置登録」を行なえなくなり、位置登録信号が必要になった時点でドコモ網につながらない状態になった。また位置登録ができたユーザーも、ネットワークの混雑により利用しづらいといった影響を受けた。

なお、位置登録信号は音声通話の利用には必須で、データ通信では大きく移動した場合(基地局間を移動した場合)に必要になる。このため、位置を動かなかった端末のデータ通信は、通信障害の影響を受けづらかったとみられる。

一般ユーザーへの影響

17時の通信障害の発生から「一部で復旧」とアナウンスされるまで約3時間で、その後も一般の携帯電話・スマートフォンで使いづらい状態が続いた経緯については、前提として、IoT端末から大量の信号が発生しており、それが沈静化するまで時間がかかったことを挙げている。その上で、IoT端末からの信号と通常の携帯電話・スマートフォンからの信号を分けて制御する仕組みが無いため、一律で規制せざるを得ず、スマートフォンなどが利用しづらい時間が長引いたとしている。

また3Gの完全復旧に時間がかかっている点については、よりきめこまやかな作業が必要としており、結果的に時間がかかる形で旧設備に戻しているという。一般に3G網を使うIoT通信モジュールは、タクシーの決済端末や自動販売機の通信機能など、より重要度の高い内容で幅広く普及しており、慎重に作業を行なっているとみられる。

【更新】
障害は10月15日22時00分にすべて回復した。(16日0時追記)

10月14日午後5時00分頃発生
10月14日午後7時57分より順次回復
10月15日午前5時05分に5G・4G回復
10月15日午後10時00分に3G回復

なお、4G契約で3Gの表示となっている場合、4Gに接続し直すため、以下の操作を試すよう呼びかけている。

(1)優先ネットワークの変更操作
例:「設定」→「モバイル通信」→「通話のオプション」→「音声通話とデータ」 3Gなど別の項目に切り替えた後、4Gに再度設定
(2)機内モードON/OFF
(3)端末の再起動