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プロント、パスタロボ導入へ。調理時間を大幅短縮

TechMagicは2日、プロントコーポレーションと2018年から共同開発していた、「プロント」が提供するパスタ商品を自動で調理するロボットの原理検証が完了し、店舗導入に向けた最終バージョンを製品開発中だと発表した。

TechMagicは外食産業の生産性向上と人手不足や人材育成問題等の解決を目指し、2018年2月に創業したスタートアップ。人件費を大幅に削減できる調理ロボットの製品化を計画している。2021年上半期には、誰でも簡単に熟練の調理技術を再現できるロボットが、プロントコーポレーションの店舗に導入される予定だという。

食材取り出しから調理の一連の作業を自動化

パスタ調理ロボット全体像。左端が麺を供給する冷蔵庫、中央が4軸ロボット。上の棚にソースや具材を収納し、供給する

パスタを提供するためには、麺を茹で、ソース及び具材とともに混ぜながら鍋で加熱し、皿に盛り付け、使い終わった鍋を洗浄しなければならない。TechMagicが開発中の調理ロボットは、これら一連の工程の自動化を目指している。

システムは注文に応じて冷蔵庫のなかに保存された麺、ソースや具材を自動で選択・供給する。そして、独自開発した4軸のロボットアームを使って、IHの茹で調理器や炒め調理器を協調させて加熱調理を行なう。最終的にはパスタを調理したフライパンを自動洗浄し、再び鍋置き台に戻して次の調理に備える。これらの工程が完全自動で行なわれるという。食材の補充と盛り付け、提供は人が行なう。供給用冷蔵庫に収納できる麺は130食分。

独自開発した4軸ロボット(イメージ図)

現在の店舗では繁忙ピーク時には1時間あたり120食以上を提供している。それと同等以上のサービス実現を目指す。TechMagic代表取締役社長の白木裕士氏によれば、現状の店舗でのパスタ調理時間は一食あたり2分半程度だが、大幅に短縮することを目指している。また、調理作業の一部分だけではなく、一連の作業全体を完全自動化することで、2名分の省人化が可能だという。

外食産業の最大のコスト要因は人件費であり、利益率や持続可能性は人件費に大きく依存している。新型コロナウイルス禍以前にも慢性的な人手不足が課題だと言われてきたが、新型コロナウイルス以後には、非接触ニーズも高まっている。TechMagicでは、調理を始めとする店舗内、厨房内の作業を自動化することで、中長期的な人手不足課題の解決と人の接触機会の低減をはかり、外食産業の持続可能性を高めることが可能になるとしている。