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PayPay、Suicaに並ぶ。経済圏でEC・金融強化するZHD

Zホールディングスは28日、2020年度決算を発表した。LINEにおける個人情報の取り扱い問題について謝罪するとともに、コロナ禍におけるEコマースの伸長や、PayPayによるシナジー効果などについて説明した。

通期の売上高は前年比14.5%増の1.2兆円、営業利益は同6.5%増の1,621億円。コマース事業が伸長したほか、LINEも広告事業などが牽引した。

超PayPay祭を国民的なイベントに。EC伸長

Eコマース事業は、ショッピング事業の取扱高が前年比45.1%と大きく成長し、Eコマース取扱高全体で3兆円を突破。Yahoo!ショッピング、PayPayモールの利用者が拡大しているほか、3月に実施した「超PayPay祭」では、ヤフーとLINE、PayPayからの送客を強化し、前回(2020年11月比)でも新規購入者数が3倍、取扱高は57%増など大幅に成長した。

特にPayPayとのシナジーが大きく、自社調べだが、超PayPay祭の認知率は60%を超えており、「国民的なイベントにしていきたい」(ZHD 川邊健太郎Co-CEO)という。

加えて、Yahoo!ショッピング、PayPayモールのインハウス決済率(PayPayやヤフーカードでの決済率)は過去最高の68.2%で、「PayPayを起点とした経済圏によるユーザー囲い込みが進展している」という。

PayPay、Suicaに並ぶ。シナリオ金融を推進

第4四半期のPayPayの決済回数は6.15億回で前年比1.6倍、通期では20億回を突破し、前年比約2.5倍なった。また、登録者数は1.4倍の3,803万人まで拡大。さらに、カード事業や銀行事業など、Fintech関連もPayPayとの相乗効果で伸長し、「PayPay経済圏」の拡大を図っている。

川邉Co-CEOは、自社調べのデータとしながらも、「3月のPayPayの決済回数は(Suicaなど)交通系ICカードに匹敵する回数になったはず」と言及。「わずか2年半でここまで成長し、結果を示せた。PayPayで圧倒的に便利になるよう日本のキャッシュレス化を牽引していく」と宣言した。

同社は、ヤフーやPayPayとサービス連携し、金融商品を展開する「シナリオ金融」を推進している。その成功例としてあげたのが、Yahoo!ショッピングやPayPayモールにおける「あんしん修理保険」。商品購入時に3年、5年などの保険を付与できるもので、この契約件数が「超PayPay祭」の最終日(3月28日)の1日だけで43,357件、付保率は18.1%と、過去最高を記録。また、川邉氏は、キャンペーンなどのマーケティング的手法無しで達成した数字であることを強調した。

LINEは、「旧戦略事業」の赤字縮小により、営業利益が下半期で黒字化。コア事業の広告売上は前年比26%の成長となった。個人情報の取り扱い問題以降も、ユーザー数は公式アカウントなどのビジネスに大きな影響はなく、官公庁の利用停止も拡大しておらず、再開を表明している自治体も出てきているという。

3ブランドとデータ・AIを活用

中長期では、メディア、コマース、戦略事業(Fintech、ヘルスケア)などに注力。LINE、ヤフー、PayPayの3つのブランドとデータ・AI基盤を活用しながら戦略投資を続けていく。

LINEや子会社などの重複領域の整理もすすめ、プロダクトや営業組織の連携も強化する。

ZHDとLINEとそれぞれのコーポレートベンチャーキャピタルのYJキャピタルとLINE Venturesは合併し、Z Venture Capitalとして運営する。また、GYAO!やLINE MUSICなどのエンターテインメント関連事業は、Z Entertainmentに再編する。

2021年度の通期売上目標は1.52~1.57兆円。調整後EBITDAは3,030~3,130億円。コマース事業では、物流改善、ロイヤリティプログラム改善、ソーシャルコマース開始などを予定。戦略事業では、カード会員数、銀行口座数などFintech領域のユーザー基盤拡大を目指す。