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KDDI通信障害で一律200円返金。24時間不通の271万人は2日分減算

KDDIは29日、7月2日に発生した通信障害に関する説明会を開催し、影響を及ぼした人に対し、返金を行なうことを発表した。障害期間中24時間以上連続して全ての通信サービスが利用できなかった271万人には2日分相当額を減算、期間中に契約していた全ての人 3,589万人には請求額から200円減算する。

なおpovo 2.0は基本使用料が0円のため、返金に替えてデータトッピング(1GB/3日間)を進呈する。

返金額については、24時間以上使えなかった人(約款返金)については約款で決められている金額となる。200円の「お詫び返金」については、「音声の障害なので約款返金の平均52円/日をベースに算定し、61時間で3日間として156円。そこにお詫びの気持ちを込めて200円とした」(KDDI髙橋誠社長)。返金の総額は73億円(沖縄セルラーを含めると75億円)。

KDDI髙橋誠社長

返金の対象となる利用者は、8月中旬以降に確定する。確定次第SMSで案内し、9月以降に請求額から返金額を減算する。なお、SMSを送付する際には、リンク先のURLを記載せず、情報入力も求めない形で送付する予定。これは、フィッシングなどの詐欺防止のための対策となる。

今回の障害は、KDDIの全国中継網に係るルータのメンテナンス作業に起因し、全国ネットワークに連鎖的に輻輳が波及。2日以上の長期にわたる障害となった。サービスの停止期間は、7月2日1時35分~4日15時(61時間25分)。障害による影響範囲(推定値)は、KDDIの音声通話が2,278万人以上、データ通信が765万人以上、沖縄セルラーは約38万人、データ通信は10万人以上で、合計すると3,091万人となる。

再発防止に取り組む。「工事終了」など周知に課題

KDDIの高橋誠社長は、音声が2,278万人、データ通信で765万人以上と大規模な障害となり、「物流、自動車、行政サービス、銀行、交通など、様々な業種・インフラに影響を及ぼした」として謝罪。また、ルータのメンテナンス作業起因での障害発生となったが、障害の原因として、手順書が2種類あり、新しい手順書ではなく古い手順書を使ってしまったことも今回明らかにした。そのため、作業手順書管理ルールや承認方法の見直し、作業リスク評価と作業抑制基準・期間の見直しなどの再発防止策を取った。

また、障害の大規模化や長期化についても新たな対策を導入したほか、顧客への周知についても見直しを図る。今回、障害発生の翌日3日(日曜日)に社長会見を行なったが、「通信会社では、慣例的に障害の原因がわかったタイミングで会見していた。その時点でわかっていることを伝えたほうが良かったと指摘された」と、見直しを図る姿勢を示した。

さらに、復旧の前に「工事終了」と告知し、工事が終わった後に安全性を確認した増えで復旧宣言を行なうと発表した。この点についても、「工事終了時間が復旧時間と伝わってしまい、その時間に『復旧してない』とお叱りを受けた。通信事業者として『復旧』の定義を明確にして伝える必要がある。他の事業者にも影響するので、議論していきたい」と語った。