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PayPay、GMVは年間3.2兆円。新事業創出を目指すソフトバンク

ソフトバンクは11日、2021年3月期決算を発表。その中で、PayPayの決済取扱高が年間3.2兆円と初めて公開。また、PayPayのIPO(新規株式公開)を目指すことなどについて言及した。

ZホールディングとLINEの経営統合をうけ、国内の事業基盤を拡大したソフトバンクは、グループの総合力を使って事業を垂直立ち上げ。宮川潤一社長は、その象徴的な事例としてPayPayを紹介した。

PayPayのユーザー数は3,900万人を超え、「垂直立ち上げがうまくいった」(宮川社長)と言及。2020年度の決済回数は20億回を突破し、'19年度の8億回との比較で約2.5倍まで拡大。今年度も伸長しているという。加盟店数は316万カ所超で、「クレジットカードと比べても遜色ない」とする。

また、今回初めて決済取扱高(GMV)を公開。2020年度は3.2兆円で、前年比約2.6倍の成長となった。

PayPayはソフトバンクの金融サービスの中核と位置づけ、銀行やカード、保険などのエコシステムを構築していく。PayPayの収益化については、「(今秋)加盟店の手数料徴収が始まる。PayPayも自立してIPOを目指してほしい。そんなに遠くない世界では起こりえる」(宮川社長)とした。

宮川社長は、グループのシナジーを活かし「第2のPayPay」の創出を目指す姿勢を強調。LINE統合による日本での顧客基盤やソフトバンクグループやビジョンファンドの連携を活かし、特に「自動運転」領域に注目しているとする。

事業別では、法人事業が急拡大。通信事業はソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOなどのマルチブランド戦略により他社と差別化し、契約数拡大を目指す。特にワイモバイルが好調で、契約数は5年で4.4倍(全体では1.5倍)となった。

さらに、ECやLINE、PayPay、ファッション(ZOZO)などのグループシナジーを活かし、ユーザーメリットを訴求。2023年度のスマホ3,000万契約を目指す。

ECもヤフーだけでなく、PayPay、LINEの顧客基盤を活用。ヤフーショッピングやPayPayモール、PayPayフリマ、アスクル、ZOZOなどの拡大を目指す。5Gは、2021年度中にスタンドアローン(SA)開始し、2022年春の人口カバー率90%を目標とする。

2020年度決算は、売上高5兆2,055億円(前年比7.1%増)、営業利益は9,708億円(同6.5%増)、純利益は4,913億円(同3.8%増)。2021年度予想は、売上高5兆5,000億円、営業利益9,750億円。携帯電話料金値下げの影響で、通信分野は減収となるが、法人事業の増益でカバー見込みとする。