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日本でも“音声”強化するSpotify。クリエイター支援を拡充

スポティファイ(Spotify)は28日、ポッドキャストなど国内の音声事業について説明会を開催した。Spotifyでは2019年に「オーディオファースト宣言」として、音楽(Music)だけでなく、“音声”、特にポッドキャストに力を入れ、幅広く“Audio”を強化する方針を打ち出しており、日本でもコンテンツ拡充やクリエイター育成などに取り組む。

Spotifyは、3億5,600万人が使う世界最大の音楽ストリーミングサービスだが、近年はポッドキャストなどの音声コンテンツやサービスの拡充に力を入れている。

ポッドキャストの番組数は、2018年1月は1万から現在は260万に増加。自社スタジオや制作スタジオの買収などで、オリジナルコンテンツも強化しており、元米国大統領のオバマ夫妻による制作会社Higher GroundやDCコミックスとの独占契約などで注目を集めた。

日本では、2019年2月からスタートし、音楽ユーザーを重視して番組を拡充してきたが、2020年以降は、Kemioや小泉今日子、ロバート秋山などによる番組や、TRANSITや美術手帖、ムーなどのメディアによる番組、アニメ「呪術廻戦」公式など、“新しい音声フォーマット”の実現に向けてバラエティを拡充している。

音声コンテンツ強化にあわせて、ポッドキャストの「収益化」も強化。海外では、有料サブスクリプションやオーディオ広告のマーケットプレイスなどを発表している。日本においても近い将来での実現に向け、パートナーとの協力関係を構築していく方針。

日本におけるクリエイター支援も強化。RadioTalkなど国内プラットフォームとの連携していく方針で、RadioTalkのコンテンツをSpotifyに展開可能とした。

また、Podcast作成ツールの「Anchor(アンカー)」の日本語対応を強化。Anchorは、無料でPodcastの録音・編集から配信までを一括で管理できるツールで、Spotify以外へのプラットフォームへの配信も可能。Anchorの最新情報なども積極的に提供していく。

スタジオ設備の「Spotify Studio Tokyo」も開設した。スウェーデン、ニューヨーク、ロンドンに続き、Spotifyで世界で4カ所目のスタジオとなり、パートナー企業や音声クリエイターの収録の活用や、ウェビナー、バーチャルイベントなどに活用していく。

Spotify Studio Tokyo

加えて、クリエイター支援の一環として、ポッドキャストの企画・制作・配信に関するトレーニングや教育を行なう「Sound Up」を展開する。世界8カ国で展開している次世代クリエイター支援プログラムで、日本の2021年のテーマは「女性」。

女性をテーマにした理由は、「2021年の世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップで日本が120位となったため。女性を取り巻く環境が複雑化しているなか、自分らしく生きたい女性を後押しする」としており、今後、毎年継続的にプロラムを提供していく。

2021年のSound Up参加は女性が対象で応募期間は7月25日まで。募集人員は前期・後期各10名。Sound Upはフルリモートでのトレーニングとなり、9月27日からの第1期で番組の企画書やトレーラーを制作、2022年の後期課程では実際にパイロット版の番組を作り、優秀作品はSpotifyで独占配信する。

Sound Upファシリテータを務めるのは「味な副音声」の平野紗季子氏(左)と「コテンラジオ」の樋口聖典氏(右)
Spotify「Sound Up」プログラム、国内でもスタート!