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NTT、NTTデータグループを完全子会社化 2.3兆円規模

NTTは8日、NTTデータグループの完全子会社化を発表した。NTTはNTTデータグループ株式の57.73%を保有しているが、残りの42.27%を公開買付で取得予定。買付価格は1株4.000円で、約2.3兆円規模となる。

NTTでは、現在のNTTとNTTデータグループの資本関係の課題として、「親子上場に伴う利益相反」「複雑な意思決定プロセス」「経営資源投下に伴う双方株主への説明責任」などがあったとする。完全子会社化により、これらの課題を克服。NTTグループのグローバルソリューション事業の中核をNTTデータグループが担う体制を構築し、成長加速を狙う。

NTTデータグループは、NTTグループの中で法人向け事業を担う中核企業で、24年度の売上高は4.6兆円。DX・AI・データセンターなどに強みを持ち、長期的な成長を見込んでいる。成長市場であり、量子コンピューティングや光通信技術などの新技術や新事業の台頭と競争激化も見込まれ、資金流入やM&Aなども見込まれる。

こうした環境下で、機動的な成長投資によるグローバルソリューション拡大に向け、完全子会社によりNTTグループとの連携を強化。意思決定の迅速化を図るとともに、コスト競争力を高めていくという。

グローバルソリューション事業では、北米マーケットの強化、AIを活用したサービス強化、データセンターの拡大・高度化などに取り組む。法人営業分野では、NTTデータグループとNTTグループ各社の連携強化により、大規模法人向け統合ソリューションの営業を強化・拡大していく。

NTTデータグループの今後の注力領域は、Digital & Experiences、Next-Gen Infra、Agentic AI。成長投資により、AIサービスやデータセンターなどの成長領域を強化。北米市場でのプレゼンス拡大などを目指す。また、NTTグループのR&D(IOWN・AI)などを組み合わせた新サービス開発加速や、法人事業の競争優位性強化などを狙う。

NTTデータグループとNTTグループ各社で、連携強化や重複業務の最適化の検討も進める。大規模法人営業はNTTコミュニケーションズ、AI技術領域はNTTテクノクロス、研究分野ではNTT研究所との連携を進めるなど、関係各社による検討体制を構築していく。

成長投資に必要な体制 デメリットは「ない」

NTTの島田明社長は、完全子会社化により、AIサービスやデータセンターなどの成長領域における機動的な成長投資が可能になり、グループ全体の成長が図れると説明。24年9月から完全子会社化を検討開始し、11月に打診。12月からNTTデータグループ内で正式に検討を開始して、今回の発表に至ったとする。

今回のタイミングでの完全子会社化については、「いまがグローバルに打って出るタイミング。最大の課題は迅速な投資判断と迅速なサービス展開でそれにふさわしい体制にしていく必要がある」とし、デメリットは「特に無い」と強調した。

NTT 島田明社長(左)とNTTデータグループ 佐々木 裕社長(右)