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NTT、ドコモを約4.3兆円で完全子会社化。料金値下げも検討

NTTは、NTTドコモの完全子会社化を発表した。NTTはドコモ株の66.2%を保有している。残る34%弱株式を株式公開買付で取得する。買付価格は1株3,900円で、買付総額は約4.3兆円。買付期間は9月30日から11月16日。

ドコモの子会社化により、NTTは移動・固定融合型の新サービス創出やクラウド連携などによる法人営業力を強化。また。サービス創出力やコスト競争力の強化、研究開発力の向上を目指す。

また、NTTコミュニケーションとNTTコムウェアについてもドコモへの移管の検討を開始する。NTTデータは完全子会社化の予定は無い。

今後のドコモの位置づけは、「NTTグループの中核を担い、全てのお客様のフロントになる」(ドコモ吉澤和弘社長)と説明。新たなサービス創出や、法人ビジネス・スマートライフ事業の強化を担うほか、6Gなどの研究開発体制強化に取り組み、「モバイルだけでなく、トータルでお客様のニーズに応えていく」とした。

「法制度上の問題はない」。菅首相の意向は「無関係」

NTTの澤田純社長は、統合の目的について「100%子会社化によるガバナンスのスピードの向上」を強調。ドコモについては、「シェアはナンバーワンだが、収益力では3番手」とし、完全子会社化による強化を考え、4月から完全子会社化に向けた話を開始したという。

NTT澤田社長とNTTドコモ吉澤社長

また、今回の再編はNTT東西のリソースを含めるものではないとし、総務省や規制当局にも、今回の完全子会社化の方針を説明。「法制度上の問題はないと我々は受け取っている」とした。

菅義偉首相による、携帯電話料金値下げ意向との関連については、「4月から話を進めてきたことで、料金の話と直接的なリンクはない。政府に言われたからやるではなく、いいサービスを提供し、競争するための体制を作る。ただ、ドコモの体制強化と財務基盤が整えば、値下げの余力がでてくる」と説明。また、「昨年値下げを実施し、影響は2,500億円規模。約2割の還元をすでに行なっている。その上で、お客様の要望の一つとして値下げを検討している」と語った。

新生ドコモについては、「国内中心から海外を含めた総合的なプレーヤーになってほしい」(NTT澤田社長)とし、法人や海外事業の強化を図る方針。なお、ドコモの吉澤社長は12月1日付で交代。新代表取締役社長には井伊基之氏(現代表取締役副社長)が就任する。